榑木川 | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

(前ページからのつづき)


タイトルの榑木川(くれき川)は、長野県の松本平を流れる梓川の昔の流れを表す呼び名だそうだ。


かつての主要建材であるヒノキなどを定められた規格に整えた木材を指す「榑木」を流して運んだ川であることから付けられたという「榑木川」の三文字を、湯田中温泉から戻った長野駅の長い地下通路を抜けた東口で見つけた。

松本駅ビルMIDORIの1階には榑木野(くれきの)なる店があり、東京に戻る際に特急「あずさ」の発車までの時間を信州の酒と肴、〆のそばを気軽に楽しむことができるお店として重宝してきた。

野と川の違いを探るつもりはなかったが、朝5時にコンビニの小振りなおにぎりを食べてから遠藤酒造さんでの試飲の後に豚汁を啜っただけだったので、午後3時の半端な時間にそばを手繰ることにした。

コの字カウンターのみの店内は時間の割に混んでおり、駅そばのメイン客であるサラリーマンらしき人は時間帯のせいか私の前にコロッケそばの食券を購入していたスーツ姿のひとりだけで、インバウンドの白人グループや若い女性のひとり客、学校帰りらしき男子2人組など客層広め。

そこそこ腹が減っているが、このあと馬刺しで一杯やろうと企んでいるので軽めにと選んだ山菜そばの食券をカウンターに置くと、店員さんは白い冷凍ケースからそばのブロックを取り出して湯がきはじめる。

椅子はあるもののカウンターのみの立ち食いそばスタイルで価格も駅そば並みだったのから生麺ではないだろうと想像していたが、冷凍そばは想定外。

あらかじめ工場で茹でて伸びきったものを店舗でゆがく従来の立ち食いそば用麺に比べると、衛生面でも扱いやすくて食材ロスを抑えることもできることから冷凍麺を使う立ち食いそば屋が増えている。

技術が向上して、コシだけでなく風味や食感も制御し閉じ込めることができるようになった冷凍麺は、うどんで先行し、きしめんや稲庭、パスタを含め小麦粉主体のものが外食向けから家庭用まで定着した印象があるが、そばにもその波が押し寄せており、従来の立ち食いそば屋の主流だったプレボイルぶよぶよ麺に比べると、こちらが勝る。

ちなみに、今朝10時に長野駅に到着した折、昨年12月にいとこに教えてもらい一緒にそばを手繰った善光寺口至近の「小木曽製粉所」で小腹を満たそうと立ち寄ったら11時の開店で、結局何も食わずに酒蔵目指して長電に乗り込んだ。

小木曽製粉所は、ざるそば大盛り590円と立ち食いそば価格ながら、自社製粉の打ちたて麺を茹でたてで提供してくれる。前回は、長野までの車内で飲酒した後に、そば焼酎のそば湯割りをやりながら手繰ったので、今回は飲酒前にそばの実力をシラフの舌で楽しもうと考えていたが、すでに試飲がスタートしている酒蔵を差し置いて、そばのために1時間待つのは難しかった。

善光寺口には10時にもかかわらず小木曽製粉所より駅に近い場所で店を開けているそば屋さんもあって、「信州十割」の看板に一瞬入店しかけたが、やはりそのまま酒蔵を目指すことにしたのだった。
ちなみに前回の小木曽製粉所訪問時のお話はこちら。 

榑木川長野駅東口店で麺を解凍する店員さんに、松本の榑木野との関係を尋ねると、経営は同じで松本市島立の本店と松本駅MIDORI店が榑木野、それ以外が榑木川で長野駅以外にも数店があるとのこと。

後から調べると、信濃大町、茅野の駅構内のほか、松本駅には榑木野とは別に1番線ホームに榑木川があるようだ。

出てきた山菜そばの丼を手にして箸を付けると、それなりの量の日本酒を試飲した後だったせいか、汁と山菜が腑にしみた。

(つづく)