【161】からのつづき
謎の焼き鳥屋さんに入ると、正面のカウンターに常連らしき3人の先客がおり、左手では食事を終えた親子連れが身支度を整えている。
女将さんらしき女性に案内されたのは、鉄道模型の走る様子を眺めながら飲食を楽しむことができるよう半円形テーブルに4つの椅子が用意されたジオラマビューシート。
外観に負けぬ鉄分多めの店内で、初入店の身には何となく落ち着かないが、とりあえず秩父名物のしゃくし菜漬けをつまみながらビールをやって焼き鳥を待つ。

しゃくし菜漬けは、長野の野沢菜漬けより塩分薄めで繊維も柔らかく、乳酸発酵特有の酸味も効いてスイスイいける。
ジオラマ奥の壁上部に設置されたモニターでは、三岐鉄道北勢線の車内録音DVDが流されており、吊り掛けモーターのサウンドを聴きながらビールとしゃくし菜漬けを楽しんでいると、おまかせの焼き鳥5本が到着。

右の3本は塩焼きの皮、鳥レバー、ねぎまで、程よい塩加減で焼き上げられた串焼きはビールを誘い、ねぎからは柔らかく甘い汁が出てきてうまい。
左の2本は、くるみ味噌だれで焼かれた正肉で今日1番のヒット。
先ほど長瀞でうどんを食べたばかりでなかったら、これを5本ばかり追加して日本酒にスイッチしたに違いない。
今回のところは、生ビール1杯に串焼き5本、しゃくし菜漬で十分に満足してお会計(1650円なり)。
次に秩父を訪れたなら、くるみ味噌だれの串焼きを目当てにこの店を再訪しようと心に決めて、ほろ酔い加減で西武秩父駅に向け歩いた。
(おわり)