【185】からのつづき
3月某日、「キュン♥パス」を携えて、おじさん1人東京駅から「はやぶさ」に乗車。
この日はまだ「こまち」との併結運転再開には至っておらず、大宮を出るとデッキは人で溢れている。
2人席の窓側(E席)に座ると、隣にはスーツ姿の女性が着座し、仙台到着まで一心不乱にスマホを操作している。
仙台からはその席に男性サラリーマンが乗ってきて、今度はパソコンのキーをパチパチと打ち続け、盛岡に着くと在来線ホームから発車する「こまち」に乗り換えるのか、慌ただしく下車していった。
皆さん、さぞかしお忙しいんでしょうなぁ、と思いながら雪を被った遠くの山々をボンヤリ眺めていると、東京から3時間11分でミニチュアのねぶたが客を迎える新青森に到着。
青森駅に移動して海鮮丼でも食べるべぇ、と思いながら在来線ホームに降りると、次の青森行きは2両編成と案内されており、狭いホームには列車の停まらない位置にまで客が溢れている。
新幹線からの乗り換え客に加えて地元民らしい若者たちも数多く、2両編成で受け止めきれるか不安になる。
発車時間が近づくと乗車トラブルに備えてか警察官も現れて、観光気分もどこへやら。
隣の青森駅まではひと駅6分なので大した移動ではないものの、宿泊用のカバンを背負い、手には東京駅で買い求めた従兄弟への土産の紙袋を提げている。
菓子折の袋もろとも満員電車で揉みくちゃにされるのはごめん蒙りたいが、それ以前に乗車できるかの方が気にかかる。
そこで一計を案じ、同じ時間に発車する反対方向の弘前行きに乗って、隣のこちらで下車する。
新青森からひと駅わずか2分、先ほどの賑わいが嘘のような無人駅、津軽新城。



降りたことのない駅への途中下車を兼ねつつ、津軽新城始発の列車で折り返して青森まで移動しようと瞬時に予定を変更できたのは、フリーパスタイプのチケットを持っているからこそ。
わずか17分のインターバルで効率良く途中下車を楽しんでから、誰も乗っていない2両編成青森行きのシートに座る。
発車すると2分で新青森に着き、先ほど乗った「はやぶさ」の後続列車から乗り換えてきた客で車内はギッシリ。
私の前に立った学生らしい若い男女2人連れは、訛りのないイントネーションで東京のマイナーな地名を口にした後、このあと楽しむらしい青森旅行のプランを確認しあっている。
「キュン♥パス」利用と思しき2人のやり取りを耳にして、やはりパスのメインユーザーはこの層なんだろなぁ、と考えていると列車は青森駅に到着。