日本とEUが、G7広島サミットに向けて米国が提案した「対露全面制裁」を「不可能」だと拒否! | ワーカーズの直のブログ

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【IWJ号外・非会員版】日本政府は首の皮一枚残して、「米国の奴隷」であることを拒んだのか!?  日本とEUが、G7広島サミットに向けて米国が提案した「対露全面制裁」を「不可能」だと拒否! 岩上安身 iwakami@hh.iij4u.or.jp bmb.jp  2023/4/27 2:10

 

 IWJ代表の岩上安身です。

 

 日本政府は首の皮一枚残して、「米国の奴隷」であることを拒んだのでしょうか?

 

 英紙『フィナンシャル・タイムズ』が25日、日本とEUが、G7広島サミットに向けて「対露全面制裁」に突き進もうとする米国の提案を「不可能」だと拒否した、と報じました。事実であれば、日本とEUが手を取りあって、米国に反対をぶつけたことになります。

 

 他方、翌26日、習近平国家主席はゼレンスキー大統領と電話会談し、「対話を通じてヨーロッパに永続的な平和と安全をもたらす方法を共同で模索することが望ましい」と述べました。ゼレンスキー大統領も「世界の平和と安定を共に守ることを望んでいる」と表明しています。ウクライナ紛争は米国抜きで停戦へ向かうのでしょうか?

 

 G7は、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、日本、カナダで構成されています。そのうち、フランス、ドイツ、イタリアの3カ国はEUのメンバーでもあります。EU加盟国は全部で27カ国ですが、EU自体もまた、G7に参加しています。

 

 『フィナンシャル・タイムズ』の記事の冒頭部をご紹介します。

 

 「EU と日本は、世界の先進国首脳会議に先立つ交渉の一環として、G7 諸国がロシアへのすべての輸出を禁止するという米国の提案に反対した。

 

 フィナンシャル・タイムズが確認した文書によると、来月の広島での会合に向けて草案が作成されているG7首脳の声明には、ロシアに対する現在の分野ごとの制裁体制を、いくつかの例外を伴う完全な輸出禁止に置き換えるという誓約が含まれている。完全な輸出禁止には、農業、医療、その他の製品の免除が含まれる」

 

 こちらの記事は有料記事となっておりますので、ご興味を持たれた方はぜひ、『フィナンシャル・タイムズ』のオンラインサイトで全編をお読みください。

 

※Allies resist US plan to ban all G7 exports to Russia ―EU and Japanese diplomats say that Washington’s proposal is ‘simply not do-able’(Financial Times、2023年4月25日)https://www.ft.com/content/ee8c2ade-4f94-426f-881b-d6f9621231b8

 

 以下、『フィナンシャル・タイムズ』によるスクープのポイントをご紹介します。

 

 『フィナンシャル・タイムズ』によると、「完全な輸出禁止」は米国によって提案されたと2人の当局者が述べ、3人の関係者が「日本とEU諸国の代表は、先週の準備会議で、そのような動きは実現不可能であると示唆した」と述べました。

 

 ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)は、G7についてのコメントを拒否しました。

 

 実は、フランスのマクロン大統領が、4月5日から7日にかけて北京を訪問する前、4日にバイデン大統領と電話会談し、ウクライナ紛争の集結に向けて中国の協力を求めることを伝え、バイデン大統領もマクロン大統領に賛成しています。

 

 この事実は日本の大手メディアではほとんど取り上げられませんでしたが、IWJは4月6日の日刊ガイドで、以下のように、マクロン大統領の動向についてきっちりお伝えしています。

 

※はじめに~衝撃の急展開! フランスと米国が中国に停戦を要請! ~(日刊IWJガイド2023.4.6号)

非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52096#idx-1

会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230406#idx-1

 

 マクロン大統領は、北京から帰国後12日に「(アメリカの)同盟国であることは下僕になることではない。(中略)自分たち自身で考える権利がないということにはならない」と発言して、フランスは対米自立・独立外交を堅持する方針を示しました。

 

 この発言の事実も、日本の主要メディアはスルーしましたが、IWJは詳しく報じました。

 

※日本ではほとんど報じられなかった! フランスのマクロン大統領と中国の習近平国家主席の北京での首脳会談後に発表された共同宣言に明記されていた中仏大型経済交流!~(日刊IWJガイド2023.4.18号)

非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52144#idx-6

会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230418#idx-6

 

 『フィナンシャル・タイムズ』は、「G7首脳は14カ月間にわたりウクライナ侵攻戦争を続けているプーチン露大統領に対して経済的制裁をさらに加えることを望んでいるが、実際に可能な選択肢は多くない」と指摘しています。

 

 『フィナンシャル・タイムズ』は20日、別の記事で、EU高官が「EUは、ロシアに対する新たな制裁は終わったと考えている(もはや制裁できることがない)」と語ったと、報じました。IWJは、このEU高官の談話を、あくまでも強硬な姿勢で「対露全面禁輸」を求める米国とG7と、EUの間の亀裂を示す談話として、『日刊IWJガイド』23日号でご紹介しました。

 

※Ukrainian grain curbs give reality check to Kyiv’s EU membership bid(FINANCIAL TIMES、2023年4月20日)

https://www.ft.com/content/74bb02a0-a8da-4cd2-8a34-e0a05acbe60f

 

※はじめに~対米自立・独立外交を堅持するとのマクロン大統領発言に、米紙は「気にするな」と米国と欧州の一体性を強調!(日刊IWJガイド、2023.4.23号)

非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52161#idx-1

会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230423#idx-1

 

 今回の『フィナンシャル・タイムズ』のスクープが事実だとすれば、欧州諸国はマクロン仏大統領だけの個人プレーにとどまらず、EUとして「米国の下僕ではない」と主張し、日本もまた米国の外交政策に異を唱え、「米国の下僕ではない」という意思表示をしたことになります。