1月2日午前の志賀原発。手前から1号機、2号機(C)共同通信社
能登地震、震度M7・6、地震が原発に如何なる影響を与えるか知る貴重な機会であるのに報道ほとんどなし。だが「電源、外部電源の変圧器の配管が壊れ、冷却用などの油が漏れ出し、いわば主電源を失った形(FNN)。福島事故は、外部電源が喪失、非常用電源も水没したことが原因。孫崎享 <blomaga.ch1332@nicovideo.jp>2024/1/10 7:59 https://ch.nicovideo.jp/article/ar2181477
能登地震が志賀原発に影響を与えたことは当然予想される。しかし、市が原発への影響を報ずる報道はほとんどなされてこなかった。FNNプライムオンラインは、「震度7 志賀原発で何が? 燃料プール 水あふれ主電源失う 北陸電力「安全性は確保」」として報じた。
A-1:FNNプライム・オンライン「「震度7 志賀原発で何が? 燃料プール 水あふれ主電源失う 北陸電力「安全性は確保」」:
今回の能登半島地震では、原発への影響も心配された。
北陸電力が管轄する志賀原発がある石川・志賀町でも1日、最大震度7を観測するなど大きな揺れとなった。
この志賀原発は2011年から停止中だが、今回、次のような影響が出ている。
まず、電源について、外部電源の変圧器の配管が壊れ、冷却用などの油が漏れ出し、いわば主電源を失った形となった。
そして、プールには使用済み燃料が保管されているが、使用済みの燃料プールから冷却水の一部があふれた。
さらに、原発周辺でも、原発から離れたところにあるモニタリングポスト数カ所で機能しなくなり、空気中の放射線量が測れないといったことが起こった。
13年前、2011年の東日本大震災の際、福島第一原発では、予備電源を含むすべての電源を失い、メルトダウンにつながるなど深刻な事故となった。
今回の影響について、北陸電力は「発電所の安全性は確保されている」と説明している。
まず、燃料プールに関しては、「予備電源に切り替えて冷却を続行している」という。
そして、あふれた冷却水に関しては、「水は建物内にとどまっていて、外部への影響はない」ということ。
さらに、モニタリングポストに関しては、「敷地内のものに関しては正常に稼働していて、数値に問題はない」ということ。
また、経産省の関係者は、「今回の事故は備えの範囲内」だとみているという。
これらをふまえ、原子力委員会の委員長代理を務めた長崎大学の鈴木達治郎教授に、地震の影響についてうかがった。
鈴木教授によると、「志賀原発は稼働していないのでリスクが少ない。当面は心配ないだろう」という。
ただ、現在も1,000回を超える揺れがいまだ続いている状況。
鈴木教授は、「また大きな揺れ・余震があると、冷却水が一気に流れるような大きな亀裂が入ることも考えられる」とし、「とにかく地震前の状態になるような、早急な復旧が求められる」と指摘した。
今後については注意深く、引き続き見ていく必要がある。
A-2「志賀原発 “外部電源一部使えずも 冷却は継続” 原子力規制庁1月1日 22時40分(NHK)
A-3「志賀原発の変圧器で油漏れ、消火設備起動も 規制庁「冷却は継続」(1月1日朝日)
北陸電がまた訂正 志賀原発の変圧器漏れの油は5倍超の2万リットル(朝日1月5日)
A-4[志賀原発の変圧器に火災、消火済み…林官房長官が明らかに
A-5過小評価はできない「外部電力の喪失」(東京新聞)
一方、原発のハード面の安全対策としては、北陸電や政府が「大きな異常ではない」とした外部電力の一部喪失も見逃せない。東京電力福島第1原発事故は、外部電源が喪失、非常用電源も水没したことが原因となったからだ。
原子力資料情報室の上沢千尋氏は「運転中であれば、原子炉を止めるアクションが必要になる。多くの機器を動かさなくてはならず、対応の負荷が全く違う。助かった面はあるだろう」と言う。原発内の使用済み核燃料が十分冷やされていたことも含め、長期にわたって運転停止中だったことが幸いしたとみる。
北陸電は、1、2号機とも不具合が発生したのとは別の系統から外部電力を受け、非常用ディーゼル発電機もあるため、安全上の問題はないとしている。しかし、上沢氏は「今後の余震や別の地震が起きた時のことを考えると、非常に脆弱(ぜいじゃく)な状態になっている」と不安視する。
その上で、上沢氏もやはり根本的な断層の問題を指摘する。「原発直下の断層が動かなくても、周辺には多くの断層がある。どれかが動けば、影響を受ける可能性は高い。北陸電力は不適切な場所に建ててしまったことを認めて廃炉にするべきだ。今回の地震はその好機と捉えてほしい」
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2024/01/09 日刊ゲンダイ