「代執行」工事強行についての玉城知事の根本的誤りとは? | ワーカーズの直のブログ

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「代執行」工事強行・玉城知事の根本的誤りは何か

アリの一言 2024年01月12日 | 日米安保・沖縄

 

   

 

 岸田自民党政権は10日、能登半島地震のドサクサに紛れ、沖縄・辺野古新基地建設の「代執行」工事を開始しました。日本国憲法の平和主義、地方自治のダブル違反の暴挙は絶対容認できません(写真中)。

 沖縄市民を先頭にした闘いはもちろん今後も続きます。

 

 ところが、本来たたかいの中心になるべき玉城デニー沖縄県知事の大きな弱点がこの日も露呈しました。玉城氏は10日県庁で行われた記者会見で次のように述べたのです(写真左)。

 

「事務的手続きが進んでも、多くの県民は辺野古新基地建設反対の民意を明確に示している。それを軽んじては、日米安保体制にも大きな影響が及び続けると懸念せざるを得ない」(11日付琉球新報)

 

 「日米安保体制」とは言うまでもなく、日米安保条約による軍事同盟体制です。「辺野古新基地反対」の民意が軽んじられれば日米安保条約・軍事同盟体制に大きな影響が及ぶ。だから問題だというわけです。これは二重の重大な誤りです。

 

 第1に、日米両政府が問答無用で辺野古新基地建設を強行しようとしている動機、そして司法もそれを容認している「根拠」は、日米安保条約があるからです。その元凶を肯定・擁護することと「辺野古新基地建設反対」は理論的に二律背反、絶対に両立しません。

 

 川上高司・拓殖大教授は、「日米同盟が強固なものである限り、埋め立ては既定路線だ」(11日付京都新聞=共同)と指摘しています。これは正論です。

 

 第2に、玉城氏の日米安保=軍事同盟肯定・擁護は同氏の自衛隊賛美と一体ですが、その基本姿勢を改めない限り、運動論的に「辺野古新基地反対闘争」の足を引っ張ることになります。

 

 昨年11月23日、那覇で「辺野古新基地強行反対」の県民平和大集会が行われましたが、その3日後、玉城氏は陸上自衛隊那覇駐屯地創立式典に副知事を差し向け「祝辞」を述べさせました。ここにも玉城氏の弱点、辺野古反対運動への逆行が端的に表れています(11月28日付ブログ参照)。

 

 日米安保体制=軍事同盟を肯定・擁護しながら「辺野古新基地反対」を主張する矛盾は玉城氏だけではありません。

 

 11日付沖縄タイムスは、2面で「国の断行 安保に禍根」の大見出しを掲げました。同紙記者による「解説」は、岸田政権の工事強行を批判しながら、「ひいては日米同盟そのものを揺るがし、この国の安全保障政策の大前提が崩れるかもしれないことを、肝に銘じるべきである」と述べています。玉城氏と同じ根本的誤りです(写真右)。

 

 この誤りの根は深く、歴史的経緯があります。

 

 辺野古新基地強行の発端は仲井真弘多元知事の「埋立承認」(2013年11月)です。その翌年の知事選で、翁長雄志氏が「辺野古反対」を掲げて当選しました。しかし翁長氏はついに「承認撤回」の公約を果たしませんでした。翁長氏は元自民党沖縄県連幹事長で、日米安保条約=軍事同盟の強い支持・擁護者でした。玉城氏はその翁長氏の後継者として当選したのです。

 

 この根本的誤謬をあらため、日米軍事同盟解消=安保条約廃棄の立場にたった運動を展開しない限り、辺野古新基地も含め沖縄から基地を撤去することはできません。もちろん「本土」の基地も同じです。

 

 前掲の川上教授が、「防衛分野での対米関係は本質的な議論が必要な時期に来ているのではないか」(11日付共同)とコメントを結んでいるのが注目されます。

 

 まさに今、日米軍事同盟=安保条約廃棄を現実的政治課題にのせるべきときです。それが「ウクライナ」「ガザ」にも深く関係していることは言うまでもありません。