孤独になる

一般に孤独というとあまり良いイメージがありませんが、

それは、孤立と混同して使われているからです。

孤独を愛さない人間は、自分を愛さない人間にほかなりません。

なぜなら、孤独でいるときにのみ人間は自由でいられるからです。

そして、孤独は人間の成長に不可欠なものです。

他者の評価を恐れず、嫌われることや承認されないかもしれない

不安や心配を克服しなければ、自己決定を貫くことはできません。

 

「犀の角のようにただ独り歩め」とブッタは教えています。

サイの頭部に太い一本角のように、

独りで自らの歩みを進めなさいという意味です。

犀の角という比喩表現は「孤独」を意味します。

このようにブッタが孤独を勧める背景には、

私たちの悩みは人間関係から起こるとの分析があります。

つまり、悩みを生み出す原因が人のつながりにあるのなら、

そこから一時的に離れてみることが心の成長に必要ということです。

 

ブッタは悩みの原因となる対人関係から距離をとるという意味での

孤独を勧めると共に優れた友との交流を勧めます。

一見して矛盾するように思われますが、

そのねらいは真に独立した人格を形成するためには

どちらも必要ということです。

そして、ここでの「友」は対人関係における友人に限定されません。

例えば、学生であれば自身がひたむきに学ぶ学問が「友」になり、

社会人であれば自身が責任をもって勤しむ仕事が「友」になります。

つまり、自身を成熟へと導くものが総じて「友」と呼ばれるのです。
様々なつながりを自覚した上で、孤独と向き合う時間は貴重です。

なぜ孤独が必要なのか。それは自分が本当は何を求めているのかを知るためです。

そのとき、学びや仕事は孤独を支えてくれます。

そして、その歩みの中で、真の「友」と出会うことができるのです。