ストレスと適応障害
ストレスが許容範囲を超え、限界を突破したときに
起きる状態にはいくつかあるが、
そのうちもっとも身近で頻度の高いものが適応障害である。
適応障害は、環境に上手に馴染めないことによって生じる
ストレス反応で、うつや不安、意欲や自信消失、
体調面の不具合などが表れるが、怒り、イライラ、
嗜癖的行動にのめり込むなどの行動の問題になることも少なくない。
適応障害によって生じる様々な症状や行動問題は、
心が折れそうになっているメッセージでもある。
原因
原因としては、環境や生活スタイルの変化、
負担や責任などのプレッシャーの増大にともなって起き、
挫折や失敗、叱責、批判といった否定的体験、
孤立的状況などが誘因となる。
適応障害の段階では回復する力が残っていて、
不適応を起こしている環境から離れ、
ストレッサーが減少することで
早期に回復する。そういう意味では、
「こころの風邪」といえる。
うつをこころの風邪というが、本当のうつ病は、
風邪ではなく、肺炎ぐらい重症なもので、混同するのは危険である。
情報過多
スマホなど四六時中、情報を得ることができ、
街に出れば広告や騒音に囲まれる生活をしている。
これらの情報は、好むと好まざるに関わらず、
全てキャッチしていると、脳はオーバーワークしてしまうため、
知らないうちに脳機能を鈍感にすることでそれを防いでいる。
適応障害の3つの構造
- 外部要因
人間関係、環境に慣れない、孤立、無理な労働時間など
- 内部要因
考えすぎている、傷つきやすい、すぐにカッとなる、
仕事に興味が持てない、コミュニケーションが下手.
- 時間要因(蓄積していくストレス)
抑うつ、葛藤、不眠、頭痛、疲労、倦怠感、
食欲不振、便秘・下痢、腰痛などの関節痛
なりやすいタイプ
適応力が乏しい人ばかりがなるのではない。
人一倍前向きで、適応力にも優れている人
(タイプA)でも適応障害になる。
このタイプは、過酷な環境でも耐えられるという過信があり、
弱音を吐かず何とか乗り越えようとするので限界を超えてしまう。
1. 執着性質orタイプC
物事を進めるために感情を抑えて進めていく。
しかし、いったん秩序が崩れると立て直すのが難しい。
自己管理能力の欠如が目立つ。
2. タイプA
せっかち、怒りっぽい、競争心が強い、積極的、野心的、早口、
多動。職場のストレスメーカーになりやすく、心
臓病、循環器系などにもかかりやすい。
3. 循環気質
気分が変動しやすい。基本的には快活、
意欲的だが長続きしない。他者からの評価に大きな影響を受ける。
4. 回避性性格
傷つきことを恐れる。逃げることを容認して
よりストレッサーの少ない方向へと進んでいくが、
本人はそれを認めない。このタイプは総じて自己評価が低い。
適応は、健康や幸福になるためのものではない。
環境が変化しても、その個体を生き延びさせるようにしていく。
問題は、その適応が個体の限界を超えたときに起きる。
つまり、過剰な適応状態は無理なストレスとなり、
驚くほどのエネルギーを消耗させることになる。
適応は、よかれ悪しかれ、
人間の身体の成長のしかた、
機能のしかたを変えていく。