翔潤天体観測の日記念
初めて潤を見たのは青山劇場の稽古場だった
ジュニアの中でも一際細くて背も低いけれど、ハッキリとした顔立ちは目を惹くものがあった
慣れないながらも見様見真似で踊る姿は、自分が入った頃を思い出す
潤はすぐに俺に懐いて、レッスンの時はもちろん帰りも同じ電車だったから、途中下車して渋谷で遊んだりもした
俺たちはいつも一緒だった
しょおくん、勉強教えて
しょおくん、今日はどこに行く？
ねぇしょおくん
潤があまりにしょおくん、しょおくんて呼ぶから周りのジュニアに冷やかされて、思わず
おまえ、うぜぇよって言ったら
潤はびくっとして泣きそうな顔になった
ごめん 嘘だよ
本当は嬉しいのに…ごめん
テスト期間中はレッスンを休むから、その間は潤には会えない
成績が落ちたら仕事は辞めるって親と約束してるから頑張らないといけないんだ
潤どうしてるかな
メールくらいくれてもいいのに
テストが終わって久しぶりに会った潤は少し背が伸びたようで、それもまた俺をイラッとさせる
ロケバスの後ろの席に俺がいるって知ってるのに、前で斗真とキャッキャ騒いでる
業を煮やして、じゅんって呼ぶとようやく来た
しょおくん 久しぶり
なんで他人行儀なんだよ
おまえ、俺がいなくて寂しくなかったのかよ
寂しかったよ すごく
そう言ってまた泣きそうな顔をするから、たまらなくなって
俺は潤にキスをした
あれは道玄坂を下るタクシーの中だったと思う
唐突に
しょおくん、俺、高校行かない
潤はこの頃から、たまに自分の事を俺と言うようになった
じゅんが俺って…全然似合わねぇよ
そういうと潤は、ぷくっと頬を膨らませた
なんで高校行かないんだ？
もともと勉強好きじゃないし、学校に行く時間あったら歌や踊りの勉強をもっとしたい
あのさ、じゅん
高校は行っておいた方がいいと思う
何のため？
勉強もそうだけど、いろんな人と会って
視野を広げるためにもね
しや？
うん、それにさ じゅん
俺たちずっとこの世界にいられるかまだわからないんだよ
違う仕事に就くかもしれないしさ
俺、頑張ってぜったいデビューする
そう言い切れる潤が俺は羨ましかった
だとしても高校は行った方がいい
わかったよ…しょおくん
結局、潤は俺の言うことをきいた
潤の中学の卒業式の日
俺たちは初めて結ばれた
それまで俺は寸前で止められていて
我ながらよく我慢したと思う
初めての日、やっぱり潤は泣いて
ごめん、痛かったか
ううん
嬉しいと涙が出ちゃうんだね
じゅん…
僕、しょおくんとずっと一緒にいたい
俺もだよ
しょおくんと一緒にデビューできたらいいな
………
そうしたらずっと一緒にいられるね
俺はなにもこたえられなかった
高校いっぱいでジャニーズを辞めると言ったら
俺はまた、潤を泣かせてしまうんだろうな