植草一秀の『知られざる真実』
2026年6月14日 (日) 万世一系の男系男子は虚構
皇位継承問題についての国民の最大関心事は愛子氏が天皇になるのかどうか。女性天皇、女系天皇を容認する国民の声が圧倒的に強い。
これに反対する勢力は「万世一系の男系男子」を主張する。
その際、最重要になるのは「万世一系の男系男子」という「事実」が存在するのかどうかである。
歴史学の一般的学説は「万世一系」と「男系男子」のいずれをも否定する。天皇家は「万世一系」ではないと見られている。
また、「男系男子」が永続してきたという「説」も誤りとする。皇位継承問題においては、この点の「歴史上の事実」を確認することが優先されるべきだ。
「万世一系の男系男子」はフィクションであるとするのが歴史学の見地。大日本帝国憲法制定時に定めた原理でしかない。
「例外のない男系継承」は『古事記』、『日本書紀』=『記紀』を根拠としている。しかし、これは8世紀前半に中国を模倣した律令制採用と同時に流入した中国の男系宗族制度観念から埋め込まれたもの。このことを歴史学が明白にしている。
初代から9代の天皇の系譜は以下にとおり。
初代 神武(じんむ)紀元前660〜585年:享年127歳
2代 綏靖(すいぜい)紀元前581〜549年:同84歳
3代 安寧(あんねい)紀元前549〜511年:同57歳
4代 懿徳(いとく)紀元前510〜477年:同77歳
5代 孝昭(こうしょう)紀元前475〜393年:同114歳
6代 孝安(こうあん)紀元前392〜291年:同137歳
7代 孝霊(こうれい)紀元前290〜215年:同128歳
8代 孝元(こうげん)紀元前214〜158年:同116歳
9代 開化(かいか)紀元前157〜98年:同111歳
2代から4代以外の6人が100歳以上まで生存。
137歳まで生存した者さえいる。
この9名に関する事績の記録はほとんど存在しない。第10代の崇神(すじん)天皇から第25代武烈(ぶれつ)天皇までの実在も極めて不確かである。この期間の初期の天皇の長命も奇異である。
特異な存在が第26代継体天皇。即位は507年。越前の支配者から天皇に即位。応神天皇の5世孫とされ、200年前に天皇の血統から分岐したとされるが極めて不確かである。
25代と26代の間に血統の断絶があるとの見方が歴史学では有力なのだ。
『選択』2026年5月号記事「皇統「男系継承」という幻想の世界」によると、26代継体は24代仁賢(にんけん)天皇の皇女を正妻に迎えている。さらに、継体の子である27代安閑(あんかん)、28代宣化(せんか)はともに仁賢の皇女を正妻に迎えている。
これを上記『選択』記事は「前王朝への婿入り」であるとし、「女系」の血統での正統性担保であったと指摘する。
同記事は「入り婿・女系継承という“不都合な真実”が歴史に埋もれている」と指摘する。
「万世一系の男系男子」がフィクションであることを明らかにしたうえで皇室典範を改正する必要がある。
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