韓国新大統領・「良好な日韓関係」とは何か
アリの一言 2025年06月06日 | 朝鮮半島の歴史・政治と日本.

韓国の新大統領に李在明(イ・ジェミョン)氏が選出されました。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領による昨年12月の「非常戒厳」に対する韓国市民の怒りの大きさを改めて示しました。
日本のメディアは李在明大統領の下で日韓関係がどうなるかという点に注目して論評しています。この中で、「前政権で改善した良好な日韓関係を引き継ぐよう期待したい」(5日付東京新聞社説)、「日韓関係を再び悪化させてはならない」(5日付毎日新聞社説)など、日韓関係は尹前大統領によって文在寅(ムン・ジェイン)政権時代よりも「改善」された、「良好」になったという論調にあふれています。
これはたいへん危険な論調・評価です。
確かに、韓国政府と日本政府(自民党政権)の関係は、文政権時代より尹政権時代の方が「良好」でした。しかし、それはあくまでも政府間の関係の話です。
文政権と自民党政権の関係が良好でない、むしろ険悪だったのは、自民党・安倍晋三政権が「徴用工(強制動員・労働)問題」や「日本軍慰安婦(戦時性奴隷)問題」など植民地支配の日本の加害責任の隠ぺい・帳消しを図ったからです。
文元大統領がそれを容認しなかったのに対し、尹前大統領は容認し自民党政権と歩調を合わせました。
典型的なのは「徴用工」問題で、韓国の大法院(最高裁)が三菱重工など日本企業に賠償を命じたにもかかわらず、安倍政権はそれを無視し「第三者弁済」で処理しようとしました。遺族や支援市民らは反対しましたが、尹前大統領はこれを受け入れたのです。
これが「日韓関係の改善」と言えるでしょうか。日韓関係の真の改善は、日本(政府・市民)が侵略・植民地支配の加害責任を自覚し、心から謝罪・賠償して今後の教訓にすることなしには実現しません。
李在明大統領は就任演説で、「徴用工問題や慰安婦問題について「国家間の信頼の問題があるため、(一貫性を)考慮しないわけにはいかない」とし、国家の政策について「個人的な信念だけを一方的に強要したり貫徹したりすることは容易ではないのが現実だ」と述べた」(4日付朝日新聞デジタル)と報じられています。
これは自民党政権に妥協した尹前政権の路線を踏襲する意向を示したものとも解釈されます。もしそうだとすれば、「非常戒厳」を阻止して民主主義を守った市民の反発は必至でしょう。
ソウルで民族問題研究所の金英丸(キム・ヨンファン)対外協力室長にインタビューした際、金氏は、「(李在明氏の)「共に民主党」も基本的に保守政党だ。韓国には真の革新政党といえる政党はない。これまでも市民運動が政治を軌道修正してきた」と述べ、今後の韓国政治の動向も「市民の運動次第だ」と強調しました(4月11日のブログ参照)。
この指摘の重要性は日本にこそ該当します。韓国、日本両市民にとって真に良好な関係を築くことができるかどうかは、日本市民の運動次第ではないでしょうか。