雑記 -教習所物語-
TBSラジオ『アルコ&ピースのDCガレージ』をわたくし聞いておりまして、以前こんな回があったんですね。
内容的には平子さんが家族で横浜に行った際に大型バイクが止まっていて、それを見た奥さんが何気なく「パパもあんなバイクに乗れたらなぁ…」とポツリと呟いたと。愛妻家の彼は思ったんですね。子供達が成人した時に奥さんをバイクの後ろに乗せて北海道とか走るのも良いんじゃないか。何より奥さんを喜ばせたいと。
そんなわけで、バイク好きの先輩芸人とかにアドバイスなどを聞いて興味は出てきたけど、大型二輪の免許は中型がないと取れないと言う事を知ったんですね。そこで彼は言いました。
平子「なんか色々めんどくせーなーって思ったんだけど、中免取っちゃったよ」
酒井「えーーー!!!」
ここでCM。正直笑った。相方にも内緒で通っていたようで、諦めたかと思ったら既に取得済みと言う。
そして思った。
「芸能人は時間もある程度融通効きそうだし金もあるから良いよな〜」
と。だけどふと思ったわけです。
「金は無えけど、時間は…俺もあるな」
家と職場のちょうど間に教習所がある。時間によっては平日仕事終わりに行けるのと土日も含めればいけるぞと思ったんですね。
と言うのもわたくし、引っ越しついでに維持費の高い車を売っ払いまして早1年。都内近郊へは交通の便が良い電車があるとは言え、遠出となるとレンタカーと言うのは中々不便だなと感じてたわけです。この回のラジオを聞いて、気持ちがメラメラ湧いてきました。
「俺も取るか……」
コロナ禍で教習所が大人気と言う噂は聞いてましたが、この熱冷めないうちにって事で調べて申し込みへ行ったのが(2021年)9月の末日。案の定満員御礼状態してるようで、それでもお願いしますと言うことで始まりました。
…のが2ヶ月後の11月に入学説明会、そんでもって初回講習は12月と全然進まないまま日々は流れて行きました。
さて、そんな事で金払ってから約3ヶ月後、遂に始まった免許取得への教習所生活。日々の記録をここに書いていこうと思った次第です。
2021年
-Day 1-
初回講習その1って事でこの日は同じ初回の6人でイロハの「イ」を教わる。校内でのヘルメットの持ち方に始まり、バイクの各パーツの名称など。走行こそしないまでも、バイクに跨ったり、引き起こし等をやった。軽い雑談の中で目測についての話があり、教官が
「ここの直線はどのくらいあると思う?」
と言う問いを端から答えることに。一番端が私だったので急な質問にパニック。
「…600mくらいっすかね。」
と答えたんですが次の人達は
「80m」
「60m」
「100m」
……答えを聞いて思った。
「(600mもあるわけねーーー!)」
おじさん大恥かきましたよ。(撃沈)
それだけでなく、講習終了後、暗証番号式のロッカーが開けられない事件を起こしてしまいダブルで大恥をかいてしまった初回であった。先行き不安である。(実際は設定した時点で番号一個ずれてたみたいで自力で開けれた)
-Day 2-
初回講習の第二弾。この日は教官1人に対して生徒2人での指導。プロテクターを完璧に付けれずに集合時間が来てしまって、中途半端な感じで全員整列の挨拶。前回に続きまた恥をかいてしまい自分が嫌になる。
最初は半クラを使って小さいコースを2周ほどした。そこからアクセルを軽く入れたり、ギアチェンをしてみましょうと言うことでさらに2周。もう1人の生徒と大体半周遅れで回ってたわけだが、戻ってくる前に止まっていたら先輩教官らしき人が我々の教官に向かって
「もう外周行ってどんどんギアチェンさせちゃえよ」
と言う言葉が聞こえてきた。我々が揃った時点で案の定、(教習所内の)車の通る外周コースに出て走行するのでギアチェンしてついてきてくださいとのこと。口頭でクラッチ切ってギア上げて云々を教わって「…大丈夫そうですかね?」と苦笑い気味で言われたが
「(初めてMTバイク乗る人には無理だろうwwww)」
と心の中で思ったくらい詰め込まれてた。
幸いにも私、20年前くらいに原付のMT経験済みだったもんで理論はわかっていた。もちろん初心で教官の後に必死について行く。むしろ煽り運転くらい近くまでついて行く。そこからギアチェンを含む外回り、内回り、S字に8の字一本橋などなど、兎に角ついて行く。走りながら私はさらに思った。
「2回目にしてイロハの『ハ』まで行ってんじゃねーかこれ!?」
それでも乗っている時は非常に楽しい。あっという間に講習が終了。細かいことは抜きにして、2人ともミスすることなく無事に終えた。しかし、MT経験ないと今日この日は厳しかったぞと改めて思った次第だ。
-Day 3-
この日は2時間連続の教習。1限開始のだいぶ前からプロテクターを早々に装備して準備万端。連続恥かいていたのでこれくらいは当たり前なのです。今回一緒に教習を受ける人が中々気さくな方で
「今日で何回目ですか?」
「初回2回終わって今日3回目です」
「僕も一緒です」
なんて会話もしまして、良い人そうで一安心。教官も時折冗談を混じえながらわかりやすく接しやすい方でこの日は良い感じだった。2限目も同じメンツ。休憩中も一緒に受けた方と少し談笑したりと2時間の講習はあっという間に終わってしまったが、またこのメンツで受けたいなと思えた。
講習の内容的にはブレーキの使い分けと一本橋、スラロームとS字&クランクの基礎的なもの。個人的な話しではあるが、日常的に原付のスーパーカブに乗ってるんですが、前回の時に感じていた“カブ乗りの弊害”がたまに出てしまう自分がいる。カブはクラッチはないが左足前後でギアチェン。単車はクラッチ&上下でギアチェン。カブは右手のボタン上下で左右のウィンカーを出すのに対して単車は左手の左右と言う細かい点でカブ乗りの癖が出てしまうのをどうにかせねばと個人的課題もみえてきた。その他に関してはまぁまぁ乗れてた方なので徐々に細かい点を詰めてかねばと思った。
-Day 4-
この日は午前中から夕方にかけて雨。いよいよ雨の日講習になるかと思っていたが、仕事が終わり教習所に向かうころには晴れ間が広がっていた。
この日の講習は前回の続き。主にスラロームの強化。あと坂道発進も習うことに。余談ではあるが4回とも違う教官。この日の教官はやんわりとした口調ながらもユーモアはなく実直な感じ。淡々と教えて行くタイプ。ヘルメットを被りマスクをしているので目元しか見えないのだが、その目元がSP RECORDSのフジタさんにそっくりだったので勝手にSPと名付けた。
SPの指導のもと始まったわけだが、この日の自分はこれまでで1番ダメだった。まずエンストを数回してしまう。今までのより繋ぎが難しく感じた。そこからくる精神的焦りなのか、外周は良いとして、細かい走行で不安定な走りをしている自分に気がつく。そしてこの焦りから例の“カブ乗りの弊害”のクセも出まくってしまっていて、この日は不完全燃焼だった。
-Day 5-
いつものようにプロテクターを早々に装着して時間まで待機。待機場所で名前を呼ばれてこの日の担当者からトランシーバーを受け取り、その後待機場から移動してアルマゲドンよろしくなヘルメットを小脇に抱えて全員で整列の挨拶をするのだが、時間が来ても担当者から名前が呼ばれない。
「それでは準備できた方は集合場所へ」
教官の1人がそう言ったのでこれはおかしいと思い訪ねる。
「あのぉ…トランシーバー受け取ってないんですけど…」
「トランシーバー無くても大丈夫?」
「え..?まぁ…たぶん」
訪ねた人がどうやら俺の担当のようで、トランシーバーの使用が面倒なのか、使わなくても良いっしょ♫と軽いノリだった。
整列後、改めて担当者とよろしくの挨拶を交わすのだが、なんとこの日はマンツーマンだった。
内容的には最終試験で出されるコースが2つあるのだが、そのうちの1コースを走って覚えると言うもの。2周ほど細かい事を教わりながら走った。一周目が終わり
「どうですか?大丈夫そうですか?」
と言われたが、言葉が出てこない。と言うのも長い一周コースの中にそれぞれ細かい“後方確認”“右寄せ、左寄せのタイミング”and moreなポイントを詰め込んでの走行。何が大丈夫で何がダメなのかが出てこなかった。
とりあえず2周目も終わり
「コースはこんな感じ。どうしますか?残り時間もう一回コースやるか細かい走行の練習にしますか?」
と聞かれたので私はコースを走るのを選択した。
と言うのも2周程したけど所々ミスポイントがあったので納得いく走りができてなかったのと、走ってコースを覚えたいのと、何より長く走ってるのは楽しかったからだ。(結局3周目もミスはあった)
教習後、教官に
「コースはもう大丈夫そうですかね?3周もしたし。普通の人はだいたい2周なんですけどね」
と笑顔で言われて「へへへ」と照れ笑いしかなかった。
家に帰る道中で気がついたのだが、次の教習はシュミレーターだったはず。(ゲーセンにあるみたいなやつ)そして1週間後に2限連続あって、そのうちの2時間目は第一段階見極めと書いてあったはず。
……実際にコースを走るのはこの日が最後ぽかった。やばい。第一段階の見極めは何をするかは知らないが、不安は募るばかりである……。
何も考えずにブンブン走っていた最初の頃に戻りたいぜ…..。
-Day 6-
前途に述べたようにこの日はシュミレーター。教室前の待ち合い椅子へ向かうとDay3で一緒だった気さくなあの人がいた。向こうも自分のことを覚えていたようで、近況を少し話した。彼とはおそらく進み方が一緒のようで、お互い一段階は残り2回のスケジュール。言葉には出さなかったが、このままお互い順調に進んで卒業まで行ければ良いなと思った。
時間になりシュミレーター室に入ると大型モニターとゲーセンにあるようなバイクが一体化した機械があった。ここで3人で交代しながらバイクを運転。この日はブレーキのかかり具合の話しと強風などの状況による走行のシュミレーション。実物を見てないと凄い装置のように感じるかもしれないが、感覚的にはWindows98くらいの代物だろう。数十年後にはこれがVRゴーグルとか使ってやってるんだろうかと思ったらショボい機械だった。
教官はやる気が感じられないダラっとした人であったが、二輪の教習コースを覚えなければいけないと言う脅しにもにたような雰囲気で我々の脳内に叩き込まれた。教官曰く、コース自体はもう走ってるし、覚えてくださいと言うのは言われてると思うから覚えていたいのは話にならないよってこと。改めてふんどし締め直してコースを覚えなければと思った。
気さくなあの人とはもう会うことはないかもしれんが、我々は残り2時間教習があり、うち一回は見極め。無事に第二段階で会えるといいな。
-Day 7-
2限連続のこの日の1限目はAT車に乗ってMTとの違いを体験する授業。最初に色々と乗るビックスクーターについて「どう言う違いがあるか?」の質問をあれやこれや聞かれる。以前Day1時の目測についてのクソ回答が脳裏を過るが、この日はマンツーマン。俺しか回答者はいない。色々と質問に対してもそれ相応の回答ができたと思う。(ふぅぅ〜。あぶねー)
実際乗ったビックスクーターは当たり前だけど楽だ。これは車の免許でMT取った時も感じたものであり、あの当時は「ヤパ車乗るならATで十分だなぁ〜」なんて思ったが、今回のバイクに関しては“それでもMTが良いな”と心の中で思った。乗ってる分には楽だったので楽しさはあったが、以前から言われている2種コースのうち第二コースをATで走行していたので、常に色々と考えながら、そして忘れないように走っていた。原付のカブに常時乗っているので久々のスクータータイプが若干違和感あって怖かったけどねw
1限が終わり、休憩1時間を挟んで2限に入る。近くのお店に飯食いに行くのが面倒だなと思ったので、コンビニでおにぎりを事前購入済み。今近所の公園のベンチで日向ぼっこしながらおにぎりを頬張り、ここまで書いている。次は第一段階の見極め。何をするかは分からないが、もう2週間以上MTに乗っていないので今から不安である。
さて、ここからは授業が終わり家に帰ってレコード聴きながら書いてます。
2限の見極め教官はDay5のマンツーマン時に当たったトランシーバー無し男(ナシオ)。若干苦手なタイプの教官ではある。
自分ともう1人と教官の3人でコースを走り、その他の細かいスラロームとかのを一通り何度もやると言うもの。基本的な走りができてるかどうかの見極めであった。
個人的なブレーキの掛け方などの課題も見え、エンストも一回してしまったが結果的には無事に第一段階はクリアした。気になるのは一緒に受けたもう1人の人。たぶん彼も見極めであり、無事に第二段階へ進む事だろうけど、平場での度重なるエンスト(坂道発進時も)と周囲の確認等が一緒に走っていた自分から見ても不安に感じた。当たり前なんだが、ここまでお互い別々ながらも段階を踏んでこの日に進んできてるわけだが、走りのスキルは個人差が出て来ているのだ。それはもちろん自分も含めての話し。小学校でも同じ授業を受けてて、二桁の掛け算になってるのにまだ九九が曖昧でわかってない人がいたら焦るはず。そんな感覚にも似たある種の競争社会的な見えない恐怖が付き纏っていた。
そう言う不安は走りながら感じると色々と慌ててしまう。そんな時は遠くを見てリラックス。そうする事で視界は広がり肩の力が抜けて一つ一つを丁寧にしようと言う心のゆとりができるとここ数回の授業で思った。
約2週間ぶりのMTも無難に乗れたので、次は年明けとだいぶ間が開くが心配ないだろうと自分に言い聞かす。コースを覚えて課題を一つ一つクリアして行く。ただそれだけの事。
2021年の教習所はこれにて終了した。
2022年
-Day 8-
2022年を迎えて1ヶ月が経とうとしていた。
そう、最後の教習から1ヶ月以上あいて遂に第2段階がスタートした。と言ってもこの日は例のシュミレーター。ゲーセンである。2段階は計3回ほどあるようだ。
授業前の待合所で例の気さくなお兄さんと三度目の再会。3人ひと組で授業を受ける。この日も出だし早々に「コース覚えてないと話しにならない」とやんわりと脅し文句をくらって授業が始まる。シュミレーターの内容としては危険予測運転だった。出だし早々に機械トラブルがあって再起動をすることになったが、なんとかスタート。それぞれが乗っては軽いディスカッションを行なっていき、私の出番は最後だった。しかも最後に総括の意味を込めてVTR見ながら進めるのも私の走行時のやつで赤面もの。とにかく速度が遅かった(爆)
授業終了後には気さくなお兄さんと少し雑談。お互い今年初の教習になり、卒検の日も近そう。あと全然乗れてない上に間空いてるのにコース覚えろって辛いだろうと言う愚痴も(笑)
前にもここに書きましたがお互い順調に進めて無事に卒業できればと思いました。
-Day 9-
正直言うと憂鬱である。久々にバイクに乗るわけだが、この日は前々から言われてた“コースを覚えてないと話しにならない”と言う日の初回だからだ。今までは教官の先導のもと走っていたわけだが、この日からは自分が先頭でコースを走るのである。DJをするときの私は1週間前から選曲をする程心配性ではあるが、コースの確認は当日の仕事の合間に予習しただけ。頭には入ってるが、実際走ってみないともうどうしようもない状態だからだ。
そして、前回実技をしてから約2ヶ月ぶり。先月一回も教習がなくて、今月から再びスタートを切ったわけだが正直めんどくさくなっている。元々バイクに興味がない自分はダラダラと進むと集中力が切れてしまう気がする。
とは言ってももうやるっきゃない。仕事終わりに直で現地入り。開始30分以上前からプロテクター装着して準備は万端。過去のミスは繰り返さないぜ…。
時間になり全員集合のアルマゲドン挨拶。なんと雨が降り始めていた。この日は初となる雨の日講習になった。
まずは軽くウォーミングアップがてらの外周。久々の実技で思った。
「ヤパ楽しいな」
無難に走り出し、順調に走行してる中で初日に乗った純粋に楽しいと言う気持ちが湧いてきた。ウォーミングアップを終えて例の如く言われたコースを先陣を切って走る。結果から言うとコースは完璧だった。細かいミスはあったものの、エンストなどはせず何周もしてミスを修正。普段原付に乗ってる癖が出てしまったりで、一時停止時に前の教習車の後ろでめっちゃ近くに止まって「近いです」と言われたときは思わず笑ってしまった。確かにそうだ。ここは教習所。煽ってどうする。(別に煽ってるわけではないが近すぎた)
ただ、教習途中と講習終了後にも言われたが「〇〇さんぐらいの運転技術があればギア入れてスピード出せるところは出して、カーブ前とかでギア落としての運転が良いですよ」とお褒めの言葉を頂いた。褒められると自信に繋がるタイプの私は素直に嬉しかった。
とりあえずコースはバッチリ。あとは細かい注意点と自分が苦手としている急制動が課題かな。
-Day 10-
前日に続きこの日も仕事終わりに教習。もちろん30分以上前からスタンバイ完了。本日の指導官は初の女性の方。ちなみに前日は自分より年下であろう20代くらいの好青年だった。とにかく今日まで2回教習を受けたのはトランシーバー無し男のみで毎度違う人なんだなと改めて思った。
本日の講習は久々の生徒2人での実技。内容的には”スピード出してカーブ曲がったらあぶねーよ“って言うもの。その後コースを走って終了。
前回調子の良い走りが出来てはいたが、この日は坂道発進が上手くできずに不完全燃焼。(クラッチの繋ぎ甘かった)あとは2人体制と言うことで妙なプレッシャーがあった。走りながらも緊張感があった。
次回は私の課題でもある急制動について重点的にやるようだが、週間天気によると雨っぽいぞ…。
-Day 11-
この日は疲弊しきっていた。週末の仕事は人数が少なく、自分への負担が大きい。そう言うこともありストレスと疲れきった私はdiscogsで散財して気持ちを切り替えて教習所へ向かった。
予報通りの雨。まぁ通勤もカブに乗って雨の中走っているので気持ちは下がるが身体的ダメージはこれと言ってない。不思議なもので慣れるとカッパ着てれば最強だと思えるので雨なんてどうって事ないと思えてくるもんだ。
この日の教官はまた新しい人で女性だった。待合室で待機していると前の時間に実技を受けてた人達が戻ってきた。そこには例の気さくなお兄さんの姿があった。
軽く会釈を交わし、前回一緒だったシュミレーターからどう進んでるか聞いてみたら先程が第二段階実技の初回だったとのこと。
私「コースを先人きって走ってると頭ではわかってても混乱しますよね〜」
なんて第二段階あるあるを言ってると時間がきた。
お兄さんは帰り支度をしてない。まさかとは思ったが、この日はDay 3以来となる一緒の教習だった。ただ我々の進み方は一時限ズレている。なので最初のウォーミングアップは一緒に走り、そのあとはタイミング見て別々の課題をひたすらやる感じだった。
ウォーミングアップの時にお兄さんと久々に走って思った。
“走りが安定している…”
これはあれだ、ドラゴンボールの天下一武道会だ。それぞれ神様のところや亀仙人のところで修行してたZ戦士が天下一武道会で再集結。
「おでれーたぞ!舞空術なんていつの間に覚えたんだ!?」
ってな感じに似てる。我々は今日再び会うまでに修行を重ねてきたんだ。発信前に度々エンストしていた彼は今日ここにはいなかった。それは自分も一緒だ。
「兄さん見てくれ!こんなにも乗れるようになったんだぜ!!」
なんて風には思わなかったが、向こうも何かしら思ってたら面白いなと書きながら思った(笑
そんなこんなでそれぞれ分かれての走行が始まる。私の重点は急制動である。雨の日の急制動ほど怖いものは無い。3速40kmで突っ走って決められた場所からのブレーキで目標地点を超えないように止まらなければならない。一応コツを教わってその後何度も自主練。正直自主練なので何が正解か不正解かが分からないが、2,3回に一回アドバイスがある。第一段階を教えてる違うおっちゃん教官が柵の向こうから
「ブレーキはいいけどスピード足りて無いかな〜」
なんて感じで声掛けもあったり。ただ、そこから「どうしたら良いですかね?」と言うアドバイスを聞くことはできないのがもどかしい。(一応補足のコツは教えてくれたが)
そもそも今に始まった事ではないが、予約が全然取れないのに新規をどんどん入校させてる時点で対比は合ってないんじゃないか?と言う不満にも似た疑念は拭いきれない。
とりあえず、この日は8割自主練で終了した。
実はもう終わりが近づいている。実技に関しては残り一回やってその次は卒検で乗るだけだった。たぶん次はコースを走っての最終確認になるだろう。そう考えると「本当に大丈夫なのか?!」と言う不安を残しての終了だ。前回失敗してた坂道発進だってやりたいのに!
終わった後に帰り支度をしながらお兄さんとも軽い雑談。ちょうどカッパのズボンを下ろしてる時に今日の担当教官が原簿を返しに我々のところへやってきた。
「おつかれさまです」
ビシッとした挨拶をした私の下半身は脱ぎかけのズボンの状態。レディーの前で恥ずかしい失態をしてしまったぜ…(もちろん下にもズボンは履いてるので問題はない。)
最後にお兄さんに
「残りわずかですね。このままお互い一発で卒業できたら良いっすね」
と健闘を讃えあってこの日は終了した。
帰宅後、冷えた身体を風呂で温めて、湯上がりのココアを飲みながら振り返っております。
-Day 12-
この日は朝イチでシュミレーター。。。だったはず。
と言うのもまたしても珍事をやってしまった。
現地について受付票を発行。そこには謎の言葉が書いてあって「あれ?これシュミレーターじゃなかったっけ?」と疑心暗鬼。受付相談窓口の人に聞いてみると
「すみません。これって…」
「はい。これは実技ですよ」
まさかのシュミレーターじゃなかった。慌ててバイク待合所まで行ってプロテクター装備。それでも不安になったので家にいる彼女に電話して自分のスケジュールを確認してもらったが、書いてある項目は一緒だった。「これはシュミレーターじゃなかったのか…?」そんなもやもやと心の準備を整えていたら10分前に教官らが来て受付開始。私の票をみて
「あら。○○さん今日はシュミレーターですよ」
…ふざけんじゃねーーーー!!!やっぱシュミレーターじゃねーーか!!!受付のやつ全然理解してねーじゃねーか!!
はっきり言ってうんざりしていた。慌ててプロテクターを外して本館へ移動と言うのはやってられない。落ち着いて堂々とゆっくりプロテクターを外し、ゆっくりと向かう。
「朝っぱらから恥じかかせおって…」
そんなイライラを脳内でぶつくさ言いながらゆっくりしてたら開始5分前を切っていたので少し焦ったが。
とりあえず無事にシュミレーター教習開始。つーか教室ついたら誰もいなかった。
この日は2人でシュミレーター体験。危険予測の項目になるのでとにかく死角になる部分から人やら車が飛び出してくる。もちろんイライラもあるので全速力でぶつけに行ったけどな!!
朝からドタバタしたけどこの日は終了。
次が卒検前の最後の実技。
-Day 13-
終わりが近づくにつれて日常生活でも妙な緊張感が襲ってくる。この日が卒検前の最後の教習って事もあるが、不安要素はそれだけでない。もう一つの不安要素は実技が終わってから書くとしよう。
さて、実技が終わって今書いてるわけだがはっきり言って疲労困憊である。最後の授業と言うことでマンツーマンでやるかと思ったら2:1の教習。せめて同じ時間を進んでる人となら一緒に最終コース確認ができるのだろうが、その人は2時間前の講習を受けてる感じだったので、前回の実技同様自主練が多かった。一応色々と細かい指導はあったものの、自分としては不安が残る形で終了となった。スラダンで言う山王戦前の宮城リョータ。動いてないと悪いイメージばかり湧いてしまうような不完全燃焼で終えた。
次はいよいよ卒業検定。シュミレーター2時間やってからの検定になるはず。ここで先程述べたもう一つの不安要素、それは前日に友人の結婚式があると言うこと。予めスケジュール出した時に“結婚式の翌日は酒飲みすぎるだろうし辛いから”と言うことで休み希望を出していたのに強制的にぶち込まれていた。
「この日休み希望出してたんですけど!」
と言うことはできるが、おそらく検定試験は日曜日のみであるから「この日入れないと次は月またいでいつになるかわかりませんよ?」的な事を言われるのが目に見えていたので抗議はしなかった。ただ、ゆーてもやっぱこの日程は不安でしょうがない。理性を持って前日は飲みすぎないようにせねばと思っている。どーなることやら。
-Day 14-
結局楽しさと祝福の気持ちからは抗うことができずに酒を飲みすぎてしまった前日。何杯テキーラショットを入れたことか…。
早めに帰宅をし、朝も早く起きて準備をする。二日酔いもない。
家で確認しててある事に気がついたが、数日前から「この日は卒検だ」と思っていたが、実は第二段階の総まとめ的な見極めっぽかった。ただ、やる事は変わらないはず。最後の実技でも納得ができなかった自らの課題である“坂道発進”と“急制動”があるからだ。そのため緊張感はずっとありつつ家を出て、タバコを忘れた事に気が付かなかった…。
この日は3時間連続授業。2連続でシュミレーター、最後に実技で見極めだった。
シュミレーターの待合所で待っていると例の気さくなお兄さんもきた。既にだいぶ前から彼の名前は把握してるが、あえてお兄さんと呼ぼう。
「今日は3限連続ですか?」
「そうです」
なんと最近よく会うなとは思っていたが、最後も一緒になるとは。
シュミレーター自体は危険予測と高速道路の教習。次が2人乗りについてのビデオ講習で終わった。
実技に移り、シュミレーターを受けていた我々3人ともう1人が加わり2:4での見極め実技に入った。生徒2人の組み合わせ、ここでもまさかとは思ったが彼と一緒に最後を迎えた。ちなみにもう一組の方の教官は例のSPだった。
少し波状路などをやった後に見極めに入った。基本は1号,2号コースを一人で走り、遠くから出来てるかを教官が確認。結論から言うと大丈夫だった。1周目にお褒めの言葉を頂き、2周目の一本橋で強風に煽られて落ちたものの、まぁ大丈夫でしょうと言う事でもう一回成功してから気持ちよく終わらせてこの日は終了した。
いよいよ(本当の)卒業検定がある。
帰り際に受付で卒検日を決める。一緒に見極めを受けた我々4人は第二段階を無事に終えたので、全員卒検へ向けて予定を各自で組む。帰り際にお兄さんに少し声をかけた。
「おつかれさまです。卒検いつにしました?」
「来週の日曜日にしました」
「一緒ですね笑」
やはり早い方が良いだろうと思い、1週間後に我々は卒検を受ける事に偶然日程が合った。そのあと立ち話を軽くしたりもした。彼は「なぜ2輪の免許を取ろうと思ったの?」と聞いてきたので、私の理由を答えた。そして自分も彼に聞いたわけだが、彼は今も車があるのでそんなに不便では無いようだった。バイクにはそんなに興味は無いけど、新しい事をなんかしたくて受けてみようかと思ったと言っていた。まさかの我々は共通してあまりバイクに興味がないと言う点で一致していたのだ。
そんな2人がいよいよ卒業検定に入る。
個人的には良いイメージで終えれたのでこの感じが来週も出せれば良いなと思ってる。一発で合格できれば良いが、力みせずにベストを尽くし、3ヶ月以内の期限日までに合格できればと思っている。
そんな事を言っているが、やはり心配ではある。卒検前はわたくしDJイベントのゴーハニがある。もう日程的に色々とあるので翌日に卒検ぶち込みましたが、前日飲みすぎないようにと既に心に思いました。
-Day 15-
休みがない。平日は仕事、休日は予定が詰め込まれ、そんな中でさらにある教習所があったりと体力的にもキツくなってきていたが、やはり緊張からくる精神的ダメージもでかい。とにかく疲れている。
だが、この日は我々“同期“の卒検の日である。
合宿免許や友達同士で通うとかでもない限り同期なんて言うのは普通ならないと思う。実際1人で黙々と実技の項目を受けて行き、一緒に受ける生徒とも特に話すことはなく終えていくものだ。
だが、Day 3で一緒になってからお互い顔見知りになり、段階を踏んで再び一緒に実技を受けて成長した姿をみたりと言う日々の積み重ねの中で、もはや我々は同期と言っても過言ではない。と、勝手に思っている。
”同期で一緒に卒業“
この気持ちが私のふんどしを改めて締め直してくれるってもんだ。
教習所の集合場所で待っているとお兄さんも到着。軽い挨拶を交わしたくらいで教室に通される。この日は全員で9名での受験。説明を受けていざ試験を受ける外へ。この日は晴天。風もなし。少し肌寒さはあるものの、良い感じのコンディションだと思う。さぁ行こうか…
試験の順番は向こうが勝手に決めていて私は4番だった。お兄さんは3番。コース内の待機場でゼッケン1番から始まるわけだが、大型と中型それぞれ1名ずつ始まる。
1番手の人が始まった時から色々と乗車前の行動を見て予習。いざ始まると見てるこっちも緊張してくる。お兄さんと雑談をしながら受験者の走りをみて出番が来るのを待つのみ。そしていよいよ同期組先行のお兄さんの番。
「緊張せずに頑張ってください」
「ここまで来たら今日一緒に卒業しましょう」
少し弱音を吐いてる彼にそんな言葉を雑談の中で私はかけた。それは自分にも言い聞かせると言う意味もあったのかもしれない。
いざお兄さんの番が始まった辺りで私はプロテクターの準備などをしなければいけなかった。身支度を整え、寒さで凍える身体をストレッチで伸ばしているときにお兄さんがエンストしたのが見えた。
「(まだ大丈夫っす!落ち着いて!)」
心の中でエールを送った。その後再びお兄さんの姿を目視できた時点で何やら様子がおかしいと思った。そのまま進んだので気のせいかと思ったが、コーナー曲がって行ってからこちらに帰ってくるまでがやたら早かった。
「(え?もう俺の番じゃん!?)」
ヘルメットと手袋を慌てて装着。発着点に戻ってきたお兄さんの番が終わり、こちらに戻ってきた。
「停止線踏んじゃって終了しちゃったわ笑」
彼は笑顔であったが、私は動揺した。まさかのお兄さんが強制終了をくらうと言う事は考えてなかったからだ。それは私の勝手な想いでもある同期卒業の夢がここで終了したことを意味した。
そして私の番。前の人、しかも知ってる人が不合格になるのを見てしまうと緊張感は増すし、精神的ダメージもでかい。だけど俺もここで終わるわけにはいかない。”お兄さんの分までやるっきゃねぇ“と、別に敵討ちでもないのにそう言う気持ちへシフトをチェンジ。
ちょうど普通授業の終了時間になるのに合わせて5分ほどの小休憩が入った。
スポーツなどでも切羽詰まったタイミングでタイムが入ったりする。あれは相手の集中力を切らせる目的で取るタイムアウトもある。しかし、今回のこのタイムは逆に自分を落ち着かせる時間になると考えた。本来ならすぐにでも行って早く終わらせたかったけど。
遠くを見てリラックス。力を込めては抜いての脱力でリラックス。頭でコースのイメトレ。それらを繰り返して穏やかな気持ちでいざ卒検スタート!!
最初の直進速度40km。ここは600mも距離ねーけどいっただろ!
続いて坂道発進。一瞬クラッチの繋ぎヤバかったけど持ち直してクリア!!うらぁぁーー!!
障害物を避けるのも目視確認よし!次は踏み切りや!
と、踏み切りへ右折で入るのだが、対向車線に車がちょうど左折してきそう&その後直進あるだろうなと考えて、ここは先に行かせるべきかななどと考えていたら
「そっちじゃないよ」
…コース間違えた。。。曲がるべき場所を通り越していた。やっちまったぜ……。練習でも一回も間違えなかった指定コース。本番間違えてしまった。やはり緊張していたんだろう。
しかし、コース間違えは減点対象ではない。その後指示のもともう一度ここに来るのだが、そこまでの走りがチェックされるポイント。(ウィンカーや目視等)
指示されたコースを走り、もう一度ここに戻ってくる直前で少し背筋を伸ばした。
「(力入りすぎている。落ち着かなければ)」
練習の時から力んでる時にこうする事で視界が開けて肩の力も抜ける。『練習は本番のように。本番は練習のように』と、ここで自分を一回リセットして踏み切りへ再トライ。
そこから信号、一時停止場所などを進めて、来たぜ急制動!!
ここでも一回背筋を伸ばして一時停止。いざゆかん。ローからギア2でスピード上げて3速へ。スロット戻してブレーキ開始のパイロン通過!急停止!!白線超えてない&エンストなし!!
この間ほんの数秒の世界。
「速度足りてたか?」
「ブレーキ早くなかったか?」
「停止線位置は今のこの場で大丈夫か?」
止まった後は色々と脳裏をよぎる。後から追ってきた教官は何も言わず。たぶん大丈夫だったんだろう。よっしゃーー!続行じゃい!!
続いて二輪コース!!
まずは一本橋。強風横風なし!行ける!!体感9.5秒。クリアだろ!!そこから滑らかなスラローム、S字、クランク、全て練習通り!
最後にスタート地点へ戻り、エンジンを止めて終了。
教官から
「もっと速度出した方が良いですね。街中でダラダラ走ってると逆に危ないし」
と言う一言。
「(バカヤロウ!!一回コース間違えた俺は丁寧に一つ一つクリアしたいんじゃ!!)」
と思ったけどまぁ言ってることは間違いない。かなり慎重に進めてたのは事実だからだ。
この後結果待ち。
先程のワンポイントアドバイスじゃ合格点言ってるのかどうか分からん。
時間にしておそらく2時間くらいの待ち時間になる。本館の待合所に戻るとお兄さんがいた。強制終了させられても全員の合格発表の時間まで帰れないのだ。
私はお兄さんとずっと話していた。まだ自分の結果も分からないので偉そうなことは言えないが、お兄さんが指摘されたと言う部分に対してこうしてるとかああしてるとかを話した。自分自身の合否は分からないが、お兄さんの次に繋げて欲しいと言うことからとりあえずコースについて色々とディスカッションをした。案の定お兄さんは全然目視とかしてなかったんだな!と言うのが発覚。逆に俺はめちゃくちゃ見まくってるので「そんなにやるの!?」と驚かれたくらいだ。他にも色々と教習所の話しや車の話しなど、話してるうちに時間はあっという間に経った。
二輪卒業検定の合否発表は最初の教室でされる。アナウスが入り、我々も教室へ移動した。
まずは大型の人を担当してた教官が入ってきて合格を伝えた。
次に我々を担当してた教官が来たのだが、試験中に不合格を言い渡されたお兄さんともう一人の人が先に退出。分かってはいたが、お兄さんが教室を出ていく時俺は辛かった。
そこから約5分くらいだったろうか。戻ってこない。どうなってんだ?合否はどうなんだ?と焦る気持ちからもっと長い時間に感じた。
教室に戻ってきた教官。
「はい、ここにいる人は全員合格です」
俺は大きく深呼吸をした。そして心の中で
「(…終わった…。)」
そう思った。俺の教習所生活が無事に終わったのである。やってのけたのである。
その後、今後の説明を受けて3時間後には卒業証書が受け取れるとのことで、一回家に帰ることにした。教室を後にした時には既にお兄さんの姿は無く、最後の別れの挨拶ができんかったなと。だけど待ち時間中に次回に向けてのエールは送れてたはず。頑張れ!俺はやってのけたぜ。次はお兄さんの番だ!!
家に帰ってきて北欧TRALL PUNKを聴きながら掃除洗濯と家事をこなしながら時間を潰す。STREBERS,COCA CAROLA,CHARTA 77,前日ポッパンしか流さなかった私の心は彼らの漆黒感を求めていた。それと同時に「本当に終わったのか?」感があって実感がない。
15時に卒業証書を受け取りに再び教習所へ。
指定の教室にて待機。二輪、四輪合格者たちが集まってる。全体的に四輪の免許受けてる人は年齢層が若い。たぶん10代〜20代前半だろう。二輪は逆におじさんばかり。おじさん達頑張ったんだぜ。今日で卒業だ。
色々と書類と今後の説明を受けて30分程度で終了。改めて本当に終了なのだ。もうここに来ることはない。(はず)
こうして受付の窓をたたいてから約半年。実技講習始まってからは約3ヶ月の教習所生活がここに終了した。劣等生から始まった私の教習所生活、これから受けようと思ってる人にアドバイスをするなら“分からんことはどんどん聞け”“免許取るのに年齢は関係ない。やる気のみ”この2点だな。
それでは長きに渡る私の日々の記録。これにて終了とさせていただきます。免許更新後のエピローグも書こうと思ったけど、まぁ面白いことは無いだろうからここまで。
最後までありがとうございました。