福田繁雄大回顧展
今の若い人は知らない人が多いでしょう。
私たちが若者であった頃(いまでも気持ちだけは若い積もり?)、
そう1970年代前後に活躍したグラフィックデザイナー。
この時代に田中一光、粟津潔、亀倉雄策、原弘、横尾忠則など多くの巨匠を排出しました。
私たちは憧れから、追いつけ追い越せという、競争時代に入っていきました。
グラフィック、インダストリア、建築、インテリアなど
全てのデザインが萌芽していった時代です。
アートの世界ではマグリットを頂点とした、シュルリアリスムが
デザインの世界にまで降りてきて、エッシャーの騙し絵に興奮を覚えたものでした。
福田繁雄のデザインはシンプルでいながら
妙に説得力のある多くの作品を排出していました。
デザインに「遊び心」を吹き込んだのも彼でした。
常識では考えられない、主客転倒の世界
それが説得力を持って、私たちの前に姿を見せるのです。
圧巻は「ランチはヘルメットをかぶって」と云う作品でしょう。
フォークやナイフなど800本あまりを、ごちゃごちゃに組み立て
正面から見たら、何を表現しているか見当もつかない。
その立体にある方向から照明をあてると
あら不思議!!!オートバイの影が現われるという。
私はこの作品を観にいった時、あまりの凄さに度肝を抜かれました。
シュルリアリスムを超えた、とも思いました。
騙し絵やトリックなどとは違う異次元の世界。
それがこの地球上に存在するという面白さ。
そう、現代に欠けているのは、
こうした遊びのダイナミズムではないでしょうか。
ジュエリーも、見る人着ける人を充分に楽しませてくれる
そんな存在であって欲しい。
技術や素材の価値観などというものを超えた
遊び心が、ジュエリーには必要です。
この福田繁雄大回顧展は11月6日まで、川崎市市民ミュージアムで。
以降は福島県いわき市、広島市、群馬県高崎市、札幌市に巡回するようです。
40年前のものが、今新しい。
いいものは時代を超えて語りかけてくる。