米国だけではない、都知事選にみる日本の選挙の危機! | ワーカーズの直のブログ

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米国だけではない、都知事選にみる日本の選挙の危機

アリの一言 2024年07月25日 | 日本の政治・社会・経済と民主主義

 

 

 

 アメリカの大統領選挙は、政策論争そっちのけで、バイデン・ハリス陣営とトランプ陣営の非難合戦の様相です。「民主政治の危機」と言われています。

 

 これはけっしてアメリカだけの現象ではありません。日本の(国政)選挙も重大な危機に瀕しています。先の東京都知事選はそれを端的に示す場となりました。

 

 蓮舫氏をしのいで165万票以上を獲得し2位となった石丸伸二氏。陣営の選対事務局長を務めた藤川晋之助氏(70)が朝日新聞のインタビューに答えてその躍進の“秘密”を明かしています。藤川氏は自民党議員秘書を経て大阪市議、後に選挙プランナーとして民主党・小沢グループや日本維新の選挙をサポートしてきました。

 

< 街頭演説を200回超やったが、特徴的なのは、細かい政策を全く言わないことだった。…政治の現場を知る人たちからは「中身がない」と批判ばっかりだった。だが、彼はそれを含めてわかってやっている。

 

 彼は「長い時間演説し、政策を主張したって、今までの政治家は政策や公約を守ったことあるのか」と言う。有権者が本気になって政策を見て、「この政策こそ必要だ」として投票するような選挙に、今は全くなっていない。

 

 (民主党政権から安倍晋三政権をへて)自民党にも立憲民主党も投票したくないという層が確実に存在するようになった。

 

 本来なら政策で勝負するけれど、政策で勝負しても全然意味がない。今までの有識者、政界の人たち、マスコミも含めてそういう政治のムードを作ってきてしまった。そこを直感的に理解した石丸氏だからこそ、ユーチューバーとして無党派層にアプローチするという本領を発揮できた選挙だった。>(12日付朝日新聞デジタルより。写真左は石丸氏の街宣)

 

 こうした指摘は藤川氏だけではありません。自民党政権を厳しく批判する作家の黒川創氏もこう述べています。

 

「若い世代は、当初から「政策」に期待など抱かず、SNS中心のゲーム感覚で候補者を応援したりもする。ただし、この種の政治行動で特徴的なのは、「政策」への賛否をめぐる議論の空白を、候補者の「キャラ」への推し(心酔)が埋めていくことである」(24日付京都新聞夕刊)

 

 「政策」への不信・無関心。「政策の空白」をうめる候補者の「キャラ」への「推し」。それがSNSで加速・拡散される。確かにこれは日米共通の、あるいは欧州を含むいわゆる「民主政治」全体の現象であり危機でしょう。

 

 ではどうするのか。藤川氏も黒川氏もその点は言及していませんが、この「政策離れ」は克服し、「政策で勝負する」選挙に変えていかねばなりません。

 

 そのカギは多様な意見・政策・思想が政治(国会の議席)に反映されるしくみに変えることです。制度的には小選挙区制を廃止して全面的な比例代表制にすることです。

 

 「政策離れ」の背景には藤川氏が指摘するように、「今まで政策や公約を守ったことがない」政治家・政党への不信がありますが、されに根源的には、自民党から立憲まで、あるいは共産党も含め、政策的な違いが(ほとんど)なくなって政治(国会)が翼賛化している問題があります。

 

 政治がマジョリティー中心で、マイノリティーの声が無視されているのです。アメリカやイギリスの「二大政党制」はその典型です。

 政治にマイノリティーの声を生かす。それこそが本当の「民主政治」ではないでしょうか。