ストレスを一般的に受け入れられるように定義するのは

決して容易ではありません。

なぜなら、ストレスは人のそれぞれの思いによって、

いろいろと違った意味で用いられているからです。

例えば、医療は、生理学的、生化学的メカニズムから、

技術者は力学的な視点から、

物理学者は応力として、

心理学者は認知や行動の変化から、

そして、勤労者は労働環境や人間関係から、

一般の人々は不幸な体験、強制、禁止されることに使われています。

 

しかし、ストレスの概念を語るときに、

生体に加えられる刺激がストレッサーであり、

それに対して生じる一連の生体反応が

ストレスであるというように、

きちんとした区別があることは明記しなければなりません。

 

現在、私たちが日常的に使っている「ストレス」は、

生理学的に身体に課せられる要求のことであり、

ハンスセリエ(Hans Selye, 1907 – 1982)のストレス学説に基づいています。

ストレスは幸福、不幸、成功、失敗、悩みの有無などではなく、

良い、悪い、のいずれの意味も一切付加しません。

 

家庭や職場の環境状況が突きつけてくる要求と

それに対する私たちの対応能力の

バランスが崩れたストレス下にある場合、

自分に求められている要求がどのようなものであるか、

その要求を何らかの方法で変容させていくことが大切になります。

 

これまでストレスの発生メカニズムの解明や

ストレスが心身に及ぼす様々な影響に

関する多くの研究が行われ、

ストレスに対応するためのアイデアが

数多く提案されてきています。

 

それなのになぜ、

私たちはストレスに強くなれないのでしょうか。

おそらくそれは、ストレスをコントロールする効果的な技術、

あるいは、具体的な実践法に関する情報が極端に不足しているからです。

ストレスケアカウンセリングは、

一時的なストレス軽減や心理的リラックスという状態レベルの効果ではなく、

バイオデータに変化をもたらす生理学的リラクセーション状態が

心身や行動に望ましい変化を起こすことに注目しています。