植草一秀の『知られざる真実』
2024年11月11日 (月) 壁提案の目的は消費税減税潰し
国民民主の欺瞞を指摘したきたが、その国民民主バブルが崩壊した。国民民主を異常に持ち上げる報道に最も熱心なのがフジサンケイグループ。自公が野党に転落する危機。玉木雄一郎代表のスキャンダルも、フジサンケイグループが懸命に抑え込もうとしている。
典型的な記事がこちら「国民・玉木代表の「続投を了承」不倫スキャンダル発覚も「玉木さんを中心にもう一度頑張ろう」
両院議員総会でのお詫び」https://x.gd/cfMp2 芸能人のスキャンダルでは大騒ぎになるが、これと対照的。
これが玉木雄一郎ではなく山本太郎なら、フジサンケイグループが総力を挙げて叩きまくるだろう。
「103万円の壁」の本質は「消費税減税隠し」である。玉木氏は「103万円の壁」について憲法第25条=生存権=命の問題だと述べる。所得税制度では一定水準の収入までは課税義務が発生しないようにしている。これが基礎控除の考え方。これはこれでよい。
しかし、現行税制で最大の歪みが生じているのは「103万円の壁」ではない。生存権との関係で言えば、給与収入が年間103万円以下の階層が深刻な問題に直面している。年収が10億円でも、年収が100万円でも、消費税率がまったく同じ。
年収100万円をすべて消費に回すと8~10万円が消費税で巻き上げられる。これが「生存権」を脅かす。玉木氏が「生存権」を根拠に「103万円の壁」を主張するなら、年収103万円以下の人に対する対応が必要。
103万円を178万円に引き上げると、給与収入が103万円から178万円の給与所得者は減税になる。
このレンジ内では給与収入178万円の人の減税が最大になる。
しかし、年収103万円までの人は恩恵がゼロ。この人々にメリットが生じるようにするには「給付付き税額控除」を実施するか、「消費税減税」を実施するしかない。国民民主は「103万円の壁」を大声で主張するが「消費税減税」については小声でも主張しない。
選挙期間中は「消費税率5%」を唱えていたはずだが、選挙が終わるとまったく言わなくなった。
財務省の最重要目標は消費税減税の封殺。国民民主はこれに全面協力している。これは立憲民主も同じ。自・公・立・国が足並みを揃えて「消費税減税封殺」を目指している。しかし、所得の少ない人を苦しませている最大の元凶は消費税。
消費税減税が最重要施策だ。
玉木氏が「生存権」を掲げ、「命」を重視するなら「消費税減税」を掲げなければならない。選挙直後からメディアが国民民主大絶賛を始めたのは、「政権交代」と「消費税減税」を封殺するためである。
メディアが「国民民主バブル」を創作したが、身から出たさびでバブルが崩壊した。103万円の壁を引き上げても労働供給は増大しない。
103万円の壁よりもはるかに巨大な壁が106万円の壁、130万円の壁。年収が103万円を超えても手取りが減るわけではない。増えた収入の一部が税金に回るだけだ。手取りは増える。しかし、106万円の壁を超えてしまい、社会保険料負担が発生すると手取りは「減少」する。
年15万円程度の負担が発生して、収入が125万円程度にまで達しないと手取りは減る。106万円の壁も同時に178万円まで引き上げるなら、まだ理解できる。こちらの問題の方が重大な問題。
日本の主権者はそろそろ国民民主バブルに気付いた方がよい。
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