
『上質ということを
改めて考えさせられる本』

ますぶちStyle/宝石箱の片隅
「JAMの本棚-28」
以前にもご紹介したけれど、
ちょっと書き足りなかったので再度ご登場願う。
河合隼雄著「老いるとはどういうことか」は、
現在私の座右の書の一つになっている。
この方は2009年に79歳の生涯を閉じている。
先日BOOK OFFで偶然に目に留まり、何冊か買った一冊だった。
この本は読売新聞に連載していたエッセイを纏めたもので、
従って一話が600字前後といたって短文である。
しかしこの方の視点がとても素晴らしく、
私が常日頃ジュエリーにおける「上質」ということを念頭において、
様々なことをやりたいと願っている
教科書的な存在だということに気がついた。
臨床心理学者であり京都大学の名誉教授を務められたので、
私なぞは足許にも及ばないが(比較すること自体がおかしいが)、
文章がとても平易で解りやすく、
そして取り上げるテーマのひとつ一つが核心を突いているのだ。
上質な文体であり、
随所に心憎い箇所がちりばめられているとは、
この方の文章を言うのだろう。
人間は皆平等に死が訪れる。
生きとし生けるものが死を迎えるにあたって、
自分の死に向う身支度をいかにして行うか。
これは私が最近とみに考えさせられることなのだ。
後悔のない死はあり得ないけれど、死に望んでは潔く死にたい。
潔くというのは自分自身に対してであるが。
些か禅問答のようなことに触れるにしても、
この方のような視点で日常を過ごしたいと思うのは
私一人ではないだろう。
あまり気張らずに
時間のゆとりのある時や通勤途中の電車中ででも
読んで欲しい一冊である。