まずポンコツミサイルの爆買いを止めること これを言えない国民民主
日刊ゲンダイ 2024年12月23日

本質には触れない浅ましい茶番劇、税を玩具にされる国民の悲劇だ(C)日刊ゲンダイ
103万円の壁を巡り、浅ましい政治的駆け引きが続いているが、本質論には触れない茶番劇。財源論ならば前政権がいきなり決めた防衛費倍増をなぜ、見直さないのか。国民生活を苦しめる物価高の根本をなぜ、是正しないのか。
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結局「103万円の壁」見直し問題は、来年に決着が持ち越されることになりそうだ。
自民党と公明党は20日、国民民主と合意しないまま、いわゆる「103万円の壁」を「123万円」に引き上げると決定し、2025年度の「与党税制改正大綱」にも明記したが、24日から、もう一度、国民民主と「103万円の壁」について協議を開始する予定だ。
課税最低限の「103万円」をどこまで引き上げるか。「123万円」を提案した自公と、「178万円」を譲らない国民民主との間で折り合いがつかず、3党の税調会長協議は決裂したが、その後、幹事長レベルで修復を図り、再び24日から協議をスタートさせることになった。
「103万円の壁」問題は、場合によっては、来年2月までゴタゴタがつづきそうだ。
「石破政権としては、是が非でも国民民主と103万円問題で合意したいはずです。国民民主と合意し、予算案への賛成を取りつけられれば、衆院で過半数を割っている石破政権も予算案を成立させられますからね。だから、国民民主との協議を打ち切りたくない。しかし、国民民主とすんなり合意できなければ、衆院で予算案の採決がヤマ場を迎える2月末まで厳しい協議がつづくことになるでしょう。はやくも国民民主の政調会長は、123万円からの譲歩がなければ2025年度予算案への反対もあり得る、とNHKの討論番組で自民党を揺さぶっています。一方、国民民主も103万円問題を決着させないと、手柄をたてられない。自民党と協議をつづけたいのがホンネです」(政界関係者)
防衛費を見直すだけで財源が
いつまでたっても、自民と国民民主が「103万円の壁」を巡って合意できないのは、とどのつまり「財源問題」がネックになっているからだ。103万円問題の本質は、「財源論」に他ならない。
国民民主の要求どおり、課税最低ラインを「178万円」まで引き上げたら、7兆~8兆円の税収減になるという。額が大きいため、自民党も「はい、そうですか」と、簡単にはのめないということなのだろう。
国民民主は「財源確保は政府が考えるべきだ」などと、無責任な発言をくり返しているが、さすがに自民党の政調会長も、国民民主に対して「財源確保策」を明示するよう要求しはじめている。
実際問題、178万円を実現したいのなら、国民民主も少しは「財源捻出」に知恵を出すべきなのではないか。まず、ポンコツミサイル「トマホーク」の爆買いを止めたらどうだ。
2022年、岸田政権が「安保3文書」を策定したため、この先、日本は巨額な防衛費を支出しつづける予定だ。防衛費を見直せば、あっという間に数兆円の財源を捻出できるはずである。
政治評論家の本澤二郎氏が言う。
「安保3文書は、2027年度までの5年間の防衛費を従来の1.6倍、総額43兆円に増額すると決定しています。しかも、その中身は『敵基地攻撃能力』の武器として、40年前に開発されたミサイル・トマホークを400発もアメリカから購入するといったものです。さらに、2027年度には防衛費の総額をGDP比2%(約11兆円)とする方針も決めている。平和憲法を持つ日本は、防衛費をGDPの1%以内とすることで軍拡に歯止めをかけてきたのに、一気に2倍に膨張させることになる。なぜ国民民主の玉木代表は、財源捻出のために防衛費を見直そうとしないのか疑問です」
物価高対策を優先すべし

どうして円安是正に動かない?手柄優先か(C)日刊ゲンダイ
さらに、大企業がため込んだ「内部留保」に課税するという方法もあるのではないか。
財務省によると、2023年度の内部留保は600兆9857億円と、初めて600兆円を超えたという。12年連続で過去最高を更新している。この10年間で2倍近くに膨張している計算である。
これまで大企業は、庶民が「消費税増税」に苦しむのを尻目に「法人税減税」の恩恵を受けてきたのだから、少しくらい還元してもバチは当たらないはずだ。1%の課税でも6兆円もの財源を確保できる。
そもそも、国民民主が「103万円の壁」を引き上げようとしているのは、手取りを増やすことで、生活苦に喘ぐ庶民のふところを豊かにしようということのはずだ。だったら、生活苦の根本原因である「物価高」対策こそ優先すべき政策なのではないか。内閣府が実施した世論調査でも、政府が力を入れるべき政策のトップは「物価対策」66.1%である。
「物価高の大きな原因は円安でしょう。輸入物価が値上がりしてモノの値段全体が上がっている。物価高はアベノミクスのツケですよ。アベノミクスは、為替を円安にすることで輸出大企業をボロ儲けさせるという政策です。大企業の内部留保が600兆円に膨れ上がったのも、円安の恩恵が大きいと思う。その代わり、庶民は円安による物価高に苦しむという構図です。どうして国民民主の玉木代表は、円安是正に積極的に動かないのか。巨額な財源が必要な課税最低限の178万円への引き上げよりも円安是正のほうがカンタンなのではないか。まさか、大企業の利益を優先させたいわけじゃないでしょう」(本澤二郎氏=前出)
石破自民はニンマリ
財源の裏づけもなく、大規模減税を掲げるのは、「財政ポピュリズム」と変わらない。本来、「政策」と「財源」はセットのはずだ。なのに、7兆~8兆円もの減税を求めておきながら「財源確保は政府が考えるべき」とは、いくらなんでも無責任にも程があるというものだろう。いったい、どこが「対決より解決」なのか。
これでは「税は理屈の世界だ」と、国民民主に反発した自民党の宮沢税調会長の方が、よほどスジが通っているのではないか。
自公の「123万円」は、1995年以降の物価上昇率20%を反映させたものだ。課税最低限の引き上げは、これまでも「物価」を基準にしてきた。セオリー通りといえばセオリー通り。最低賃金の伸び率を根拠にしている国民民主のほうがイレギュラーなのだ。
しかも国民民主の玉木は、腹が据わっていないのか、ちょっと日本維新と自民党が近づいたくらいでうろたえる始末だ。
自身のX(旧ツイッター)に、「財務省の戦略は最も『安上がり』の政党と握る。維新幹部の発言を聞いていると、維新と握る算段がついたということなのか」と書き込み、日本維新の吉村代表から「維新のせいで(自公国)の協議が決裂したとの臆測はやめてほしい」と、やんわり注意されるありさまである。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「財源を示さず、政府与党に政策実行を求めるのは、自民1強時代の発想から抜け切れていないからです。自民党政権が過半数を握っている時は、どうせ要求しても実現しないから野党も無責任でいられた。でも、自民党政権が過半数を割ったことで、野党の要求が実現する可能性がでてきた。財源とセットで要求するのが責任政党というものでしょう。国民民主の玉木代表は、どうすれば手柄をたてられるか、どうすればスポットライトを浴びるかだけを考えているのではないか。ほかの野党と連携した方が得策なのに、手柄争いをしているように見えます。これでは、日本維新と国民民主をてんびんにかけようとしている石破自民をニンマリさせるだけです」
巨額の防衛費を筆頭に、見直せばいくらでも財源は見つかるはずだ。