深夜12時開店のBAR-9


『ますぶちStyle/宝石箱の片隅』



この店に来ると、決まってジンのレモン割りを注文する客がいる。

ジンもTanqueray(タンカレイ)しか受け付けない。

私にはどれも同じ味に思えるのだが、

ウィスキーやワインと同様、それぞれ個性があって違うらしい。

一度その客にジンの味の違いを聞いたことがあったが、

ジロッと一瞥されただけで何も答えてはくれなかった。

その事だけでも、

この客はかなり変人の部類に入ると思うのだが、

そう云えばマスターも変人の部類に入る事をすっかり忘れていた。

今夜もカウンターの端っこに、その客は独りで座っている。

いつも寡黙だ。

私はといえば反対の隅に独りでいるのだが、

そろそろ彼女が来る頃だ。

いつだったか彼女にこの客の事を話したら、

俄然興味が湧いたらしく、どうしても会いたいと言い出した。

いつ来るかも判らないと云ったのだが、

言い出したら始末に負えないので、

今夜あたりと見当をつけて来てみたら、

案の定その客が来ていたという訳だ。

20分程前に彼女からケータイに連絡があり

直ぐに来ると云っていたわりには遅い。

少しイライラして来たところに、重いドアが開いた。


この続きはhttp://jpp.shop-pro.jp/?mode=f1 でお楽しみ下さい。