近年、日本社会ではストレスを背景としたさまざまな問題が深刻化しています。不登校、児童虐待、家庭内暴力(DV)、うつ病、摂食障害、自殺といった課題は、個人の心身の健康にとどまらず、家庭や地域社会にも大きな影響を及ぼしています。以下に、いくつかの代表的な統計データを紹介し、ストレスケアの必要性を明らかにします。


不登校の急増

文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等調査」によると、

  • 小・中学生の不登校児童生徒数は約30万人(299,048人)と、過去最多を更新。
  • 特に中学生では20人に1人が不登校という深刻な状況。

不登校の主な要因として、「無気力」「不安」「人間関係の問題」「家庭の不和」などがあげられ、心理的ストレスの蓄積が背景にあると指摘されています。


児童虐待の増加

厚生労働省「令和4年度 児童相談所での児童虐待対応件数」は、

  • 全国の児童相談所での対応件数が219,170件と、過去最多。
  • 特に心理的虐待の割合が全体の約7割を占めており、家庭内でのストレスの転化が見られます。

家庭内暴力(DV)の件数

警察庁によると、

  • DV相談件数は令和4年度に84,496件
  • 家庭内の閉鎖的な環境によるストレスの高まりが影響したと考えられています。

うつ病・こころの不調の広がり

厚生労働省の「患者調査(2020年)」によれば、

  • 気分(感情)障害(うつ病など)の患者数は127万人以上と推計され、増加傾向。
  • 職場、家庭、学校など多様な場での慢性的なストレスが背景に。

自殺者数の再増加

警察庁の統計によれば、

  • 令和4年の自殺者数は21,584人で、2年連続の増加
  • 特に10代・20代女性の自殺が増加しており、「誰にも話せないストレス」の影響が疑われます。

摂食障害の拡大

国立精神・神経医療研究センターによると、

  • 摂食障害(神経性やせ症、過食症など)は若年女性に多く、ストレスによる自己評価の低下や自尊心の喪失が深く関与。
  • SNSなどによる「理想像の押しつけ」も背景にあり、社会的ストレスの構造化が進んでいるといわれます。

ストレスケアが急務である理由

上記のように、ストレスが直接的または間接的に関与する社会課題は年々深刻化しています。これらの問題の共通点は、目に見えにくい「こころの疲労」や「緊張状態」が、誰にも気づかれずに蓄積していることにあります。

だからこそ、今求められているのは、

  • 予防的なストレスケア教育の普及
  • 日常生活で実践できるセルフケアの習慣化
  • 心身両面にアプローチできる科学的に裏づけされたケア技術の普及です。

ストレスに気づき、向き合い、解消していく「しくみ」と「手段」を社会全体に広めていくことが、健全な未来への第一歩となります。