それは結果論(結果が全てである)や因果論(AだからB)というものである。
特に因果論はほぼ日本国民全員が義務的に身についちゃっている考え方だろう。そう、義務教育や受験戦争を通じて身についちゃったものなんだ。
「1192(イイ国)作ろう!鎌倉幕府」なんて感じで暗記して、そのとおりにやればテストで○をもらえたよね。算数の九九とかもそうだ。5×5=25というように、「AならばB」というのが約束されており、それができることが評価される社会に数十年もどっぷり浸かってしまっている。
こういう繰り返し行われたことは、潜在意識に刷り込まれ、長期記憶として残り、それが強固な信念・エネルギーとなって根付いている。
この因果論的思考が深く深く根付いているなか、「鎌倉幕府は1192年に開かれたとは限らないよ!」と言ったら普通は混乱するだろう。
相場の世界はまさにそういうところなのだ。
あるチャートパターンを形成したので、ルールどおりに仕掛けても、それが今回は成功するか、失敗するかは事前にはわからない。だって自分がロングでエントリーした瞬間に世界中のどこかにいるヘッジファンドが逆張りで大量に売ってきたらレートは下がるわけだから。
つまりトレードの世界においては、社会に根付くこの「結果論」と「因果論」という二つの概念が通じないし、むしろ弊害にすらなりうることを強調したい。
例えば、「このチャートパターンなら70%の確率で上がる」というものについて、心の中では無意識のうち、因果論的考えが作用してしまっており、「このチャートパターンなら上がる(AならB)」というように考えてしまっている。これは無意識のレベルでだ。つまり30%の確率で下がるということは消し去られてしまっているのである。
結果論も同じである。「結果(利益)を出したものがえらい」という一般社会での常識もまたトレードにおいては弊害になりうる。「損失・ロスカット=結果(利益)を出せなかった」と無意識のうちに考え、それがトレードをさらに苦痛に満ちたゲームへと誘うのである。
俺がトレードの世界は自分たちの日常生活とは異色の世界というのはこういうことを意味する。まずはこの事実をしっかり認識し、相場に適したトレーダー的思考というものを新たに再構築しなければならない。この思考が身についていないとどんなに素晴らしい手法を使っていようとも、コンスタントに勝ち続けられるトレーダーにはなれないのである。
最後に今回のこの確率的思考の話をするにあたり参考になった本を紹介する。これを読めば、いかに相場の世界は不確定な要素が多く存在し、正確に予測できるものではないか、相場には絶対というものは存在しないということがすごくわかると思う。トレーダーとして読んでおいて損はないと思う。
確率論的思考 金融市場のプロが教える 最後に勝つための哲学
posted with amazlet at 11.03.08
田渕 直也
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