自民党の裏金問題でもちきりの中、国立大学法人法改悪案が成立! | ワーカーズの直のブログ

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「自民の裏金」と大学・学術会議の危機

アリの一言 2023年12月26日 | 日本の政治・社会と民主主義

 

   

 

 「重大事件」が起こればそれに報道が集中し、その陰で重要法案が国会を通過する、という日本の国会、メディアの陋習が、また起こってしまいました。

 

 自民党のパーティー券キックバック=裏金問題でもちきりだった今月12日、参院文教委員会で、国立大学法人法改悪案が、自民、公明、維新、国民4党の賛成で可決、翌13日の参院本会議で成立しました(写真中)。

 

 同改悪案は、文科相の承認による委員で構成される「運営方針会議」なるものを設置し、国家権力による大学支配を強化するもの。同時に、大学の土地などの貸し付けを認可制から届出制に緩和し、学生にとって必要な施設・空間を企業に売り渡して「稼げる大学」をつくろうとするものです。背景には国からの大学運営費の減額があります。

 

 ひとことで言えば、「大学の自治に死刑を宣告するもの」(「稼げる大学」法の廃止を求める大学横断ネットワークのチラシ)です。

 

 自民、公明に同調して悪法を通した日本維新、国民民主の“新与党”としての役割がはっきり表れています。

 

 さらに、その8日後の21日、岸田政権は日本学術会議を国から切り離して新しい法人にする方針を正式に明らかにしました。

 

 学術会議の新法人化は、決着がついていない菅義偉前政権の「会員任命拒否」問題を既成事実化するとともに、学術会議の独立性に大きな危険性をもたらすものです。

 

 なぜなら、「内閣府の制度設計の方針案によると、運営や財産状況を監査する監事と、活動・運営が適切かを見る評価委員会を設ける。メンバーは主務大臣が任命する」(22日付朝日新聞デジタル)ことになるからです。それはまさに、「改正国立大学法人法で、外部識者を入れる合議体(「運営方針会議」―私)の設置を盛り込んだのと同じ流れ」(同)です。

 

 国立大学法人法改悪と学術会議新法人化。自民党政権による大学・学問の国家統制強化の危機が矢継ぎ早に訪れています。

 

 ところで、自民党を震撼させている「裏金問題」。その追及の口火を切ったのは、上脇博之・神戸学院大学教授(写真左)です。

 

「裏金疑惑に対する東京地検特捜部の捜査のきっかけとなったのは、独自の調査で資金収支報告書の不記載に疑念を抱いた神戸学院大の上脇博之教授が行った刑事告発だった。…(上脇氏は)独自の調査を続け収支報告書への不記載が主要5派閥で計4千万円超に上ることをつかんだ」(24日付沖縄タイムス)

 

 上脇氏の功績は高く評価されます。上脇氏のこうした独自調査にもとづく社会悪の告発・追及こそ、学者・研究者の本来の責務ではないでしょうか。自民党政権が行おうとしている大学・学術会議支配強化の狙いは、こうした責務を果たす学者・研究者をなくしていくことではないでしょうか。

 

 「自民党の裏金」追及の陰で、国立大法人化法改悪が強行され、学術会議の危機が強まっていることは、きわめて象徴的で、しかもけっして偶然ではないでしょう。

 

 この背景に軍拡(安保)3文書による戦争国家化の強まりがあることを見逃すことはできません。戦争で真っ先に犠牲になるのは「真実」であり、国家が統制・支配の網をかけるのはメディアと大学です。