渋谷で一杯 | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

過日、渋谷で一杯。


若かりし頃にはしばしば一杯傾けた場所でありながら、最近すっかりご無沙汰となっている夜の渋谷に出向いたのは、知り合いのDJイベントに呼んでいただいたから。


路上の若者たちの盛り上がりに気後れしながら渋谷の街を歩くと、自分はつくづくオノボリおじさんだと感じる。


20代前半は毎日のように神南某所に通っていたが、渋谷の雑踏が苦手で代々木八幡からの徒歩連絡を通勤経路にしていた。


その頃は仕事終わりに誘われて渋谷の街で呑む機会も多く、心に残るいい店もいくつか教えてもらったが、40代になって渋谷で呑んだ回数は両手で足りる程度だろうか。


その頃と街の熱気は変わらないが、店や街並みは、そこここに変化をみせており、オノボリ全開でキョロキョロしながら渋谷パルコに到着。


インフォメーションで多少の八王子訛りを混ぜながら会場のクアトロラボの場所を尋ね、案内通りに地下に降りると、焼き肉店や韓国料理、立ち飲み屋さんからドラァグ・クイーン系の方がいらっしゃるお店まで渾然一体そのものの空間となっており面食らう。


そんな地下の一隅に落ち着いた雰囲気のクアトロラボを発見。

お声がけ下さったJさんは定期的にこちらでDJイベントを開催されており、以前お誘いいただいた時には参加することができなかっただけに遅ればせながら来ることができて嬉しい。

前夜は祝前日ということもあってか立ち見が出るほどの賑わいだったそうだが、今日は落ち着いた雰囲気で私にはありがたい。

すでにJさんのプレイは始まっており、カウンターに佇む青年が目を閉じてじっくり音を愉しんでいる。

あいさつもそこそこに、まずはギネスとホットドックで空腹をなだめたのち、ラフロイグのロックでまったりしながらJさんの創る音の世界に浸る。
そのうちJさんのラジオ番組のリスナーさんらがお越しになり音楽話に花が咲く。

と言っても私は音楽に疎いので話に耳を傾けるばかりだが、知らない話と音楽を聴きながら呑む酒はうまい。


そもそもJさんとの出会いも音楽ではなく日本酒。豊洲の日本酒居酒屋でお話させていただいたのがきっかけだが、普段ならお会いできないような方との縁を日本酒が紡いでくれた。


そんなことを想いながら芋焼酎のお湯割りを呑んでいると、やはり日本酒をやりたくなってくる。


残念ながらクアトロラボには日本酒メニューはないので、トイレがてら先ほど目星をつけた未来日本酒店&SAKE BARのカウンターに立ち寄る。


こちらのお店は、呑むだけでなく気に入った酒を購入できるテイスティング酒場で、先客のインバウンド2人連れに流暢な英語で日本酒の説明をしていた女性スタッフの方にお任せで2種類をお願いすると、こちらの銘柄がサーブされる。

向かって右は「今代司(いまよつかさ)」で新潟らしい淡麗。

ひと息ついてから左の熟成酒を口に含むと、今年1番の衝撃。

三重は河武酒造さんの「鉾杉 KH改」の熟成酒で、多彩な旨味が入れ替わりで現れ、薄めの熟成香にドライフルーツに似た嫌みのないフレーバーも添っていて、最初は頭が混乱する。

先ほどの女性スタッフさん(後から運営会社のサイトで調べると店長さんのようでした)のご説明によると、河武酒造さんはリンゴ酸やコハク酸をはじめとする有機酸を多く含む「多酸」を狙った銘柄を世に出しており、この酒も店長さん自ら蔵元さんを訪れ直接取り寄せたそうだ。


月末に群馬県渋川市の「地酒屋ぽん」で、某酒蔵の社長さんを招いて「持ち寄り酒」を楽しむ会が予定されており、何を持っていこうかと数種の銘柄を念頭に置いていたが、この瞬間に第一候補が入れ替わる。


店長さんに尋ねると購入可能とのことだが、残念ながら500ミリボトルのみで持ち寄り酒の会の基準となる720ミリを満たさない。


それでも、この酒の感動を誰かと分かち合いたいなぁと思い、すぐにその相手が浮かんだ。


そう、この酒との出会いのきっかけをくれたJさん。酒が結んでくれたJさんとの縁への感謝も添えてプレイの合間にお渡しする。


後日、Jさんからキャンプのお伴にKH改を愉しんで下さったとのご報告を受け、私の中で渋谷のイベントがゆっくりと幕を閉じた。