【貼り付け】河井買収事件原資提供安倍自民党に捜査のメス | ワーカーズの直のブログ

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河井買収事件原資提供安倍自民党に捜査のメス

18th Jun 2020植草一秀『知られざる真実』

かつて金権腐敗政治という言葉が使われた。その時代から半世紀近くが経過しているが実態は何も変わらない。金権腐敗が政治のあらゆる場面に蔓延しているとしか言いようがない。2019年7月の参院選で、広島の地元議員らに計約2570万円を配って買収したとして、東京地検特捜部は6月18日、前法相の河井克行容疑者と妻で参院議員の案里容疑者を公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕した。現職国会議員夫妻の逮捕は初めて。

 

東京地検特捜部は同日、東京都内にある両容疑者の議員会館事務所などを家宅捜索した。河井克行前法相の逮捕容疑は2019年3~8月にかけて、票の取りまとめなどを依頼する報酬として地元議員ら94人に計約2570万円を提供した疑い。河井案里議員の容疑は、このうち計170万円分の提供について河井克行前法相と共謀したというもの。

 

参院選に際して、河井夫妻が代表を務める広島県下の支部には、自民党本部から1億5000万円が振り込まれた。広島県で同時に出馬していた現職議員に対して支払われていたのは、その10分の1の1500万円。買収に用いられた資金の出処は自民党本部と見られる。自民党本部がこの買収事件に深く関わっていると考えられる。

 

検察は当然のことながら、自民党本部に対する家宅捜索を行う必要がある。河井案里氏を強引に擁立したのは自民党本部。首相官邸のごり押しだった。広島選挙区の定員は2。野党陣営が有力候補を擁立し、トップ当選を果たした。自民党が二人を擁立すれば当選者は一人しか出ない。岸田派の5選のベテラン議員で元国家公安委員長の溝手顕正氏が現職議員で存在した。

 

ところが溝手氏に対して個人的な恨みを持つ者がいた。2007年夏の参院選で安倍自民党が惨敗した際、防災相であった溝手顕正議員が安倍首相を名指しして「もう過去の人」と批判した。このことを根に持った安倍首相が溝手議員の落選を目論んだと見られている。

 

2019年の参院選で安倍首相は安倍事務所のスタッフ数人を広島に常駐させるほど力を入れた。自民党本部から流れた1億5000万円の流れについて、安倍事務所が関わっている疑いも持たれている。選挙に際して買収資金が日常茶飯事のように配られる。

 

このような政治の現実に対して何の疑問も持たれない「金権腐敗体質」が安倍政治に蔓延している。巨大補正予算が利権の巣窟にされている実態が明らかにされつつあるが、大資本が自民党や首相に政治献金を行い、巨大な利権予算の配分を受ける。政治が金権腐敗ビジネスになり果てている。このような腐敗し切った政治を一掃しなければならない。

 

問題はこれにとどまらない。森友疑惑、加計疑惑も安倍首相が政治を私物化し、国民と国家に巨大な損害を与えた事案である。不正な利益を得て、特定の者に国家・国民に損害を与えるかたちで利益供与する。桜を見る会は政府公式行事であるにも関わらず、自分の選挙区の有権者を招いて利益供与する。その財源には国民の税金が用いられる。

 

金権腐敗のオンパレード、総合商社の様相を示している。6月18日夕刻に安倍首相が記者会見を行った。辞意表明するのが適切である。これ以上、日本の政治が汚濁されることを回避しなければならない。

 

安倍政治がまさに末期的な様相を強めるなかで東京都知事選が告示された。99%のための政治を目指す勢力から宇都宮健児氏と山本太郎氏の二人の候補者が出馬した。いずれの候補者も良い候補者である。しかし都知事選では当選者が一人しか出ない。最後は主権者の投票を有力候補一人に集中させなければならない。

 

選挙戦の情勢を睨み、主権者が適切に行動することが極めて重要になる。河井克行議員は安倍首相および菅義偉官房長官、二階俊博自民党幹事長との関係が深い。まさに安倍内閣、安倍自民党最高幹部直結の議員なのだ。2019年9月11日、参院選後に行われた内閣改造で、河井克行議員は第4次安倍第2次改造内閣で法務大臣として初入閣した。しかし同年10月31日、河井克行法相は文春砲によって辞任に追い込まれた。

 

2019年7月参院選で、河井案里氏の陣営が選挙運動中のウグイス嬢13人に対して公職選挙法で定められた日当の上限額1万5千円を超える3万円を報酬として支払ったと報じた。ここから河井陣営の金権腐敗選挙の実態が明らかにされていった。しかし安倍内閣には守護神が存在した。黒川弘務東京高検検事長である。

 

黒川氏は2011年8月から2016年9月まで5年間も官房長を務めた。その後、2016年9月から2019年1月まで法務事務次官、さらに2019年1月から、常習賭博が発覚して辞任に追い込まれた本年5月まで東京高検検事長を務めた。この黒川氏が安倍内閣に関係するすべての重大犯罪もみ消しに深く関与してきたと見られている。

 

政治家が関与する事案の捜査については検察首脳会議において方針が決定されると見られている。黒川氏はこの検察首脳会議に関与し続けてきたと見られる。そのなかで安倍内閣が関与する重大犯罪をすべてもみ消してきたと見られているのだ。

 

安倍内閣は黒川氏の定年を違法に延長した。さらに検察庁法を改定して、黒川氏が長期間検事総長職に留まれるように工作した。すべての重大犯罪をもみ消す守護神を必要としたのだと見られている。ところが黒川氏の常習賭博が発覚して、この目論見は潰えた。黒川氏の大チョンボで流局になってしまった。河井克行議員夫妻の逮捕は黒川氏排除によってようやく実現したものである。

 

しかしこれは氷山の一角。本丸は見えていない部分にある。公職選挙法違反の買収行為の資金は自民党本部から流れた疑いが強い。そして河井陣営に安倍事務所の秘書が複数派遣されていたと伝えられている。安倍首相自身の関与が強く疑われるのである。

 

検察が権力の犯罪にどこまで切り込めるのか。黒川氏なき後の検察の行動が注目される。このタイミングで東京都知事選が告示された。小池都政は自公政治の別動隊に過ぎない。小池都知事の基本は「自分ファースト」、「小池ファースト」である。築地の豊洲移転も都民の気を引いただけで、結局は当初予定通りの豊洲移転になった。築地の機能を残すという話も雲散霧消した。その場その場を取り繕っているだけに過ぎない。

 

3月25日に「感染爆発重大局面」と言い始めたが、直前まで東京五輪7月開催に突き進んでいた。「瀬戸際の2週間」とされた3月1日に7万人の濃厚接触を生み出した東京マラソン実施を強行した。3月24日に東京五輪の延期が正式に決定されると、突然「感染爆発重大局面」と言い始めた。都知事選に合わせて「東京アラート」をやめた。営業自粛の要請もすべて取り下げる。

 

ところが新規感染者数は再び増加傾向を示している。すべてが支離滅裂なのだ。唯一、整合性が取れているのは、自分の都合に合わせて動いているという一点のみだ。小池都政に終止符を打つことが何よりも重要だ。宇都宮健児氏、山本太郎氏のいずれかを勝利させることが求められる。選挙戦を盛り上げて、最終局面で有力候補に投票を集中させる戦法を取るしかない。

 

二人の候補者も、いずれかが勝者になることを目指す点では意見の一致を得ることができると思われる。