中国との関係を完全に壊して戦争体制に入った戦後80年 | ワーカーズの直のブログ

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2025年が終わる - 中国との関係を完全に壊して戦争体制に入った戦後80年

世に倦む日日 2025年12月30日 15:21 

 

2025年が間もなく終わる。12/21 から自民党議員30人が続々と訪台し、頼清徳と会談する様子がテレビで報道されていた。今年最後の記事だが、この問題を素通りすることはできない。

 

長島昭久と並んで 12/24 に会見の場に立った鈴木馨祐が、「第1列島線、第2列島線にしっかりとした抑止力を構築していかなければならない」と言い、「日台両国でしっかりと連携をして」「抑止力をどう強化し、機能させられるのかを含めて意見交換した」と発言した。日本のテレビ報道はこれをそのまま放送した。高市の代弁だ。中国の政府と人々はこのニュースに接して、あらためて深刻な衝撃を受けただろう。

 

日本と台湾の間には相互安全保障条約はない。軍事協力する協定もない。国交すらなく、国家間の関係は何もない。日本は72年の日中共同声明で台湾を中国の一部と認めている。その日本の自民党議員が、高市早苗の名代たちが、注視する世界を前に平然とこう言い放った。

明らかに、11/7 の高市早苗の「台湾有事=日本有事」答弁から始まった日中の外交紛争と中国側の日本非難の攻勢を受けての、高市政権側からのカウンターメッセージの発信である。強烈な反撃だ。

 

鈴木馨祐は「日台両国」と記者の前で明言していて、台湾を国家として認めている。意図的にその既成事実を作っている。その上で、事実上台湾が日本と軍事同盟関係にある国家と位置づけ、敵国である中国から台湾を防衛する意義を確認し、共同一体で軍事対抗すると表明している。これはきわめてザッハリヒで極限を超えた中国への挑発だ。高市政権の右翼遊撃隊による、中国に対する断交宣言と開戦予告の弁だと言っていい。

 

ここまで踏み込むのかと仰天したが、日本のマスコミ報道では批判は皆無で、注目して取り上げることさえしなかった。こんな危険な(暴挙の)メッセージを外交の場で発したら、中国側がどんな厳しい報復に出るかという不安や予想さえマスコミ空間では語られなかった。

12/26 には河野太郎が訪台して頼清徳と会談、日台EPAの締結について協議した。7年前の2月、河野太郎は華春瑩とツーショットの写真を撮り、それを得意げに Twitter に上げて拡散した一件があった。安倍政権時代の余聞で、悪化する日中関係の中で改善の気運が多少高まり、同年10月に安倍晋三が訪中という外交経過があった、その準備途上の出来事である。

 

中国側が河野太郎に油断を見せたのは、河野太郎が河野洋平の息子であり、ポスト安倍を狙える将来の可能性を考えたからだ。河野洋平は日中友好の原理主義者だった。村山内閣の外相時代、外遊の帰路、搭乗した飛行機の急な不具合か何かで台北空港に緊急着陸した際、中国との関係を慮って一歩も機外に出なかったという有名な逸話がある。

 

河野太郎は狡猾に中国側を騙して手玉に取った。日本側の常套の欺瞞の手口であり、何度も繰り返されている。ネットに上がった写真は半永久的に残る。今、華春瑩は立場がないだろう。

そして暮れも押し詰まった 12/29、中国軍が台湾周辺で2日間の軍事演習をすると発表して実行した。年越しのネットは関連する情報で騒然とし、正月も余波が続いて対中憎悪感情がいちだんと増幅するに違いない。

 

高市発言の後、11月中旬、中国側が激越な抗議を開始し、渡航自粛や水産物輸入停止に出たとき、それでも高市が撤回しない場合は軍事的措置にエスカレートするだろうと私は予想した。案の定、空母遼寧の太平洋側北進や戦闘機によるレーダー照射、爆撃機の四国沖上空接近などが続いたが、今度は台湾周辺での軍事演習に出てきた。中国軍報道官は「台湾の独立勢力と外部の干渉勢力に対する重大な警告だ」と主張している。察するに、自民党議員団の訪台とそこでのメッセージへの応酬措置だろう。

 

中国側の立場と論理からすれば、高市政権の対中戦略の連打(核保有継戦能力・訪台)とエスカレーションは、座視も看過もできない暴挙で、国家安全保障上の窮迫の脅威に他ならない。

12/3 に上げた記事で、高市発言の狙いは台湾関係法の日本版の制定へ向けての布石だと書いた。鈴木馨祐の発言は、台湾に対して軍事的に支援し、連携体制を固め、中国と対抗する決意を明らかにしたもので、まさに台湾関係法を日本が制定するという企図が露骨に示されている。

 

元自衛隊トップの岩崎茂が今年3月に台湾行政院顧問に就任した動きとも絡み、水面下で実務工作が進んでいる内情が察知される。不思議なのは、マスコミだけでなくネット空間の議論でも、台湾関係法というキーワードが誰からも言挙げされない点だ。左翼リベラルの方面からも音無しで、布施裕仁や半田滋からも、内田樹からも指摘がない。警戒警報が発信されない。

 

本来であれば、TBS報道特集が企画を立て、台湾現地を取材し、この動きを監視し分析している台湾のジャーナリズムやアカデミーの見解と批判が日本の視聴者に届けられて然るべきだろう。日下部正樹が猛烈な反中共派であるため、そうした必要な報道が提供されない。

2025年は、戦後80年の記念すべき年であったが、残念ながらそれに相応しい、戦争を反省して平和を誓う年にはならなかった。それとは正反対の方向に進み、戦争以外に道はない体制に固まる年になった感が強い。

 

テレビでニュース番組が流れる度に、ワイドショーの放送が行われる度に、スタジオから戦争プロパガンダが撒かれ、中国との戦争が肯定化され、視聴者の意識が戦争に積極的な方向へ傾けられて行く。中国共産党の独裁国家を打倒し、民主主義台湾を防衛するのが日本国民の使命であるという「正論」が塗り込まれ、その立場が多数なのだぞと説教され、マスコミの「世論調査」で「証明」されて行く。

 

中国との戦争に反対する者は異端であるという環境に包囲されて行く。その潮流に抵抗すべく140字の構文を作って意見すると、忽ち「中国人の工作員」だの「反日クズ左翼」だのの揶揄と侮辱に撃たれ、汚い誹謗中傷の洪水となる。右翼の迎撃に遭い、凶悪で野蛮なリンチ禍の洗礼を受ける。何人かはXのリプ欄を閉じた。

暗黒に沈む戦前の風景そのものの2025年だが、愉しく気が緩む出来事もあった。一つは社会主義者でイスラム教徒のマムダニがNY市長選で勝利した快挙である。この殊勲の政治は、中国ではどう紹介され解説されているのだろう。中南米諸国ではどういう反応と評価だったのだろう。キューバやイランはどう受け止めたのか。インドやベトナムやインドネシアではどうなのか。残念ながら、それらの状況が日本の報道で説明されることはなく、明確な一般像を結ぶことはない。

 

だが、まさにブレイクスルーの一撃であり、対抗軸の存在と実力が明らかになった希望の絵だった。保守、保守、保守と、保守主義ばかりが称揚され、社会成員の全てが自己を保守の一員として定義し、保守の外皮で保護された内実たる資本主義を肯定しなければならない思想的牢獄の中で、進歩の光が見えた瞬間だった。人類の進歩はあるのだ、確信を持とうと、丸山真男の霊に語った小田実の言葉を思い出す。

NHK連続ドラマ『あんぱん』で蘭子役を演じ、国民を熱中させ絶賛を浴びた河合優実の迫真の演技と、その後に週刊誌で発した反戦の言葉も、記憶に刻み込むべき2025年の重要な一事だと思う。戦後80年らしい印象的な場面は、24歳の若い河合優実によって作ってもらった。

 

「この時代にちゃんと戦争にノーを言う人をいま演じられたのは、すごく意義があると感じたし、大切に演じたいと思いました」「反戦は、いま当たり前の価値観であってほしいですが、軍国主義に傾くのぶや世の中に、また、ドラマを通じて今の世界に、私が強い気持ちで伝えないといけない、と感じていました」と堂々と発言した。

 

さらに「今、一番関心のある社会問題は? と問われると、『強いて選ぶならガザのことです』」とも。再読してありがたくて涙が出る。反戦の意思を最後まで貫き、それを常に公言し、今年逝った仲代達矢の姿と重なる。俳優は無数にいる。だが、仲代達矢や河合優実と同じ姿を見せられる、価値ある役者、勇気と知性のある役者はほとんどいない。

熊のことや米のことや、新浪剛史の大麻事件や、名古屋の事件のことや、映画『国宝』の感動や、石井大智と新庄剛志の活躍のことや、いろいろ評論して2025年を振り返りたいが、長くなるのでここで筆を置こう。大きな病気もなく一年過ごすことができ、大濠公園の満開の桜や永観堂の紅葉のライトアップも見ることができた。来年は久しぶりに経済の問題に焦点が当たりそうな予感がする。

 

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