蟻のように集まって、東西に急ぎ、南北に奔走している。
お金のある人も、ない人も、老人も、若者もいる。
出かけていくところがあり、帰っていく家もある。
夜には寝て、朝になれば起きて働く。
来る日も来る日も労苦するのは何のためだろう。
老いたくない、儲けたいと少しも休息する時もない。
このように身を養って何を待つのだろうか。
待つのはただ老化して死を待つだけではなかろうか。
待つ間にどんな楽しみがありうるのか。
地位や名誉、利欲に振り回されて、いたずらに
死が近づくのを悲しんでいる。
人生をいつまでも続けたいと妄想して、変化の法則を知らない。
(徒然草より—1330年ごろの随筆)
負けず、くさらず、力を抜いていこう。