「エレクトラ」を読む



ますぶちStile「宝石箱の片隅」

 

芥川賞作家、中上健次は私より1年上です。

1976年に第74回芥川賞を受賞しますが、

暮らしは決して楽ではなかったようです。

 

彼の小説は受賞作の「岬」を読んだきりですが、

ストーリーは殆ど覚えていません。

そのくらいの知識しかなかったのですが、

高山文彦が書いた、

中上健次の評伝「エレクトラ」を読んで衝撃を受けました。

 

正直この本は、とても重苦しい。

読んでいて何故か辛くなりました。

中上健次という作家は、

その風貌からかなり豪放磊落のイメージを持っていましたが

まるで違っていました。

ナイーブで繊細で、そして緻密で。

 

高山は丹念に和歌山を歩き、

中上の足跡の事実をひとつ一つを採取していきます。

足掛け7年にわたる取材によって

中上の全貌を知る事になります。

部落民の出である事。

自分の書く小説がなかなか世に出なかった事。

中上の最初の原稿を受け持った文芸雑誌の編集者とのやり取りなどは

生々しく迫力がありました。

 

小説家とはモノを書くのではなく、

自分の生き様そのものが作家の礎になっている。

 

この評伝を読んでそう思いました。

 

1992年腎臓癌により46歳の若さで死ぬのですが、

わずか20年の間に多くの作品を書き上げた中上は

どちらかというと死に急いだ感があります。

 

そして、この評伝を書いた高山文彦に改めて興味がわきました。

彼の書くノンフィクションもかなり重い。

 

たまたま本棚を整理していて、

以前に読んだこの本を改めて読み返したのですが

やはり私には重く辛かった。

 

ところで高山はこの評伝のタイトルを

何故「エレクトラ」とつけたのだろうか。