朝起きた時、

  ワタシ「今日は会議があるから、帰ってくるのが9時ごろになると思う」

朝食をとりながら

  ハハ 「アンタ、今日は遊びに行くねんナ?
  ワタシ「ちゃうわむかっ(怒り)  仕事や、しごとー
      帰り遅くなるから、お腹すいたらなにか買ってきて先に食べといてナ。」
  ハハ 「わかった」

ハハがデイ・サービスに出かけた後、小さなホワイトボードに「今日は会議があるので帰りが9時頃になります。お腹がすいたら何か買ってきて先に食べておいてください」と書いて、ちゃぶ台の上に千円札と一緒に置いて出かけた。

 * * * * *

半日「さんすう」にのたうちまわったワタシは、会議が始まる少し前にハハに電話した。

  ワタシ「あ、オカーサン?
      ワタシ、今日は帰るのが遅くなるから、先に何か食べといてな」
  ハハ 「うん 今『肉じゃが』作ってるねん」
  ワタシ「? 『肉じゃが』作ってるん?」
  ハハ 「そう 『鯛のアラ煮』作って、今『肉じゃが』作ってる最中やねん」
  ワタシ「『肉じゃが』作ってるのん??」(←声が若干裏返る)
  ハハ 「うん」
  ワタシ「そーかぁ 『肉じゃが』かぁ そしたら9時ごろに帰るから」
  ハハ 「はーい」(←文字にすると、普通の会話してるなぁ・・)

ワタシがなんでこんなにびっくりしているかというと・・・
ハハは『認知症』の診断を下されて以来、家事をすべて忘れてしまった(本人はちゃんとこなしていると思っている)。

時折思い出したように、ごはんを炊いたり、おかずを作ったりすることはあったが、それは常に『鯛のアラ煮』だったのだ。

つまり『肉じゃが』は、3年半以上たって、突然思い出したように作ったってこと。

これは、いったい、どういうことなんだろう???
ビックリした。
本当に、ビックリした。
誰か、説明してくれーーーーーあせあせ(飛び散る汗)

 * * * * *

『肉じゃが』と『鯛のアラ煮』があるのなら・・・と、コンビニでおにぎりを買って帰った。

家に着いた時、ハハは既に二階に上がっていて、階下は電気がついておらず真っ暗だった。
ワタシは電気をつけながら台所に行った。
食卓の上に『鯛のアラ煮』がラップをかけて置いてある。

お鍋のふたを開けると、そこには『肉じゃが』があった。

むー。
また『濃口醤油』を使ったな? 黒いぜ。
以前は『くし切り』にしていた玉ねぎが1センチくらいの『細(太?)切り』になっている。
じゃがいもがデカイ(笑)。 「おでんのときよりやや小さめ」という感じ。

色は黒いがちゃんと出来てるっぽい・・・ので、ワタシはじゃがいもを少し割って味見をしてみた。

やっぱり辛い・・・けど、ちゃんと芯まで火が通っていた。

あー。
静かに、本当に静かに、『うれしー』が一気にワタシの中に湧いてきた。
おかしな表現だと思うけど、ホントにこんな感じ。

「作り方覚えてたんやー、でも切り方は忘れてるんやー」

ひとりでその感激(笑)を抱えているのはもったいないので、伯母に電話してしまった(笑)。
伯母はすごく喜んでくれた。

本当ならイモートに教えてやればいいんだけど。
でも、今の『感じ』を壊されるかもしれないと思うと、出来なかった。

 * * * * *

二階に上がると、ハハはエアコンをつけて(昨日まで『冷房(青)』のボタンを押してたのにちゃんと『暖房(赤)』になってた)、もう寝る体勢に入っていた。

  ワタシ「ただいまー ゴハン、食べたん?」
  ハハ 「まだ食べてない」

いくら「先に食べてて」と言っても、ハハはワタシを待っていてくれる。
それは、チチの生前「夕食は家族全員揃って食べる」のがルールだったのと同じなのだ。

 * * * * *

ワタシは最近、強く感じることがある。
上手く表現できるか、わからないんだけど・・・・。

ウチのハハの場合、『認知症』と診断されても『今したことを忘れる』サイクルがものすごく速いこと以外、あんまりヘンじゃないのだ。

『ヘン』はヘンなんだけど、ワタシが流せる程度の『ヘン』?
ハハが『ハハ』という人であったころの『核』『人格』は、ちゃんと残ってるのだ。
だから、それを否定したり、けなしたりするのはヨクナイ。

すごくすごく忍耐強く、赤ちゃんを育てているのに似ているんじゃないかなぁ。
「笑った」と言っては喜び、「のけぞって大笑いした」といっては喜ぶ。
何回聞かれても、同じことを繰り返し繰り返し言う。

・・・うーん、やっぱ、うまく説明できないなぁ。(^^;  ゴメンナサイ

ワタシは多分、介護生活をしている人間としては、恵まれた環境にいると思う。
だからハハに気を配ることができるのかもしれない。

それでも『なるべく目の届くところにいる』ことを心がけてはいるけど、『時間がかかってもいいから自分でできることは自分でしてくだサーイ』という、ズボラな姿勢は崩してない。(←エラそうにいえることなのか?)

なるべく外に連れ出して歩いて、規則正しい生活(ワタシがこの単語を使うとは笑ってしまう・・デイが隔日なので昼夜逆転するヒマがない、という意味ね)をして、たくさん話をして、ハハにもたくさん話をさせて、なるべく沢山笑って・・・。

それだけなんです。

すべての人にあてはまるわけではないし、ウチもこの先どうなるかわからないけど、

 とにかく『怪しい』と思ったら、すぐ病院に連れて行こう!
 そして運悪く『認知症』の診断を下されてしまったら
 つらくてもできるだけ速くその宣告を受け入れよう。
 後は『自分がどういう生活を送りたいか』を一番に考えて、環境を整えよう。

うまく伝ってるかどうか自信がないけど、そんな感じです。

失礼しました(ちょっとだけ続く・笑)。
最近、ハハが声を出して笑うようになった。

いつ頃からかわからないけど、しばらく前までは表情が乏しくて、笑うことはあっても「小さく笑う」感じだったのが、最近は「あはは!」と割と元気よく笑う。

・・・まぁ、いいことなんだろうけど、その分元気になって、時々「オカーサンは毎日家事全部こなして忙しく働いてるのに、アンタはエエ年して仕事もせんと家におって親掛かりで・・」と、まるでイモートのようなことをいうのが、ムカツクむかっ(怒り)

 * * * * *

基本的に、ワタシはハハを笑わせるように話をするようにしている。

んでもって、ワタシは考えた。

父祖母が亡くなってからハハは、チチとワタシとイモートがいない間、家で一人でいたのだ。
お寺の集まりとか、お友達(あまり多くない)と出かけるとかいうことはあっても、家にいたほうが多かったんじゃないかと思う。

年をとってきて、ハハは元気でも、一緒にでかけていたお友達たちが体を悪くしたり、お友達のご主人が体を悪くしたり・・・みたいなことが続くようになった。

会社で勤めた経験がなく、一人で出かけることが苦手なハハは、チチの死後一年ほどしてからしばらくは、一生懸命でかける練習をしていたが、食事処や喫茶店で「ぼーっ」と時間をつぶすことができなくて、出かけること自体をやめてしまった。

もともと、家で本を読んだり、編み物をしたりするのが好きな人だったから。


「大阪のオバチャン」だけど、知らない人には話しかけられないタイプ。
・・・ちなみに、ワタシは最近話しかけられるようになりました(笑)。

 * * * * *

男の人は社会経験がある分「ひとり歩き」には慣れているだろうけど、それでも「イヤ、僕は家の中にいるほうが好きです」って人は多いだろう。

 * * * * *

「人と他愛のない会話を楽しむ」ってことは、きっととっても大事なことなんだ。

・・・みんな、他愛のない会話をする練習をしといたほうがいいぞ~(笑)
そしてお昼。

  ハハ 「お腹すいたよーん」
  ワタシ「エエー? もう? チョット前に食べたやん・・・」
  ハハ 「人はちゃんと、朝・昼・晩と三食食べないとアカン!」
  ワタシ「・・・そしたら、焼き飯でいい?」
  ハハ 「オカーサン、汁気の多いものが食べたいナー」
  ワタシ「・・・ほんなら、なにがええのん?」
  ハハ 「アンタ、決めて」 ← なんかヘン
  ワタシ「そしたら、おうどんでも食べに行く?」
  ハハ 「ウン」

おうどん屋さんにて。

  ワタシ「ワタシ、ちからうどん。オカーサンは何にする?」
  ハハ 「・・・・・・・・・・アンタ、決めて・・」
  ワタシ「カレーうどん、山菜うどん、天ぷらうどん・・」
  ハハ 「山菜うどんにする」
  
食べたいという思いはあるけど、何が食べたいかわからない・・・感じ。

  ハハ 「おはぎ、買って帰ろ!」

そのおうどん屋さんは、店頭でお赤飯、おはぎ、いなりずしなどを売っているのだ。

  ワタシ「えー? 家にあるお菓子とか、先に食べてからにしいよー」
  ハハ 「ヤダ。 おっ・はっ・ぎっ!おっ・はっ・ぎっ!」

小豆の好きなワタシはこのときは比較的簡単におはぎを買う。
店を出た瞬間。

  ハハ 「となりで焼き鳥かって帰ろう。食べたい。」
  ワタシ「あかん。夜は鶏の水炊きやし、また今度な。」
  ハハ 「エー! オカーサン、明日死んでしまうかもしれんのに・・・」
  ワタシ「そのときは、ちゃんと焼き鳥お供えしたげるから」

まったくもう、次から次へと・・・(-_-;)
これだけ「お腹すいた」「あれ買って」という割には、いざ目の前にくるとほとんど食べない。
我が家のエンゲル係数は昔から高かったけど、構成人数が半分になってからも高いままだ。
夜、パソコンを触っていると、よくハハに叱られる(笑)。

 ハハ 「もう! アンタはいつも夜中になったらそんなもん触って。
     昼間はグースカ寝てるくせに。
     夜中に電気ついてたら、寝られへんワ!」
 ワタシ「あー、ゴメン。もう寝るわ・・・」
 心の声「うそつけー トイレに行くのに今起きただけで、
     さっきまでイビキかいて寝てたやんかー」
 ハハ 「こっちは昼間ずっと仕事してるのに・・・」
 ワタシ「はぁ・・・」
 心の声「うーそーつーけーむかっ(怒り) デイサービスのない日は一日寝てるやないかー」

そして翌朝。

 ハハ 「おきろー。 お腹すかへん?」
 ワタシ「・・んあ・・・ 寝てたからすいてない・・・・」
 ハハ 「そんなこと言わんと起きて起きて。ゴハン食べに行こ!」
 ワタシ「朝ごはんくらい、自分で作りーや」
 ハハ 「・・今日はそんな気分になられへんねん・・・・」 

昨日と話が違うではないか。
なにをアンニュイな雰囲気をかもしだしているのか・・。

 ワタシ「昨日買ったサンドイッチ、枕元にあるんとちゃうのん」 →ある。
 ハハ 「ゴハンが食べたいねん・・・」
 ワタシ「オニギリも買ってたやん」 →ある。
 ハハ 「味のついたゴハンが食べたいねん・・」

「ああいえば、こういう」とは、このことである。 ムキーむかっ(怒り)
ちなみにワタシもよくそう言われる。

 * * * * *

我が家はデイサービスのない日は、モーニングだったり、ブランチだったり・・とにかく外食である。

そしてよく行くコーヒーショップの正面には、パチンコ屋がある。
モーニングには少し遅い時間帯だったので、パチンコ屋の前には開店待ちのお客さんが並んで待っていた。

コーヒーショップの2階の窓際の席に座って、ハハは窓からそれを眺めていた。

 ワタシ「パチンコ、したいの?」
 ハハ 「のめりこんで、スッカラカンになったら困るからせえへん・・・」
 ワタシ「あっちにあるパチンコ屋さんやったらええで?」
 ハハ 「ほんま? 行こ行こ」

・・・というわけで、朝10時過ぎから親子でパチンコしてきました。

相変わらず「なにがどうなったら、どうすればいいのか」さっぱり分からず(台は入れ替わってるわ、両替機は変わってるわ・・・)、あわあわのワタシ。

むー。
お祭りの『東京コロッケ』のパチンコしかしたことのないワタシには、難しすぎる。
ワタシの知ってるパチンコには「当たり」の穴がいっぱいあったのに、今は一個しかないやんか。

それに、こんなにコロコロと台がかわたったら・・・みんな、予習して行くのかなぁ。

ハハとワタシは同じ『牙狼』という台だったのだが、今回もハハの方が先の画面に進んでいたのが、これまたにくそい。

「つまんないよねー」といいながら、1円玉台で200円ずつ使って帰って来ました。
寒くなってきたので「今日は鍋にしよう」ということになり、ランチがてら出かけたついでに、材料を買いに行った。

「今日は豚しゃぶにしよう」ということになって、豚肉や白菜やしいたけなど、必要なものを買いこんだ。

家に帰ってしばらくすると、それまでテレビを見ていたハハが階下に降りていき、台所のあたりからカタカタ音がする。

一応「見守り」(笑)ということで、ワタシも階下に下りて、テレビを見ながら様子を伺っていた。

「ご飯、どうする? もう食べる?」とハハが台所からワタシに声をかける。
「ん~? もう仕度できたん?」と台所に行き、すばやくチェック(笑)。
ときどき食事の支度をしてくれるんだけど、不思議なものがあったりするからね.

本日は「パーフェクト!」でした。
白菜の根元とか、大根や人参は下茹でまでして、ワタシより丁寧ですっ。

やっぱりスーパーで、鍋の材料以外には、お漬物を買っただけなのがヨカッタのかしらん。

後片付けもハハが大方してくれました。
わーいわーい (←わっるー)。


自分がラクできるための努力には全力をそそぐムスメです。