先日、雨傘を新調した。


そう、頭に直接被る傘だ。


帽子傘、と呼ぶらしい。





どうでも良いことだが、


「頭につける傘」


で検索してポチった。





海岸を歩いたり、


山道を散歩したり。


そんなとき、


普通の傘だと片手が塞がってしまう。


でも、この傘なら頭に直接被るから


両手が空いて自由になる。





待ちに待った雨の午後。


まずは浜辺を歩いてみる。





使い始めて気づいたけど、


両手が自由だからと言って


手に持つものは特にない。





そしてこの出で立ち。


かなり強めの不審者感。





……それにしても


どこかで見たような光景だ。





………。





わかった。


歌川広重だ。



歌川広重《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》東京富士美術館蔵



広重の絵に出てくる、


菅笠の旅人そのものだ。





広重の浮世絵といえば…


深みのある青。


降りしきる雨。


黙々と先を急ぐ旅人。


漂う孤独と哀愁。


…そんな、


旅情溢れる空気が人々を惹きつける。





一方の私はと言えば、


薄らハゲに傘を乗せ


目的地もなく


海岸を徘徊するだけの


怪しいおじさんだ。







広重よ。


よく見ておくがいい。


これが令和の旅人だ。





いつか人生を振り返ったとき、


私は自分のこの姿をどう評価するのだろう。





波打ち際を往復して満足した私は、


自由になった両手で


持参したバナナの皮を剥きながら


いくばくかの名残惜しさを胸に抱えたまま


雨に煙る相模湾を後にした。