僕は大学に向っていた
いつも自転車で通学しているのだが、大学までは15分程度の距離だ
真っ直ぐな道を進んでいると道の真ん中に立っている少女を見つけた
その少女は金色の長い髪に真紅の服というよりドレスの様な格好で、まるで人形のようだった
あまりにも美しい少女だったので思わず自転車を降り歩いて通り過ぎようとした

「綺羅勇士ですね?」
僕は驚いた、突然少女は僕の名前を呼んだからだ

「え?あの・・・どこかで会った事がありましたか?」

「今初めて会うわ」

「どうして僕の名前を?」

「あなたに会えと言われたから」

「誰に?」

「今は言えない」
少女は可愛い顔をしているのに喋りは上から目線だ、どこから見ても日本人には見えないが日本語は堪能だった
それに僕に会いに行けと言ったのは誰なのだろうか

「それで君はどこから来たの?」

「今はそんな事よりも私の話を聞いてもらうわ、今すぐあなたの家に連れて行って」

「え、いや今から大学に行かないと・・」

「そんな事よりも大事な話なのだから、連れて行きなさい」

「わ、わかりました・・・」
僕よりも年下で間違いないのだが、この威圧には逆らえない

「それじゃ、家に戻るけど、君の名前を教えてくれるかな?」

「私は、メアリー・ロースデン、メアリーと呼んで下さい」

「わかった」

僕は今来た道をメアリーと一緒に歩く、そんなに来ていなかったので家にすぐ着いた
玄関の扉を開け部屋にメアリーを通した

「メアリーそこの椅子に座ってて、今珈琲を入れるから」
メアリーはリビングの椅子に腰をかけじっと待っている
僕はキッチンに行き、インスタント珈琲を入れメアリーに渡した

「ありがとう」

「それで僕に話って言うのは何?」

「綺羅さんにお願いがあって来ました」

「ああ、ゆうしでいいよ」

「でわ勇士、私はある人に頼まれてここに来て勇士にお願いを伝えに来ました」

「お願い?」

「ええ、実は今この世界は破滅に向っています
 その破滅を止められるのは勇士あなたです」
僕は黙って聞いていた
メアリーは真面目な顔で話している

「この地球は魔族の手に渡ろうとしているのです」

「魔族?そんな、魔族なんて信じられないよ。それに魔族なんてこの世にいないだろ?」

「いえ、実際にいます。すでに世界各国では魔族の侵攻が始まり、人々が殺されています」

「もちろん、この日本も・・・もうすぐ侵攻が始まります・・・」
そんなわけが無い、魔族なんて空想の物のはず、僕はそう考えた

「そんな馬鹿な、ありえない魔族なんて・・・」
その言葉の後、沈黙が続いたが、メアリーが口を開く。

「人間が俗に言う魔族とは別の生き物です
 信じられないのも当然だと思います
 ですが、事実です」
少し経ってメアリーは更には話を続けた

「魔族は今まで、人目につかない所で潜んでいました
 魔族には近代兵器は通じませんし、もちろん銃や大砲、ミサイルでも無理でしょう
 空想の世界では魔法というのがありますが、空想ではありません。この地球にも魔法は存在します
 その魔法の力で、魔族たちは近代兵器を寄せ付けないです」
メアリーは魔族という存在、近代兵器が通用しない理由を話してくれた。

「その話しを信じろというの?」

「ええ、信じてください」

「な、な・・・なんで僕がその魔族と関係があるんだよ」
メアリーは少し沈黙の後に、しかたないと言った感じで話はじめた。

「・・・・・勇士あなたにはある血が流れています。今は言う事は出来ませんが、その血を受け継ぐのはあなただけです」
僕は何が何だか分からなくなっていた
メアリーは何を言っているのか、僕に何をしてほしいのか全く分からない

「僕は何をすればいい」

「勇士、あなたはその魔族と戦う義務があります」

「戦うって銃やミサイルも効かないんだろ?
 それに、僕は格闘センス無いし、ケンカも弱いんだ、無理に決まっている」

「大丈夫です。私がサポートしますので、安心してください。」

「いや・・安心してくださいって・・・・君みたいな女の子に言われても・・・」

「ふふ・・私のことは心配しなくて結構です。少なくとも勇士より強いですからね」

その言葉に僕は驚いたが、今は何が起きているのか考えるのが先だと思い、メアリーに一晩考えさせてくれと言った
メアリーはわかったと言い、珈琲を一口飲んだ

「ところで勇士、私は今日ここに泊まりますのでよろしくです」
僕はその言葉に固まった
今日は香代子との2回目のデートだ
この日までいろんな葛藤があったが、なんとか乗り越えた

いつも起きれない俺が朝6時に起きて支度するのだから我ながら感心する
支度をしていると、由美子さんが横から来てニヤニヤしている

「なんかあれだね、遠足に行く子供を見てるようだわ」

「あはは・・・おはよう由美子さん」
俺は由美子さんの言葉を聞いて苦笑いするしかなかった

「おはよう、いつも朝起きれないのにこんな時は早いわね~感心してしまう」

「ま、まぁ遅れるわけには行かないし、朝は車が混むからね」

「もう出るんでしょ?楽しんでおいで」
笑顔で言いながら由美子さんは仕事に行く支度を始めた
俺は小さなバッグと、今日はちょっと大きめのバッグを持って出た
約束の時間は9時だけど俺は絶対早めに出る
昔からそうしているのだが、約束の時間より早く到着するのを心がけている
相手を待たせるのは苦手で、自分が待つのが多い

結局今日も約束の時間より20分早く着いた
待っている間は車の中でのんびりするのだが香代子との待ち合わせのときはソワソワしてしまう
香代子が来る5分前になると、香代子からメールが来る

「今から行くよ~」
このメールが来るとソワソワからドキドキになる
この待っている時間が待ち遠しい
香代子が来たのを見つけると俺は車を下り、助手席のドアを開けて待っている

「おはよ♪」

「おまたせしました~」

「敬語なんて使わなくていいよ、はい乗って」

「ありがとう」
と言いながら香代子は車の助手席に乗り込む
香代子が乗ったのを確認して俺はドアを閉めるのだった
俺も運転席に乗り込みシートベルトをすると、横から香代子が顔をつつく、香代子に顔を向けるとキスしてって顔で合図を送っているので軽くキスをすると香代子は嬉しそうな顔をしていた

「会いたかったよ」

「私も会いたかった」
お互いに二週間ぶりという事もあって、気持ちを素直に言った

「おねがいします♪」
香代子からの出発の号令が出たので、車を走らせ前回と同じホテルへと向った
向う間の車の中で香代子は俺の顔をなでたり、頭をよしよししたり、ニコニコしながら嬉しそうに触ってくる
俺も嫌ではないので、そのままにしているし信号で停まるとお互い顔を見てはキスをする

「さ~て着いたよ~」

「どこにする?」
俺の言葉に対し、香代子は部屋をどこにするのか聞いてきた
前回の様に準備中の部屋に入らないように部屋番号が点灯しているところを探した

「どこがいいかな~、どこがどんな部屋なのかさっぱりやね」

「安い所にしようよ」
香代子は俺の財布を気にしてくれている

「安い所ねぇ、空いてるところならどこでもいいから入っちゃえ」
俺は適当に空いている駐車場に停めた
このホテルは停める所と部屋番号が対になっているので、駐車場に書いている番号が部屋番号になる
車を停めて俺は後ろの座席から大小両方のバッグを持って佳代子の手を取り部屋へと向った

「あーちゃん、なんか荷物多くない?」

「ん?まぁ・・あとで教えるよ」

「え~」
香代子は不満そうだが、俺は黙って部屋へと向う
部屋に入るとバッグを床に置き、香代子を抱きしめた

「やっと二人きりになれたね」

「うん、寂しかった?」

「そりゃそうだよ、香代子の顔が見たくて堪らなかった」
その言葉に香代子は嬉しそうにキスをしてくる
俺は香代子の腰に手を回し更に自分の方へ寄せて強く抱きしめた
長いキスをしたあとに俺はバッグに手をかけて香代子に言った

「ねぇ香代子、お願いがあるんだけど・・・」

「なに?」

「実は・・・これを着てほしいんだ」

「え~!それってメイド服じゃない、恥ずかしいよ」

「絶対に似合うから着て見せて」

「ん~いいよ・・・」
香代子は恥ずかしがりながら黒がメインで胸元が白いメイド服を着ていく
それと太ももまでの白いタイツをはいた

「うん、やっぱり似合ってる、可愛い」

「ねぇ、あーちゃんこれどうしたの?」

「買った」

「わざわざ?」

「そだよ?」

「香代子、写真撮らせて」
俺は携帯のカメラを香代子に向けた
香代子もまんざらじゃないようで、笑顔でカメラ目線を送ってくれている

「うん、いい・・可愛い」

「もう・・あーちゃんコスプレ好きなの?」

「好きだよというより香代子だから着せたいと思った」

「へんたーい」

「えー、その変態を好きなのは誰ですかね~?」

「・・・・わたし」
二人で笑った

「そもそも私、変態っぽいの好きだし」

「そうなん?」

「うん・・縛られ願望もあるかも・・そんな事言える人いなかったし、あーちゃんに初めて言ったと思う」
香代子は照れながら言った

「よし!じゃぁ今度は拘束具用意しとくよ」

「本当に!」

「うん、探しとく」
香代子のメイド服姿がかなり可愛いので俺は想像以上に欲情していた
「ジリリリリリ・・・・」
目覚まし時計の音がする。

「もう朝?今何時だよ・・」
僕は眠い目を擦りながら重い体を起こす

僕は綺羅勇士、19歳のごく平凡な日本人で大学生だ
親は海外で仕事をしているので僕だけ日本に残り一人暮らしをしている
まだ眠いなと思いつつベッドから起き上がり学校に行く準備を始めた

顔を洗い着替えを終え、歯を磨きリビングに向った
とりあえずテレビをつけて朝のニュースを見ていたのだが、画面の上に緊急速報の文字が出てきた
僕はその緊急情報のテロップを読んでビックリした

「おいおいマジかよ~、富士山に噴煙って・・・」
確かに富士山は休火山で噴火しないわけではないのだが、まさか本当に噴火するのだろうかと考えていた
まだ噴煙だけみたいだが、もし噴火などしたら日本はどうなるのだろうか
そうこうしている内に時計は家を出る時刻を指していた

「やべ!行かなきゃ」
慌てて玄関に向かう朝食を食べる暇も無かったので途中のコンビニで何か買うことにした
僕は自転車にまたがり、最寄の駅までこぎ出したが頭の中ではいろんな事を考えていた
(噴火したらどうなるんだろう・・・)



富士山が噴煙を上げたのと同じ頃、
太陽が出ているにも関わらず暗い森を一人の男が歩いている。
手には一本のロープと脚立を持っており、顔はひどくやつれている感じだ。
ここは、富士山北西麓に広がる青木ヶ原樹海、富士山の溶岩流上に形成された樹林として特異な様相を呈しており、自殺の名所でもある
男は樹海に入り最初は遊歩道を歩いていたが今は遊歩道から外れて
樹海の深い所に足を踏み入れていたのである。
5月にも関わらず樹海は肌寒く3時間以上歩いているが汗ひとつかかない、それどころか寒さで震えるほどだ。

樹海では方位磁石が使えないと言われているが風説であり、方位磁針に1・2度程度の若干の狂いは生じるが、俗に言われているように「方位が分からなくなる」ほど大きく狂うものではない
男はそれを知っているのか方位磁石を頼りに進んでいる

足元には枯葉が積もり足が少し埋まる程だ、ここまで来る間に何人か自殺したであろう痕跡を見てきた
だがそれを見向きもせず奥へ進んできたが、ふと男は足を止めた
少し木々が開けた場所だ、男は座り込み胸のポケットから煙草を取り出し火をつけた

「もうこれで思い残すことはないな・・・」
手に持っているロープを見つめ何か考えているようだが、男は顔を上げ回りの木々を見渡す
ロープをかける手ごろな木を探しているのだ

「あれにするか」
と一言呟いたあとに男は煙草を消し立ち上がり、男は一本の大きな木の前まで行き脚立を置いた
少し太めの枝に引っ掛けようとロープを投げて見るがなかなか上手くいかない
2回、3回・・・すると男の後ろで音がした様な気がした
男は振り返ったが誰もいない、男は不審に思いつつもまたロープを枝にかけようと投げるが枝に引っかからないのだ
必死に男はロープを投げて10回以上投げただろうか、ようやく枝に引っかかり反対側にロープが落ちてきた
そのロープを拾いに行こうとした瞬間、後ろから土を掘るような音がはっきり聞こえた
男は音がした方向に振り返り驚愕した

枯葉の詰まった腐葉土が盛り上がり、そこから白骨化した手が出ている
しかもその手は動いているのだ
男はあまりの驚きに身動きが取れない、ただその白骨化した手を見ているのみであった

その内に手だけでなく頭も出てきたのだ。
そして、全身が土の中から這い出してきた。
その動く白骨はまっすぐ男に向かってくる、カタカタ骨を鳴らし、ゆらゆら揺れながら・・・
男は恐怖のあまり動けない。
自殺をしに来た男であったが、違う意味での恐怖に襲われていたのである
恐怖のあまり体が動かない、硬直しているのだ
白骨は男の傍まで来ると手を伸ばし男の首を締め上げた

男は違う恐怖を抱きつつも、首を絞められて意識を無くしていった
(これで死ねる)と意識が無くなる寸前に思った

「ゴキ!」
首の骨が折れた音だった
白骨は手を離し、男は地面に崩れ落ちた
すると何処からか複数の白骨が現れ歩き始めた
「はぁはぁ・・・」
僕は、かなり息遣いが荒くなってきた。
目の前には大きなそして、見たことも無い生き物が横たわっていた
「この・・・でかいの・・・なかなか倒れてくれないから・・・・」

「大丈夫?」
メアリーが心配そうな顔をして駆け寄ってきた

「ああ・・大丈夫・・。大丈夫だがこの息切れどうにかならないか?」

「まって・・」
そう言いながらメアリーは何かボソボソと言い出した。

「我に従いし大気の精霊よ、求めに応じ答えよ・・」
メアリーの手が光だし、僕の体に手が触れた。

「はぁはぁ・・・」

「はぁ・・」

「・・・・・・・・・・」

「ふぅ」

「楽になったよ」
息苦しい感じが消えて、急に楽になった。

「助かったよメアリー、やっぱ便利がいいなそれ」

「あなたが使い方を覚えようとしないからでしょ?」
とメアリーは子供の様な笑顔で答えた。

「まぁそのうちな」
と僕は苦笑いを浮かべた。

「さぁて、行こうか先を急がなきゃ」

二人はその大きな生き物が倒れた横を通り過ぎ先を進むことにした。
横目で、犬でも狼でもない紫色の毛に、頭からは二本の黒い角が生えた生き物を見ながら
(よく倒せたな・・・)と心の中で思った

視界には、ごつごつとした岩場の広がる大地しか見えない、この場所を越えれば僕たちの目的地にたどり着く

もうこの世界は普通の地球ではない
近代兵器や機械類は使い物にならない世界に変貌してしまい、世界の人口は3分の1にまで減ってしまった
その中で僕らは生きている、そして僕は、この先のあるという村に急いで向かう途中だったのだ

なぜ、こんな世界になってしまったのか・・・・
それは3年前の朝、富士山が噴煙を上げたときから始まる
この物語はフィクションであり、登場人物、団体名等は全て架空のものです

一部、グロテスクな表現が含まれる場合がありますので、ご注意願います

--- 主要人物 ---
キラ ユウシ
綺羅 勇士       ・・・この物語の主人公、19歳のフリーター

メアリー・ロースデン  ・・・勇士に突然声を掛けてきた金髪の少女

--- まえがき ---

もちろん、まだストーリだけですので、物語自体は今から膨らんでいきます

おそらく壮大な物語になると思いますが、小説書く経験も少ないので、文章や構成は期待しないで下さい

読みにくい部分もあるかと思いますが、出来る限りわかりやすく書いていこうと思います


それでは、ゆっくりまったり読んでください

あ・・そうそう、更新は不定期ですので、本当にゆっくり読んでくださいね