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国民も舐められたものだ ボロが出ないうちに解散、逃げ切りという卑しい魂胆

日刊ゲンダイ 2024年8月22日

 

新しい顔にすれば刷新になるのか(C)日刊ゲンダイ

 

急速に広がってきた年内解散・総選挙のムード。発信源は自民党周辺だろうが、「党刷新」というインチキプロパガンダと、「顔だけ新鮮」という新首相の賞味期限が切れる前に裏金みそぎを済ます算段だろう。まさしく、新総裁の空っぽ、口だけを証明するような国民愚弄。

◇ ◇ ◇

まるで組織的な「裏金づくり」など、なかったかのようなお祭り騒ぎだ。

 

岸田首相が退陣表明し、総裁選の号砲が鳴った途端、政界の景色は自民党の総裁選一色になっている。大新聞テレビは連日、総裁選を大々的に報道。21日の読売新聞1面トップは「小泉氏 総裁選出馬へ」、20日も「総裁選 来月27日投開票 小林氏 出馬表明」だった。

 

「コバホーク」こと、小林鷹之前経済安保相(49)が出馬会見した19日、NHKはわざわざ通常番組を途中で打ち切り、会見の冒頭から20分近く生中継し、スタジオで解説する熱の入れようだった。総裁選には現在、11人が名乗りをあげている。この調子だと、誰かが出馬表明するたびに大新聞テレビは大騒ぎすることになるのではないか。総裁選の日程は、9月12日告示、27日投開票である。これから1カ月、総裁選がメディアをジャックする前代未聞の事態になりかねない。

 

党が危機に陥るたびにトップの「顔」を替えて延命するのは、自民党のお家芸である。今回も狙い通りの展開になり、自民党議員はニンマリしているという。

 

「自民党に染みついたダーティーイメージを払拭するためには、この総裁選で『自民党は生まれ変わった』という刷新感を演出するしかない。岸田首相が『自民党が変わる姿、新生自民党を国民の前に示すことが必要だ』と強調した通りです。その点、先陣を切って出馬表明したのが当選4回、49歳と若い小林鷹之だったのは大正解だった。出馬会見で『新たな自民党に生まれ変わる』と、くり返したのもよかった。できれば総裁選には10人以上出馬してもらいたい。『10人も出たら1人5分話したとしても50分かかる。政策論議が深まらず、人気投票になってしまう』との声もあるが、むしろ、その方がいい。ヘタに政策論議したらバカがばれる候補者もいるでしょう。理想は、43歳の小泉進次郎と、49歳の小林鷹之の決選投票になること。そうなれば総裁選は異常な盛り上がりを見せ、自民党のイメージもガラリと変わりますよ」(自民党関係者)

 

これが自民党議員のホンネなのだろう。

 

ドリームチームで勝利する算段

 

裏金事件は何も解決していない(C)日刊ゲンダイ

 

いま、自民党内で急速に広がっているのが、「早期の解散・総選挙」論だ。

 

はやくも「10月29日公示、11月10日投開票」など具体的な選挙スケジュールが取り沙汰されている。あれほど党内に「選挙恐怖症」が蔓延していたのが嘘のようだ。国民不人気の岸田の退陣が決まり、新しい総裁選びが始まったら、いきなり様変わりである。総裁選に出馬予定の石破茂元幹事長(67)も「総選挙はあまり時期をおいてはいけない」と口にしている。

 

要するに、新総裁の賞味期限が切れる前に解散してしまえば負けない、ということなのだろう。

 

実際、地味な岸田でさえ、総裁就任後、すぐに解散総選挙に踏み切った結果、261議席と単独過半数を確保している。あの時は、2021年9月29日に総裁に就任し、10月14日に衆院解散、10月31日投開票だった。

 

しかも、来月、選出される新総裁は、総理就任後「選挙の顔」となる議員を片っ端から閣内に入れるドリームチームを結成するとみられている。もし、石破茂首相なら、小泉進次郎官房長官、河野太郎幹事長、小林鷹之政調会長……といった布陣になるのではないか、と囁かれている。

 

しかし、総裁選を一大イベントに仕立て上げ、新総裁のボロが出ないうちに解散してしまえば選挙に勝てるとは、国民をバカにするにも程があるのではないか。

 

立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。

 

「政権政党は、自分たちの実績に対して国民の審判を仰ぐのが本来の姿です。解散・総選挙に踏み切るなら、これまで3年間、総理総裁を務めた岸田首相が行うべきです。なぜ、岸田首相が国民に信を問わないのか。どうしてもトップの顔を替えるというなら、少なくても新しい総理総裁は、半年なり、10カ月なり、自分たちの政治を国民に見せてから衆院を解散すべきです。総理就任後、1カ月程度で、どうやって国民に審判を下せというのか。国民は実績を評価しようがないですよ。政権政党に対して野党は、基本的に実績がないので、我々が政権を取ったらこうなると『期待』を売りにするしかない。自民党のやろうとしているのは、野党の戦い方ですよ」

 

そもそも、新総裁のボロが出ないうちに解散しようという発想は、いかに新総裁の中身がカラッポなのか、口先だけなのか、自分たちで証明するようなものだ。

 

同じ手は通じないぞ

 

解散総選挙の直前に華々しく総裁選を行い、トップをすげ替えれば選挙に勝利する──。自民党には「成功体験」があるのだろうが、また同じ手が通用すると思ったら大間違いだ。さすがに、こうした戦術には国民も既視感があるのではないか。

 

法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 

「自民党が本当の意味で国民の信頼を取り戻すためには『政治とカネ』の問題に切り込むしかない。信頼を失った原因は、『裏金づくり』を発端とする政治とカネの問題にあるからです。なのに、驚いたことに、総裁候補として11人もの名前があがりながら、誰一人、政治とカネについて抜本策を打ち出そうとしていない。1人くらい『企業献金の禁止』や『政治資金パーティーの禁止』『政策活動費の廃止』を掲げてもいいのに、誰も口にしない。騒動の時も口を閉ざしていたし、総裁選が始まった後も訴えない。これでは、刷新もなにもないでしょう。出馬会見で『自民党は生まれ変わることを証明したい』と強調した若手の小林鷹之議員でさえ、裏金事件の実態解明について『党の調査には限界がある』と消極的な姿勢を示し、裏金事件で処分を受けた安倍派議員のことを『処分を受けた方も一人一人は優秀だ。挙党一致で取り組まないと国難を乗り越えるのは難しい』と擁護する始末です。総裁選に11人が名乗りをあげ、一見、自民党は多種多様、人材豊富に見えますが、『政治とカネ』の問題を見る限り、ほとんど違いがない。全員、同じ穴のムジナです」

 

総裁選の構図も、進次郎の後見人は菅義偉元首相、小林鷹之のバックには甘利明前幹事長がいるなど、一皮めくれば旧態依然である。

 

9月27日の総裁選が終わったら「解散総選挙」に突入する可能性が高い。

 

今度こそ国民は、自民党の戦術にだまされては絶対にダメだ。

 

「これから1カ月、大手メディアは自民党の総裁選を大々的に報じていくはずです。すでにNHKは、通常番組を打ち切ってまで小林鷹之議員の出馬会見を生中継しています。意識的なのか、無意識なのか、大手メディアは、土壇場になると自民党を利する報道をすることが多い。だから、これまで、有権者も『野党には政権担当能力がないしなぁ』と、自民党に一票を入れるか、棄権するケースが多かった。しかし、あれだけの問題を起こしながら、自民党を勝たせたら、自民党はどこまでも国民を甘く見てきますよ」(金子勝氏=前出)

 

今度こそ、国民は自民党に思い知らせないとダメだ。

 

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