3.11では1人月50万円削減 国会議員はなぜ給与カットしない
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2020/04/04 日刊ゲンダイ
マスクをつけ衆院本会議にのぞむ議員ら(2日)/(C)日刊ゲンダイ
「コロナ対策で経済活動を止めることで、莫大なGDPが消えていく。昨年10~12月期のコロナが始まる前で、年率換算にして7.1%の落ちだ。GDPが少なくとも年率10%落ち込むことは覚悟しなくてはならない」
4月1日の国会で、自民党の西田昌司参院議員が安倍首相に切りだし、減税を促した。
スバルが国内工場の一時停止を発表、ANAはCAの半数を一時帰休させる。派遣切りやコロナ倒産も出てきた。日本全体が不況に覆われている。いまや公務員や議員、年金生活者以外、悪ければ失業、よくて大幅な減収を覚悟している状態だ。
企業や国民の所得が減れば、税収も減る。一方でコロナ対策の歳出増は必要だ。それならば、まず国会議員の給料を減らすべきではないか。実際、2011年の3月11日に東日本大震災が起きた時、当時の民主党政権は3月31日には国会議員歳費削減法案を通し、半年間議員歳費を1人月50万円減らし、総額21億円を震災対策費に充てることを決めた。
国会議員の歳費は月に129万円。さらにボーナスが歳費の5カ月分。年に2200万円の収入である。この他に「文書交通滞在費」が月に100万円、「立法事務費」も月65万円もらえる。議員宿舎は格安家賃で、秘書の給料は3人まで国費負担だ。新幹線と飛行機の無料パスもつく。大臣になれば、さらに上乗せされる。
その上、政党には巨額の政党交付金が交付される。自民党には173億円、立憲民主党には43億円など総額年318億円にもなる。これだけ恵まれていたら、月50万円減らしても、生活に困ったり、政治活動に支障が出たりすることはないだろう。
国民は外出や通勤の自粛を求められ、企業では出張や通勤をやめてウエブ会議やテレワークを行っている。国会議員も地元に帰ったり、対面の会合を開いたりする機会が減っているはずだから、文書交通滞在費を減らせるだろう。
国会議員がコロナの感染封じ込めや経済危機に対して後手後手の対応しか取れていないのは、そもそもコロナが蔓延しても自分たちは困らないからだ。もし歳費減という痛みを国民と共有するなら、もう少しましな政策が出てくるだろう。 (ジャーナリスト・若林亜紀)