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次に向かったのは、先ほど2種類の日本酒をいただいた「萬(ばん)」さんから程近いこちら。

二つある入り口の左側は八王子の芸者文化を今に伝える料亭「 すゞ香」さん、右は今年都内10蔵目の日本酒醸造場としてオープンした「東京八王子酒造」さんで、どちらも飲み歩きの対象店舗になっている。
普段は敷居の高い料亭で気軽に1杯やることができるとあって、左の入り口には長蛇の列ができている(上の写真は別日に撮影)。
時間に余裕があれば両方楽しみたいが、今日は夕方までに松本に到着する必要があるので、料亭は次回の楽しみにとっておくことにして、右側の入り口にいた女性スタッフの方に酒蔵のことについて質問すると、「少々お待ち下さい」と返事をされ、オーナーさんを紹介して下さる。
こちらは、少量の酒を市街地で通年醸す日本酒版マイクロブリュワリーだが、当初は多摩川に支流の秋川が合流する八王子市郊外の高月町で一定の規模を持つ醸造場を稼働させる計画だったそうで、コロナ禍による日本酒消費の低迷などを勘案して市街地での少量の酒造りからスタートさせたとのこと。
八王子産米で醸す純米吟醸無濾過生原酒を、タンクごとに仕込みを変えながら試行錯誤を繰り返している途上とのことで、現在提供されているのは「prototype ver3」。
世に出した3番目のプロトタイプは、荒々しさの中に米のうまみと適度な苦みが感じられて、今後の酒づくりに期待を抱かせる。
試行錯誤の中で、世に出なかったタンクもあったとのことで、マイクロブリュワリーならではの柔軟さを武器に、今後も続けられるチャレンジの中から八王子名物となる銘柄が生まれることを祈りたい。
ちなみに東京八王子酒造さんは、「上諏訪5蔵」の一角を占める「舞姫酒造」と同じオーナーさんの経営で、 高尾山をはじめとする市内でも広く提供され評価の上がりつつある「高尾の天狗」は舞姫酒造さんの作。 桑都テラスの近くにも「蔵人 舞姫」という飲食店があり、prototypeを生サーバーで提供している。
その後、スナックと居酒屋で日本酒を1種類ずつ楽しんでから、予定より1時間遅い特急「あずさ」に乗り込み松本に向かった。
(つづく)