『宝石は人生の調味料。酸いも甘いもそれぞれ嗅ぎ分けるのはあなた次第。今宵も深夜BARの開店のお時間となりました』

宝石たちの1000物語シリーズ
「深夜12時開店のBAR・第6話 [ ruby ]
この場所には相応しくない紳士が、その夜の客だった。
一言も発せずただ黙々とグラスを口に運んでいる。
店に入るなりバーボンをボトルで注文した。
こんな客はこの店では珍しい。
ボトルキープは一切やってないからだ。
大体そんなスペースさえない。
その代わり酒の種類は普通のバーには引けを取らない。
何しろ洋酒あり日本酒あり、その他フルラインナップの品揃えなのだ。
その旨を伝えると、飲みきれなければ持って帰ると、冗談ともつかない口調で了承した。
その時その紳士のケータイがなった。
「もしもし・・うんわかった。では後ほど」ケータイを仕舞うとまた飲み始めた。
瞬く間にボトルの量は半分ほどに減っていた。
「ところでマスター、この店の常連になるには何回くらい通えばよいかな」
「お客さん回数は関係ないです。次から何でもおっしゃって下さい」
「有難うお勘定して下さい」
「ボトルが入りましたので2万円いただきます」
「じゃあこれでご馳走さま」紳士が帰って片付けようとすると、小さな袋があるのに気が付いた。
さっきの紳士が忘れたのは歴然である。
どうしようかと迷ったが、中を確かめることにした。
袋の中はハトロン紙にくるまれていた。それ以上は見るのを辞めにした。
それから2、3日して午前3時をまわった頃、その紳士が重い木の扉を押して入ってきた。
「いらっしゃい」
「先日はどうも」
「お客さん忘れ物を取りに見えたのでしょう」と言いながら袋をさしだした。
「あっこんな所にあったのか。まさかとは思ったんだが。有難う随分探したんだ」
マスターは気がついていた。わざと忘れて自分を試した事を。
この紳士只者ではない。
しかし意図が図り兼ねていた。
それが分かるのはずっと後になるのだが。
前回同様ボトルを1本注文するとロックグラスで、ウィスキーと常温の水を半々にして飲みだした。
30分くらい経った頃「今晩は」と言いながら入ってきたのは女性だった。
どうやらこの紳士とは待ち合わせをしているらしく、隣に腰を下ろすと
「マスター、グラス頂戴」
「どんなグラスにしますか」
「そうねショットグラスを」
彼女も自分でボトルからショットグラスに注いで飲みだした。
この2人かなりの飲んべえだ。
やがて1時間が過ぎた頃、「マスターお勘定して下さい」
「はい有り難うございます2万円戴きます」
「じゃあこれで、それから袋の保管のお礼としてこれ受け取って下さい」と袋を差し出した。
袋の中には見事な色調のルビーが一粒。

宝石たちの1000物語シリーズ
「深夜12時開店のBAR・第6話 [ ruby ]
この場所には相応しくない紳士が、その夜の客だった。
一言も発せずただ黙々とグラスを口に運んでいる。
店に入るなりバーボンをボトルで注文した。
こんな客はこの店では珍しい。
ボトルキープは一切やってないからだ。
大体そんなスペースさえない。
その代わり酒の種類は普通のバーには引けを取らない。
何しろ洋酒あり日本酒あり、その他フルラインナップの品揃えなのだ。
その旨を伝えると、飲みきれなければ持って帰ると、冗談ともつかない口調で了承した。
その時その紳士のケータイがなった。
「もしもし・・うんわかった。では後ほど」ケータイを仕舞うとまた飲み始めた。
瞬く間にボトルの量は半分ほどに減っていた。
「ところでマスター、この店の常連になるには何回くらい通えばよいかな」
「お客さん回数は関係ないです。次から何でもおっしゃって下さい」
「有難うお勘定して下さい」
「ボトルが入りましたので2万円いただきます」
「じゃあこれでご馳走さま」紳士が帰って片付けようとすると、小さな袋があるのに気が付いた。
さっきの紳士が忘れたのは歴然である。
どうしようかと迷ったが、中を確かめることにした。
袋の中はハトロン紙にくるまれていた。それ以上は見るのを辞めにした。
それから2、3日して午前3時をまわった頃、その紳士が重い木の扉を押して入ってきた。
「いらっしゃい」
「先日はどうも」
「お客さん忘れ物を取りに見えたのでしょう」と言いながら袋をさしだした。
「あっこんな所にあったのか。まさかとは思ったんだが。有難う随分探したんだ」
マスターは気がついていた。わざと忘れて自分を試した事を。
この紳士只者ではない。
しかし意図が図り兼ねていた。
それが分かるのはずっと後になるのだが。
前回同様ボトルを1本注文するとロックグラスで、ウィスキーと常温の水を半々にして飲みだした。
30分くらい経った頃「今晩は」と言いながら入ってきたのは女性だった。
どうやらこの紳士とは待ち合わせをしているらしく、隣に腰を下ろすと
「マスター、グラス頂戴」
「どんなグラスにしますか」
「そうねショットグラスを」
彼女も自分でボトルからショットグラスに注いで飲みだした。
この2人かなりの飲んべえだ。
やがて1時間が過ぎた頃、「マスターお勘定して下さい」
「はい有り難うございます2万円戴きます」
「じゃあこれで、それから袋の保管のお礼としてこれ受け取って下さい」と袋を差し出した。
袋の中には見事な色調のルビーが一粒。