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鹿島神宮駅のホームに上がると、鹿島臨海鉄道の水戸行きディーゼルカーが1両で発車を待っている。

ロングシートの車内は2割ほどの着席率だったが、 向かいのホームに佐原からのJR鹿島線の列車が着くと乗り換え客で座席が半分ほど埋まった。
ドアが閉まり、鹿島神宮の杜を右手に見ながら左カーブで鹿島灘と北浦の間に細長く続く高台に入っていく。
緑に囲まれたカーブが終わって直線になり、右手に鹿島サッカースタジアムが見えると、ホームと貨物列車用の留置線などが広がる平地に出るが、乗っていた列車は通過。
ここは、鹿島サッカースタジアムという駅だが、サッカーの試合開催日以外は営業されず旅客列車は通過する。
ちなみに鹿島神宮~鹿島サッカースタジアム間はJR鹿島線なので、北へ向かう鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の旅は鹿島サッカースタジアム駅を通過したところでスタートすることになるが、同駅からは南の工業地帯に向けて鹿島臨海鉄道鹿島臨港線が延びていて、原材料や工業製品などの貨物輸送を行っている。
鹿島サッカースタジアムを通過すると、鹿島灘に沿って北上し新鉾田を目指しているはずだが、植生豊かな高台を走っているせいか海は見えない。
荒野台を過ぎると、次は長者ヶ浜潮騒はまなす公園前に停車。この駅はかつて日本一長い駅名として知られたが、すでに首位から陥落して久しく、駅名標に書かれた「日本で一番長い駅名」の前には「東」の文字が添えられている。
ちなみに現在、日本一長い駅名は富山県にあるが、富山県は西日本でしたかね。
雨の中、鹿島大野、鹿島灘と停まるたびに数人ずつの乗降を繰り返して、大洋を出ると左にカーブを切りながら北浦に近づき北浦湖畔に停車。ここから高架となって、大洗と並び大洗鹿島線の途中エリアでまとまった人口のある鉾田の街に入っていく。
鉾田にはかつて、常磐線の石岡から鹿島鉄道というローカル線が伸びており、霞ヶ浦を眺めながら1両の古びたディーゼルカーがのんびり走る光景が好きで何度か訪れたが、2007年に廃止され、鉾田を走る鉄道は鹿島臨海鉄道だけになった。
鹿島臨海鉄道の駅は、鉾田の中心から少し離れた新鉾田だが、朝晩には始発列車も設定され、乗っていた列車からも半数の客が降りてその倍の乗車があるなど、重要な途中駅であることがわかる。
満席になり、立ち客も出る乗り具合で新鉾田を発車した列車は高架を進み、涸沼を左手に見ると約20分で今日の目的地である大洗に到着した。
(つづく)