今こそ「国民に寄り添う政治」、「温かな心のある政治」を! | ワーカーズの直のブログ

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2024年2月 8日 植草一秀の『知られざる真実』

 

日本経済の停滞が続き、国民の生活の苦しみが増している。1995年を100として名目GDPが2022年にどの水準に変化したか。ドル換算値で比較してみる。米国の名目GDPはこの27年間に3.33倍に拡大した。中国の名目GDPは27年間に24.47倍に拡大した。日本の名目GDPは27年間が経過して0.76倍に縮小した。

 

※グラフ、クリック拡大

 

日本経済は過去30年間成長していない。2月6日に昨年12月の賃金統計が発表され、2023年の労働者一人当たりの実質賃金が前年比2.5%減少したことが明らかにされた。日本の労働者一人当たりの実質賃金は1996年から2023年までの27年間に1996年から2023年までの27年間に16.7%も減少した。アベノミクスが始動したのは2013年で、2012年から2023年までの11年間を見ると、実質賃金は8.3%減少した。

 

国税庁発表の2022年民間給与実態調査結果によると、1年を通じて勤務した給与所得者の51.2%が年収400万円以下、20.5%が年収200万円以下である。

内閣府発表の年次経済財政報告によると、全世帯の所得中央値は1994年の505万円から2019年の374万円に131万円減少した。成長を続ける世界経済のなかで日本経済だけが成長できず、日本の労働者の所得は減り続けている。かつての分厚かった中間所得者層は消滅し、圧倒的多数が下流に押し流された。

 

2013年からアベノミクスが推進されたが、これによって実現したのは企業利益の拡大だった。法人企業当期純利益は2012年から2017年までの5年間に2.4倍に激増した。経済が成長しないのに企業利益だけが倍増した。これは労働者の分け前が減ったことを意味する。経済が成長しないなかで労働者の分配所得が減り、企業利益が倍増した。

 

安倍首相は「成長戦略」を唱えたが、安倍首相が唱えたのは「大企業利益の成長戦略」であり、「労働者不利益の成長戦略」だった。20世紀にクローズアップされた基本的人権が「生存権」である。市場経済=市場原理は弱肉強食の社会を作る。その結果、多くの人々が生存の危機に直面する。これを「市場の失敗」と捉えて問題を解決する方策が考察された。その結果として浮上したのが「生存権」の考え方。

 

日本国憲法にも明記された。日本国憲法第二十五条 第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。しかし、日本の経済運営が生存権を脅かしている。事態は日を追うごとに悪化している。

 

このなかで、力の弱い人々に寄り添う政治を目指した総理大臣が登場した。鳩山友紀夫氏である。2009年6月17日の麻生太郎首相との党首討論における鳩山友紀夫民主党代表の発言をいまふたたび注目する必要がある。

 

「先進国の中で、こんな若者の自殺が第一位なんという国、ないんです。そういう人たちを救うことが政府の役割じゃないですか。そのことをもしおわかりになっているならば、なぜ生活保護を、あの母子家庭の母子加算、四月にカットしちゃったんですか。二百億ぐらいでしょう。そのぐらいのお金でできる話で、私はいろいろなところから聞きましたよ。小学校に入りたてのお嬢ちゃん、お母さんが生活保護、母子家庭、二万円を切られてしまった。そこで、もう私は高校に行けないのねと。

 

その話を聞いたら涙が出ましたよ。高校に行けないのね、勉強したいのに。高校へ行っている男の子三人の兄弟のトップが高校一年生、彼も母子家庭。その方も修学旅行へ行きたい。でも、僕、修学旅行へ行かなくていいよとお母さんに言ったそうです。修学旅行へ行きたくても行けない、高校へ行きたくても行けない、こういう人たちがたくさん今いるんです。これが今、日本の現実なんです。みずから命を絶たれる方も毎日百人おられるんです。こういう方を救おうじゃないですか。居場所を見出せるような国にしようじゃないですか。」

 

これが、「国民に寄り添う政治」、「温かな心のある政治」である。「東アジア共同体研究所」主宰の「UIチャンネル」https://x.gd/24rqNをぜひご高覧賜りたく思う。