
ジュエリーの歴史を学ぼう(11)
『19世紀後半の宝飾品の動き』
アーツ・アンド・クラフツ・ムーブメントは
1860年頃~1910年頃まで、
イギリスで興った芸術運動である。
この運動は一般的には
評論家のジョン・ラスキン、
デザイナーのウィリアム・モリスに代表される。
ジュエリーデザイナーでは
モリスの娘、メイ・モリスがあげられようか。
その10年前に
ラファエル前派、という絵画運動が起きるのだが、
これの精神を大部分受け継いでいる。
1890年代のフランスで
一大ブームを興したアール・ヌーヴォーは
このアーツ・アンド・クラフツ・ムーブメントが
源流となっている。

1890年代から10年間は
ヨーロッパ各地で世紀末芸術と云われ、
思想、哲学にまで波及した。
アール・ヌーヴォーや、耽美派、象徴主義なども
世紀末芸術の中に縫合される。
世紀末という言葉からは
かなりマイナーな印象を受けがちであるが、
むしろ芸術の分野では、
やがてくる20世紀へのステップとして、
活動的で躍動感に満ちた時代ととらえて良い。
1870年代から始まる
フランス第3共和制におけるベル・エポックは、
社会がダイナミックに
動き出している証しであろう。
同時に1850年代の宝飾品も
このようなアヴァンギャルド的な動きと対象的に、
考古学様式や歴史主義に基づく、
学術的な様々な宝飾品技法の研究や再現が、
それまでにもまして活発になり
新しい創造の時代を迎えていることだ。
18世紀から引き続いて宝飾品の根底にあったのは
ロマン主義であろう。
現代に用いられているジュエリーの意匠の多くは、
ロマン主義から自然主義
そして写実主義へと流れを変えながら、
脈々と培われている。
19世紀という時代は、
宝飾品の様々な分野で複雑に絡み合い
影響しながら発展していった、
ダイナミズムがなされた時代と云っても
過言ではないだろう。