「中道改革連合」がめざすものとは何か
「中道改革連合」結成の経過
「戦争国家化」をめざす高市政権の発足の下、高市が「政治とカネ」に無反省で公明党からの提案を無碍にしたことで、公明党はついに連立を解消し離脱した。
また自民党との連立を離脱するので今後は小選挙区制に候補者を立てられない公明党は、これまたじり貧に陥りつつあった立憲民主党の野田・安住らと折衝を開始した。
そして高市の突然の解散・総選挙により「右でも左でもない」中道改革勢力の結集を一気に加速させ結成されたのが、「中道改革連合」である。
皮肉にも「中道改革連合」の結成を促したのは、他ならぬ高市早苗本人の解散判断だったのである。
こうした経緯から分かるように展望なき立憲民主党は必死の公明党にオルグされてしまったといえる。
かくして立憲民主党は反安保・反原発再稼働等の結党の精神を忘れ去り、長らく「中道」を掲げて来た公明党に巻き込まれるかように、即解党して新党の結成となったのである。
「中道改革連合」の綱領と政策
1月19日、公明党の西田幹事長と岡本政務調査会長は、立憲民主党の安住幹事長、本庄政調会長と記者会見を開き、中道改革勢力の結集をめざして結成された新党「中道改革連合」の綱領と基本政策を発表した。そこに斉藤代表と野田代表の姿はなかった。
綱領では「対立を煽り、分断を深める政治ではなく、対立点を見極め、合意形成を積み重ね、生活者ファーストの政策を着実に前へと進める中道政治の力が求められている」と強調されていた。
そして「中道」の政治理念としては「生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義」を明記し、「国民の利益と幸福に奉仕する国民政党として、国民が求める改革を主導する基軸となることをめざす」とした。
その上で「中道」が進める政策の柱として①一人ひとりの幸福を実現する、持続的な経済成長への政策転換②現役世代も安心できる新たな社会保障モデルの構築③選択肢と可能性を広げる包摂社会の実現④現実的な外交・防衛政策と憲法改正論議の深化⑤不断の政治改革と選挙制度改革を掲げていたのである。
まさにここには立憲民主党の理念ではなく、公明党の理念が強く打ち出されていた。
「中道改革連合」のめざすもの
記者会見で西田幹事長は、「中道改革連合」の綱領については「公明党の考え方をベースに両党で協議し、修正・加筆した。日本の政治に本格的な中道勢力の塊をつくる第一歩としたい」と述べた。
さらに中道の意義では「端的に言えば、生活者ファーストの政治の実現であり、平和を守ることだ。強い国家、強い経済は大事だが、その先に人々の笑顔や暮らしの満足がなければならない。私たちは生活者ファーストの中道政治をめざす」との考えを示した。
そして食料品の消費税については「福祉的な観点から、生きていくために必要な食料品の軽減税率を恒久的にゼロにしていきたい」と力説した。
また財源を赤字国債の発行に頼れば円安がさらに物価高を助長しかねないと指摘し、公明党が提唱してきた、国の資産を一体運用して財源を生み出す「ジャパン・ファンド(政府系ファンド)」の創設などを通じて「“令和の財政改革”を進め、財源をつくり出す」と訴えたのである。
すなわち「中道改革連合」のめざすものは、確かに「戦争国家化」をめざす高市早苗への反発はあるものの、決して政権交代をめざすものではなく反自民でもないのである。
日本政界に中道勢力のひと塊を作るというもの。「中道改革連合」のめざすものはそれ以上でもそれ以下でもないのだ。
すなわち「中道改革連合」の実質は、公明党のバージョンアップ政党である
実際、公明党の斉藤代表は自身のXで「自由民主党を含め、各党と等距離の立場で、中道改革の軸となる塊をつくっていく」と述べ、自民党の石破や村上らの「穏健保守」にまで新党への参加を呼び掛けている。すなわち「中道改革連合」は反高市ではあっても反自民ではない。ここで重要なのは反高市ということに尽きる。
そして「中道改革連合」の基本政策についても、斉藤代表は公明党が昨年11月末に全国県代表者会議で示した中道改革の五つの柱をベースにしていると説明した。事実、その時公明党が示した五つの柱は、新党が掲げる綱領の五本柱と重なっているのである。
これらの基本政策を見ても、安保法制を「合憲」とする立場や原発再稼働の容認をはじめ、政治改革では企業・団体献金の「禁止」は掲げず、「受け手規制」にとどめる等、自民党政治に全面的に対決する姿勢はなく、実際に自民党との再連立をめざすものとの陰口がある。
確かにこうした姿勢は見透かされている。実際、党綱領の発表会見でも、記者から「政権交代という言葉が抜けている」との指摘がなされ、立憲民主党の安住幹事長は「綱領に政権交代なんて野暮な言葉は書かない」と応じる場面があった。
今の立憲民主党の姿はまさに結党時から変節している。
そうだ。現在の立憲民主党は反安保・反原発再稼働等の結党の精神を忘れ去り、それゆえに易々と公明党に踏み絵を踏まされ、そして解党したのだ。立憲民主党の衆議院議員の148名の内、144名、つまりほぼ全員が新党に加入するのである。
彼らにとって原理・原則とは一体何だったのだろうか。
「中道改革連合」への批判
「中道改革連合」批判の急先鋒は共産党である。共産党は、「中道改革連合」は高市自維政権に対抗する立場を完全に放棄したばかりか、かつての立憲民主党の反自民の立場がみられないと批判する。
さらに衆参で自民党が実際に過半数割れに追い込まれている下では、自民党政治を根本から変える立場を鮮明にすることが今ほど求められている時はないのに、自維政治を追認する立場を取ることが許せないと大いに憤慨しているのである。
共産党によれば、安保法制廃止は市民と野党の共闘の「1丁目1番地」である。だから今回の「中道改革連合」の安保法制「違憲」から「合憲」への転換は、自民党政治を変えようと懸命に支援してきた草の根の市民に対する最悪の裏切りといわざるをえないと共産党は批判する。
立憲民主党の安住幹事長は会見で「専守防衛の範囲で厳格に運用され、自国の防衛のための自衛権の行使は、合憲とみなす」と述べ、歴代政権が違憲としてきた集団的自衛権の行使容認を強行した安倍政権の決定を是認したのである。
これはかつて公明党が容認する集団的自衛権の行使は「自国防衛」に限定されたものであり、「他国防衛」をする集団的自衛権の行使ではないとして、「歯止めをかけた」と自らを正当化した論理と全く同じである。
だが今の立憲民主党は、希望の党に排除された枝野幸男の結党した立憲民主党ではないのだ。
現在、立憲民主党の枝野幸男は沈黙を貫いている。これはまさに裏切りではないか。
このように今回安保法制廃止等を投げ捨てたことは、当然のことながら憲法の平和原則等への背信にとどまらず、立憲民主党の立党精神である「立憲主義」を自己否定したことになるのである。
立憲民主党は右旋回したと批判する人々がいる。だが実際には野田佳彦が代表になった時点で立憲民主党は変節したのだ。
小選挙区ではどのように闘うべきか
共産党の小池書記局長は、立憲民主党はこれまで安保法制の廃止や原発ゼロを掲げてきたとし、「立憲民主党が公明党の政策を丸のみして結党の原点として訴えてきた政策を放棄し…自民党政治を終わらせる政治的立場を失ってしまった」とする。
それゆえに日本共産党としては、今回の総選挙で中道改革連合との選挙協力は行わず、今回は自主投票にするとの方針だという。
だが今回の選挙は「高市早苗が総理大臣でよいか」であり、何をするかも明らかにしないまま自らへの白紙委任状を要求する選挙だ。まるでナチスの「全権委任法」ではないか。したがって今回の選挙では小選挙区で何としても与党を勝たせてはならないのである。
高市早苗は愛国者を気取っている。今回自らがその言動で我が身に引き寄せたのは、①台湾有事発言による対中経済の悪化②自らの政党支部の政治資金規正法違反③旧統一教会の広告塔活動の発覚だ。
だが日本人からカネを理不尽に巻き上げ教団本部のある韓国に上納させることを教義とする反日の旧統一教会の広告塔を、嬉々として勤める愛国者など偽者である。
私たちの方針は自民党と維新を主敵だと明確化し、彼らを落選させるために自主投票するということに尽きる。
実際、自らの候補者がいない以上自らの票を死票とはせず、各野党に対する批判は当然ながら激しく行うものの、主敵は見誤らないようにしなければならない。
そもそも高市人気によって小選挙区で与党の必勝が保証されるなど、何の根拠もない甘い夢でしかない。誰が旧統一教会系や裏金候補に入れるというのか。
今回の選挙は、高市早苗が総理大臣でよいかを問うものだとのこと。またその議席の獲得目標は与党で過半数というものだ。これに自分の進退を賭けると高市はいうのである。まさに正気かと問いたいところである。
私たちの今回の獲得目標は高市早苗の退陣である。この目的のために闘っていこう。
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