じゅん お花見しよっか
にゃ
二人だけの宴は、縁側に小さなテーブルを出して少しの酒に冷蔵庫にあったチーズと乾き物を皿に並べ、じゅんのおやつとミルクも用意した
昨日までの長雨にも負けずに、桜の花は咲き誇っていて今が見頃だ
去年は増田や上田たちが来て賑やかだったな
おやつを食べ終わったじゅんは、俺の膝に乗ってうとうとし始めた
じゅんと花見をするのはこれで何度目だろう
丘の上の桜は今も咲いてるかな
ふと、じゅんが顔を上げて俺のグラスを覗きこんだ
だめ、これはお酒だからじゅんは飲めないよ
にゃ
大丈夫、俺もそんなに飲まないようにするって
にゃぁ
どうやら俺の身体を心配しているらしい
じゅんが嫁さんだったら尻にしかれそうだな
にゃ
それでもいいからさ
次に生まれ変わって人間になったとしても俺のところにおいで
にゃにゃ
それとも、俺が猫になるってのもありかな
にゃぁ？
風が吹いて桜の花びらが舞うと、じゅんは縁側から飛び降りて一目散に駆け出した
本当にじゅんは、桜が好きだな
それ程飲んでないのに急に酔いが回ってきた
一眠りするか
長椅子に横になり、桜と戯れるじゅんを眺めながら俺はいつしか眠りについた