「太平洋・島サミット」の政治戦略と天皇利用
アリの一言 2024年07月20日 | 天皇制と日本の政治・政権
南太平洋の18の島国と地域の首脳による「太平洋・島サミット」(16~18日)。主催した岸田政権には、「中国の影響力が増す島しょ国をなんとか日米陣営に引き入れようとする思惑」(18日付朝日新聞デジタル)がありました。
もう1つ、岸田政権の狙いは、東京電力福島原発の核汚染水放出に対する島しょ国の批判を抑えることでした。
日本政府が海洋放出を決めた2021年には、18の国・地域でつくる「太平洋諸島フォーラム」(PIF)が各国が納得するまで放出しないよう緊急要望を出しました(18日付朝日新聞デジタル)。
また、汚染水放出後の23年9月の国連総会では、ソロモン諸島の首相が「世界の信頼と連帯に対する攻撃だ」と批判しました(同)。
こうした中で、「日本は島サミットを「島しょ国との関係を立て直す機会」(外務省関係者)と位置付け」たのです(同)。
結果、首脳宣言と共同行動計画には、①自衛隊の航空機や艦船の寄港を通じて防衛協力を強化する②「処理水」海洋放出に関し、科学的根拠の重要性で一致。今後も島サミットの議題に取り上げる―などが盛り込まれました。
岸田政権の思惑はある程度奏功したとようにみられますが、この背景に、天皇・皇室の政治利用があったことを見逃すことはできません。
天皇・皇后は17日、パラオ、ミクロネシア、フィジーなど会議に出席した14の国・地域の大統領や首相とその配偶者ら23人を皇居・宮殿に招き、「茶会」を催しました。秋篠宮、次女の佳子氏も同席しました(写真=朝日新聞デジタルより)。
席上天皇は、「会議を通じて日本と太平洋島しょ国・地域との友好親善と協力関係が更に発展していくことを期待しています」とスピーチしました(17日付朝日新聞デジタル)。