トランプ「真珠湾攻撃」発言と高市氏の沈黙は何を意味するか
アリの一言 2026-03-23 03:00:00
今回の日米首脳会談の冒頭、高市早苗首相はじめ日本側が誰も想定していなかったであろう発言がトランプ大統領から飛び出しました。今回のイラン攻撃をなぜ同盟国の日本に事前に伝えなかったのかときかれたトランプがこう答えたのです。
「奇襲だったため、誰にも知らせなかった。奇襲について日本より詳しい国はあるか?なぜ真珠湾攻撃について事前に言ってくれなかったんだ」(20日のテレビニュースの生発言)
この発言に、「米側関係者からは笑い声が起きた。高市早苗首相は一言も発さず、目を大きく見開いていた」(21日付琉球新報=共同)。
この光景は何を意味しているでしょうか。
第1に、トランプが日本の「真珠湾攻撃」持ち出して国際法違反のイラン奇襲の正当化を図ったのは、それが日本の弱点であり、それに言及すれば日本を黙らせることができると考えているということです。
「ニューヨーク・タイムズ紙は、戦後日米が和解に取り組んできた経緯を踏まえ、歴代の米大統領は日本の首相を前に真珠湾攻撃について多くを語るのを避けてきたとする米国の日本専門家の声を紹介。今回の発言について、トランプ氏がくり返す「外交的慣例の無視」の一例だと同紙は指摘した」(21日付琉球新報=共同)
トランプが日米首脳会談で「真珠湾攻撃」に言及したのはこれが初めてではないといわれています。
「トランプ氏は1期目の2018年6月に安倍晋三首相(当時)とホワイトハウスで会談した際「真珠湾攻撃を忘れない」と述べたと報じられている」(同琉球新報=共同)
トランプが安倍元首相に突き付けた米製兵器の爆買いなど数々の要求の背景に「真珠湾攻撃」を使った圧力があったことをうかがわせます。
第2に、このトランプ発言に高市氏が一言も発しなかった(発することができなかった)のはなぜか。
日本では高市氏の沈黙は問題視されていませんが、イギリスのタイムスは昨年6月に同じホワイトハウスで行われたドイツ・メルツ首相との会談と比較して注目しました。
この会談でトランプが第2次世界大戦の連合軍ノルマンディー上陸作戦「Dデイ」(1944年6月6日)に言及し、「ドイツ人には愉快な日ではなかった」と皮肉ったのに対し、メルツ氏は「わが国がナチス独裁から解放された日だ」と応じました(20日のテレビ朝日系ニュース)。
メルツ氏は「Dデイ」はたしかにドイツが敗北へ向かった日だったが、それはドイツがナチスの独裁から解放された喜びの日でもあったとしてトランプの揶揄(圧力)を切り返したのです。
同じ第2次世界大戦の敗戦国である日本とドイツ。トランプがそれを弱点と見て発した言葉に、メルツ首相は即座に切り返し、高市首相は当惑したような表情を浮かべて沈黙した―この違いはどこからくるのでしょうか。
ドイツでは戦争を遂行したナチスの歴史的責任を断罪し教訓化されているのに対し、日本では最高責任者であった天皇裕仁を免罪するなど侵略戦争・植民地支配の加害の歴史に対する反省・教訓化がまったくといっていいほどなされていない。その違いの反映ではないでしょうか。
そして高市早苗氏こそはその加害の歴史を否定する「歴史修正(改ざん)」主義者の代表格なのです。
もし日本の加害の歴史に対する認識・反省がある首相であれば、トランプの「真珠湾攻撃」発言に対し、たとえば、「確かにあの奇襲攻撃は誤りだった。国際法に照らしても許されるものではない。それはイラン攻撃も同じだ」と言えた(言うべきだった)のではないでしょうか。もとより高市氏には望むべくもありませんが。
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