
『ジュエリーにおけるロマン主義の意味と影響(6)』
ますぶちStyle/宝石箱の片隅
「Understanding Jewellery=24・ジュエリーの歴史を学ぼう」

19世紀の中頃、モウニングジュエリーが爆発的に流行した。
その切っ掛けを作ったのがイギリスのヴィクトリア女王である。
女王の夫アルバート公が1861年に亡くなると、
悲しみのあまり異常とも思える長い喪に服する。
もともとジュエリー大好き女王は
モウニングジュエリーを公私ともに意図的につけたから、
国民はこぞってそれに習った。
そもそもモウニングジュエリーは
17世紀頃から静かな流行をみており、
19世紀の流行はリバイバルなのだが。
モウニングジュエリーに使われる素材は主として
黒を基調としたジェット、黒鼈甲、
オニキスやヘアージュエリーと言って
故人の髪の毛を巧みに編んだもの、
それからメメントモリという柳や柩、スカルなどを
モチーフとするジュエリーなどである。
これもロマン主義の影響を受けて、
フランスや、ベルギーなどヨーロッパ諸国に広がった。
私が27、8年前に
初めてアンティークジュエリーの仕事に携わった時、
ヘアージュエリーの技術の素晴らしさに、
驚き感心したものである。
しかしお客さまの反応は
「誰のものか解らない」
「気持ち悪い」
「こんなジュエリー絶対につけない」など、
惨憺たるものだった。
これは民族性の違いから来ているのだが、
日本でも古い時代から故人に対する敬意や畏敬は
色々な分野で使われてきた。
日本の代表的な工芸品である根付もその一つで、
ここには様々な表現の工夫や技術がみられて興味深い。
ロマン主義は
ルネサンス以降の「ギリシアに還れ」を合い言葉に、
厳格で規則正しい古典主義に対立する概念である。
人間が本来持っている自由で、自然なものへの憧れが、
18世紀後半から現代まで
ジュエリーにも明確に反映されている。
*「ヴィクトリアンジュエリー」より画像スキャン