Bar門での誓いから何年の月日が流れた。あるときはZ会で、ある時は問題集だけで、そして最後には代ゼミに通った。泣きながら勉強した。
でも、あきらめることだけはしなかった。
30歳の時、合格した。![]()
同級生は一回り下。女性では一番年上。
入学して数か月してあきくんとの約束を思い出した。
電話をかけてみる・・・出ない。
仕事中だよね
また別の日に電話をかけてみる・・・出ない。
もしかして時間たちすぎてるから番号変わったのかな
高校の住所録から実家に電話した・・・出ない。
高校の住所録から友人に電話したらみんな連絡できないという。
ある日、どうしても連絡しなければならない衝動にかられた。
ご実家に電話を何度もかけた。何度も。何度も。
何十回目かのコールで、つながった。
はる『はじめまして。あきくんの高校の同級生です。あきくんの連絡先を教えていただけますか』
あきくんママ『教えることはできないわ』
はる『あきくんと約束して。どうしても伝えたいことがあるんです。でも電話番号変わってしまったみたいで。』
あきくんママ『教えられないの。』
はる『あきくんのおかげで医学部うかったんです。受かったら合格したら必ず連絡するって約束したんです』
あきくんママ『ごめんね。わたしもあきとできることなら話したい。あきは私たちがお話できない世界へいってしまったの。だから、連絡先をお教えることができないの・・・』
はる『・・・えっ』
あきくんママ『はるちゃんのこと、あきから聞いてたわ。女の子のことなんか話すことなんかなかったのに、高校生の時からあなたの話はしてたのよ。そう、医学部に入ったの。あきの分までいいお医者さんになってね』
はる『おかあさん、あきくんはなんで医者になろうとしたか聞いたことありますか?あきくん言ってたんです、お母さんの力になりたいって』
あきくんママ『ありがとう。そんなこと思っていたのね。実はね、あきのこともあって私たち夫婦は離婚することになったの。今日はね、このおうち最後の日だったの。だから荷物の片付けのためにここに来たの。今日でなければあなたからあきの気持ちを聞くことはできなかった。ありがとう』
私は胸がいっぱいになった。あきくんはもうこの世にいない。
でも、きっとあきくんはお母さんに伝えたくて、お母さんの心を温めたくて、今日私に奇跡を起こしてくれた。涙があふれた。とってもあったかい涙が。
その日の夜 夢にあきくんがでてきた
はっきりと
『やっと聞けたね
』
って微笑んでいた。
あれから一度も私の夢には出てこない。でも、ずっとそばで応援してくれているって思ってる。
私を医者にしてくれた、大切な人。
このとき心に決めたんだ
キスしたいときはキスしよう
会いたい人には会いに行こうって