(前ページからのつづき)
軽井沢駅のしなの鉄道乗り場に降りると、島式ホームの片側には前ページにアップした赤と灰色を基調とした「しなの鉄道色」と呼ばれるカラーをまとった115系、もう一方には長野県佐久地方の澄んだ星空をイメージしたブルーをベースに、さまざまなイラストラッピングを施した「晴星(はれぼし)」の115系が停まっており、どちらも昭和50年代製造のベテラン車両。

次の上田方面長野行きは「晴星」の3両編成で、同じようにはくたか555号から乗り継いできた客とともに乗り込むと、座席を3割ほど埋めて発車。
次の中軽井沢で半分以上が降り、信濃追分と御代田で残りの客のほとんどが下車して、最後尾のクモハ115-1012には私を含め3人しか乗っていない。
同じように進行右側に座る他の2人とともに浅間山を眺めながら115系の乗り心地を味わっていると、どこかにビューーンが軽井沢を選んでくれたことに感謝したくなる。
外装は大きく変わっているが、車内はほぼ原形を保っており、MT54モーターの唸りを聞きながら直角座席に身を任せていると、乗り鉄に熱を上げていた青春時代に心が戻る。

発車時刻になると、各ボックスに1~2人ほどが座る程度の乗り具合で引き続き旧信越本線の勾配を下っていく。
ちなみに、新幹線開業による並行在来線維持のために設立されたしなの鉄道は、長野~妙高高原間と篠ノ井~軽井沢間をJR東日本から引き継ぎ、軽井沢方面はほとんどの列車が長野を起点に長野~篠ノ井間のJR信越線をまたいで戸倉、上田、小諸、軽井沢行きとして運転されているが、新幹線開業前の信越本線時代を踏襲して、軽井沢から長野方面に向かうのが「下り」となっている。
小諸から20分で上田に到着。このまま115系に長野まで乗るのもいいかなぁ、とも考えたが、上田からは結構な乗車があって満席になっているし、長野が近づくにつれて混雑してくるだろうから、予定どおり酒蔵を目指すことにして上田駅の改札を抜けた。
(つづく)