【貼り付け】日米修好通商条約に匹敵する日米FTA | ワーカーズの直のブログ

ワーカーズの直のブログ

ブログの説明を入力します。

日米修好通商条約に匹敵する日米FTA

30th Aug 2019植草一秀『知られざる真実』

ãã©ã³ã大統é ã¨å¯¾è«ããå®åé¦ç¸

 

日米FTAの大きな問題点が三つある。第一は、自動車の取り扱い。TPPでも自動車が最大の問題だった。安倍首相は自由貿易を推進するのがTPPだと主張してきた。自由貿易によって日本は利益を得るとも言っていた。しかしTPPは日本の輸出を拡大させる枠組みではなく、日本が輸入を拡大する枠組みである。その結果、壊滅的な打撃を受けるのが日本の一次産業だ。

 

一次産業は一次産業の従事者の問題ではない。国民の食料の問題なのだ。国民が生きてゆくには食料が必要だ。安全保障の基本の基本が食料の確保だ。だからどの国も国民の食料の確保のために一次産業に巨大な補助金を投下して一次産業を守っている。これはWTOが認めている措置である。その食糧確保を一方的に放棄するのは国民に対する背任である。

 

安倍内閣は一次産業を守らず、関税の大幅引き下げ、撤廃を強行した。これがTPPである。日本が唯一輸出を拡大できる可能性があるとするなら、それは自動車だった。米国は日本からの自動車輸入に関税をかけている。普通自動車の関税率は2.5%だが、売れ筋のSUVに代表されるカテゴリーの自動車には25%の関税をかけている。これらの関税率をゼロにしてもらうなら、「自由貿易を推進するTPP」という説明も理解できないものではなくなるかも知れない。

 

ところが米国が設定している日本からの自動車輸入関税率を、普通自動車は14年間、SUV等の車種は29年間、まったく引き下げないことを日本は呑まされた。これは、日本がTPP交渉に参加する条件とされたのだ。TPP交渉に入れてやるけれども、米国の日本からの自動車輸入の関税率は、普通自動車は14年間、SUVなどは29年間、一切下げないことを呑め。それがいやなら、TPP交渉には入れないと米国が言ってきた。まともな政府なら、この時点でTPP交渉への参加をやめる。メリットが皆無でデメリットしかないTPPに参加することは、国民に対する背信、背任行為だから、TPP交渉には入らない。当たり前のことだ。

 

ところが安倍内閣はこの条件を呑んでTPP交渉に参加させてもらう道を選んだ。売国まっしぐらとしか言いようがない。それでもこの時の条件は、最終的には米国の自動車輸入関税が撤廃されるというものだった。普通自動車は25年後、SUV等は30年後に関税を撤廃するということになった。気の遠くなるような遠い未来の話だが、それでも関税撤廃が決定はされた。

 

ところが、今回の日米FTA合意では、米国の自動車輸入関税率引き下げが完全に消えたのだ。こんな協定は1858年の日米修好通商条約以来のものだ。米国がこんな提案をするなら、直ちに交渉を打ち切るべきだ。韓国に対しては酔っ払いの喧嘩のように絡んでゆく安倍内閣が、米国に対しては何ひとつものを言えない。こんな情けない政権の存立を認めること自体がどうかしている。それだけではない。

 

トランプ大統領は、日本からの自動車輸入に対して「制裁関税」を上乗せする可能性があることを明言した。安倍-茂木ラインは、こんな国辱害交を展開しているのだ。「踏まれても 蹴られてもついていきます 下駄の雪」は安倍茂木内閣に贈られる言葉である。これ以外に、牛肉、豚肉の関税率が大幅に引き下げられるが、セーフガード発動基準の数量について、TPP交渉との再調整が必要になるのに、この点が明確にされていない。さらに275万トン、数百億円規模のトウモロコシ購入が決定された。

 

中国が買うはずだったトウモロコシを中国が買わなくなったから日本に買ってくれと言われて、そのままその要求を受け入れた。こんな害交では、日本の主権者は不利益だけを蒙ることになる。安倍内閣の一秒でも早い退場が求められている。米国産の安い牛肉が大量に日本に流入して何が生じるのか。乳がんや前立腺がんの大量発生ではないのか。米国産牛肉を使って比較的安い価格でステーキを提供するチェーン店企業の業績が急速に悪化している。最大の要因は、日本の消費者が米国産牛肉の忌避を強め始めたことにあると考えられる。

 

乳がんで亡くなられた小林麻央さんの姉の小林麻耶さんが2018年6月23日に開かれた麻央さんの「偲ぶ会」で次のように述べた。「ピザとかジャンクフードが好きでした。食べる時に麻央を思い出してください」この発言について、ネット上には麻耶さんの発言を批判する論評も見受けられるが、これらの食生活がもたらす有害性が念頭にあったのではないかという解釈もなり立ち得ると思われる。

 

米国では牛や豚に対する成長ホルモン剤の投与が認められている。その有害性については多種多様な研究、分析があり、確定した統一見解は存在しない。ホルモン剤投与の肉を製造、販売する事業者は有害性を否定することにインセンティブを有し、様々な「工作活動」を展開するから、「科学的に」有害性を立証することは容易でない。

 

この問題に関して紹介されることが多いのが、2009年に開催された日本癌治療学会学術集会における、北海道大学遺伝子病制御研究所客員研究員の半田康医師らの研究による「牛肉中のエストロゲン濃度とホルモン依存性がん発生増加の関連」という報告である。

 

半田医師らは国内で流通する米国産牛肉と国産牛肉の肥育ホルモン残留濃度を計測し、赤身肉部分で米国産牛肉は国産牛肉の600倍脂肪においては140倍のホルモン残留を検出した。その結果として、「米国産牛肉を継続して摂取するとホルモン性依存の乳がんや前立腺がんの危険性が5倍高まる」と発表した。

 

繰り返しになるが米国の巨大資本が食料ビジネスを展開しており、巨大な資本を投じて情報を操作しているため、最終的な「科学的」結論を得ることが容易でない。ビジネスを展開する側は、「有害である」ことが立証されればビジネスに悪影響が生じるから、これを忌避しようと躍起になる。こうした状況下で消費者は、「予防原則」を重視せざるを得ない。安全性が完全に確認されるまでは、有害性の疑いのあるものの摂取を抑制することだ。

 

この点に関する国家の対応は国によって分かれる。欧州諸国は「予防原則」を基礎に据えている。したがって有害性の疑いのある食料に対して、基本的に厳格なスタンスを示す。ところが米国にモノを言えない日本は、米国流の対応を強要され、これをそのまま受け入れ始めている。成長ホルモン剤や、同様に有害性が指摘されているラクトパミンを投与した牛の肉や乳製品の安全性が懸念される。

 

米国産乳製品を原料とするピザ、米国産牛肉を原料とするハンバーガーを大量に摂取することが乳がん発生をもたらす「可能性」を否定できない。欧州では成長ホルモンもラクトパミンも禁止であるから、欧州産の乳製品、肉にはこのリスクがないと判断できる。国産牛肉については、成長ホルモン剤やラクトパミンの投与は禁止されているが、家畜の食料となるトウモロコシなどはほとんどが輸入によって賄われている。そしてその多くが遺伝子組み換え作物なのだ。

 

中国が米国産トウモロコシの輸入を止めた理由として遺伝子組み換え作物を危険視していることがあると指摘されている。家畜が遺伝子組み換え飼料によって育てられた場合に、乳製品や肉にどのような影響が出るのかどうかについても、「科学的」結論は得られていないが、例えばジャスダックに上場している農園企業である株式会社秋川牧園(証券コード1380)はポストハーベスト無農薬トウモロコシ(PHFコーン)の分別輸入に取り組むとともに、遺伝子組み換え飼料についてホームページに次のように記述している。

https://www.akikawabokuen.com/safety/siryou.html

 

「この取り組みは、その後の非遺伝子組み換え飼料の採用にもつながっています。遺伝子組み換え技術は、日本やEUでは本格的な採用はされていませんが、日本は既に世界最大の遺伝子組み換え食品の輸入国です。専門家は遺伝子組み換え食品には安全性の問題はないといいますが、種の拡散による生物多様性への影響、様々な健康被害の報告など、やはり自然とは共生できない技術と言わざるを得ません。毒素を生産する微生物のDNAを取り入れることで、トウモロコシ自身が農薬をつくりだすBtコーン。トウモロコシの茎に入る虫は死んでしまいますが、その毒素は実にもあるはずです。ラウンドアップという除草剤をまいても耐性があるので枯れない大豆。農家は安心して除草剤をたっぷり撒けるわけですが、食の安全性や環境への悪影響に不安が残ります。これは遺伝子組み換え種の代表例ですが、それは消費者のためではなく、生産における都合を押し付けたものであることがわかります。秋川牧園の畜産で使用する飼料は、トウモロコシ、大豆、菜種、絹実、てん菜、アルファルファなど、すべて遺伝子組み換えをしてないものに特定しています。さらに唐揚げなどの加工品についても、使用する菜種油も非遺伝子組み換え種に特定するなど、「遺伝子組み換えにNO!」の姿勢を貫いています」

 

一民間企業でもこのような取り組みを示している中で安倍内閣の姿勢はハゲタカファースト、食の安全放棄のスタンスであると言わざるを得ない。