植草一秀の『知られざる真実』
マスコミの伝えない政治・社会・株式の真実・真相・深層を植草一秀が斬る
2024年5月21日 (火) 典型的スピンのつばさの党騒動
5月実施の毎日新聞世論調査で岸田内閣支持率が20%となった。前月比2%ポイントの下落。不支持率は前月と同水準の74%
支持率が20%で不支持率が74%。これが実態だろう。5月初旬に発表されたJNNの世論調査で岸田内閣支持率が前回調査から7.0ポイント上昇して29.8%になったと報じられた。いかさまか何らかの異常値かのいずれかだと判断された。この見立ては正しかったと言える。
時事通信が5月10~13日に実施した5月の世論調査では、岸田内閣支持率が発足以来最低だった4月から2.1ポイント上昇し、18.7%になった。
(時事通信社)
岸田内閣支持率は毎日調査が20%、時事調査が18.7%。内閣支持率が3割を割り込むと危機水準と言われる。岸田内閣支持率は危機水準で推移している。現在の最大問題は政治資金規正法改正。昨年秋に自民党裏金事件が発覚。違法=犯罪行為に手を染めた議員等の摘発が求められた。しかし、警察・検察は権力側の犯罪を摘発しない。この巨大事件でも氷山の一角に軽く触れただけで終わった。国会では政倫審を開き、問題議員に対する聴取を行ったが、うそを言っても構わない政倫審で質疑を繰り返しても実効性がないことは明白だった。
重要なことは「ザル法」の政治資金規正法を抜本改正すること。「政治とカネ」の腐敗が広がっているが、その原因は政治資金規正法が「ザル」であること。政治資金規正法に議員が自ら穴を開けてきた。実効性を失わせるためだ。その穴を埋めなければ、「政治とカネ」の腐敗は収まることがない。したがって、国会審議では、当初から抜本法改正の核心を衝くべきだった。
野党が抜本法改正を追求するなら、法改正の具体案について与党の確約を取り付けることが必要不可欠。予算審議でこの点を明確にすべきだった。しかし、野党第一党の立憲民主党は予算審議で厳しい対応をまったく示さなかった。予算の年度内成立に全面協力した。委員会採決、本会議採決の前提となる中央公聴会、地方公聴会日程を与党の希望通りに容認した。この時点で「戦う意思なし」は明白だった。立憲民主党が政治資金規正法の抜本改正を本気で実現する気があるなら、予算審議の過程で法改正具体案を与党に突き付けるべきだった。しかし、その気配もなく、予算は野党無抵抗の下で年度内成立した。
国会の多数議席を与党が握っている。野党が政治資金規正法抜本改正を求めても、国会採決で野党案が可決される確率は極めて低い。最終的には与党案に微修正を加えたもので法改正を済ませることになる公算が高い。国会が終盤に移行し、政治資金規正法改正案審議に焦点が移る。しかし、自民党提案は抜本改正からほど遠い、現状維持を目指すものでしかない。
最大の抜け穴は政党から議員個人への寄附が容認されていること。自民党幹事長には年間10億円程度の資金が流れている。この10億円の資金使途が一切不明。自民党案はこの資金使途を項目別に公表するというものだが、誰にどのような資金を支出したのかはまったく分からない。領収書添付で資金使途を公開するのでなければ何の意味もない。この「闇資金」を根絶するには政治資金規正法第21条の2の2項を削除すればよい。これによって政党から政治家個人への寄附ができなくなる。
政治資金の収支報告が義務付けられているから、政治資金使途は領収書添付で公表されることになる。この法改正に自民党は完全に背を向けている。ここに市民の関心が集中しないように、つばさの党問題が人為的に創作されている。極めて悪質なやり口である。同時に、これは都知事選対策でもある。学歴詐称疑惑の小池百合子氏に、あたかも被害者であるかのように大きな顔でコメントさせている。極めて悪質なメディアの情報操作。
メディアの嘘を見抜いて対応しなければならない。
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