過日、下町で一杯。
平日休みの夕方に目指したのは、月島の魚仁(うおじん)さん。
これまで呑み仲間と数回来たほか、独りでも何度か訪れており、豊洲に住んでいた頃は店頭で販売している刺身を目当てに自転車をこいだ。
私が豊洲を離れた6年前には、たいそう有名な店になっており、日が暮れる頃には順番待ちの人が店外にひしめいていて、かつてのように気軽に入るのが難しくなった印象がある。
そんな訳で、平日に休みが取れたのをいいことに、早い時間に訪れて1人前の刺身盛り合わせと牛モツ煮込みで生ビールをグビり(食べかけの写真でスミマセン)。

生ビールが空き、佐賀県は矢野酒造の「竹の園ナチュラリィ」という日本酒にスイッチ。
煮込みは甘めだが、旨みがしっかりあるベタつきや苦みのない甘さで、同じ月島で「東京5大煮込み」のひとつにも数えられる岸田屋のものとは対極の味。かつて両親とともにこちらで一杯やった時に、母がこの煮込みをいたく気に入っていたことを思い出す。
できることなら、同じく月島は「味泉」さんの煮穴子も食べさせてやりたかったと思いながら刺身と煮込みをつついていると、竹の園が空いたので青森県の玉垂(たまだれ)をお代わりに選んで、アラ大根を追加。
こちらのお店は、一杯300円から日本酒が楽しむことができ、600円出せば竹の園や玉垂など東京の居酒屋では滅多に出会うことのない酒を味わうことができる。松本は善哉酒造の「女鳥羽の泉」を置いているのも珍しい。
しっかり味の入った大根をつつくと、腹と心が温まる。

そうこうしているうちに、客が増えてきたので、玉垂を飲み干してお会計。
店を出ると月島の空に満月が昇りはじめていた。

(つづく)