精神科と心療内科は何が違うのか
心の病が発生した時に、私たちはどこの科を受診すればいいのか
。心の問題を抱えている人は「精神科と心療内科、
どちらを受診すればいいのか」と迷ってしまうことも多いのが現状。
実際、私たちのカウンセリングの現場でも、心療内科や精神科に関わっている、
あるいは、通院歴のある相談者に会うことがある。
精神科と心療内科の「本来の違い」
本来は、精神科と心療内科は異なる専門分野になるが、
実際には混在している。まずは本来の違いについて整理してみよう。
精神科は、おもに「精神」に不調を感じたときに受診するところ。
うつ病、双極性障害、不安障害(パニック障害)、強迫性障害、統合失調症、
摂食障害、発達障害、睡眠障害、適応障害、精神遅滞などで、
脳に作用する薬を扱っていくことで心の安定を図っていく。
精神科医は、このような薬の調整に慣れている。
心療内科は、おもに「からだ」に不調を感じたときに受診するところ。
生活習慣病のような内科の病気も、ストレスが悪化の原因として
大きく関係している場合もある。
このような心身が相関して生じる「心身症」の治療を行っている。
例えば、緊張型頭痛 、過敏性腸症候群、自律神経症状が中心の病気、
高血圧、糖尿病、喘息のように、身体症状が目立っていて
ストレスと関連が深い場合に、心療内科医が適切といえる。
精神科と心療内科の現状は、心療内科、精神科の診療科名は、
医師の裁量で決められる。そのため、患者が受診しやすい
心療内科の名前を掲げることが多いのが現状となっている。
精神科よりも心療内科のほうが柔らかい響きなので、
敷居が低く、患者にも受け入れやすい。それぞれの専門医の数を比較しても、
心療内科専門医(日本心身医学会・日本心療内科学会認定)は圧倒的に少ない
(現在250名ほど。精神科専門医・日本精神神経学会認定は1.1万人)、
ほとんど精神科医が心療内科を掲げているのが実情になる。
厳密に言えば、精神科で治療するべき症状、心療内科で治療するべき症状は、
分かれているものの、症状によっては両方の科で治療が行われているのが現状になる。
結局、「精神科」「心療内科」のどちらを受診するべきか、
担当になる医師次第といえる。薬が得意な医師(いい意味で)や
薬を極力出さない医師(実はこれが難しい)
ポイントを次にまとめてみる。こころに不調が出ている場合は「精神科」を受診する。
からだに不調が出ている場合は「心療内科」を受診する。
迷う場合は、どちらを受診しても標準的な治療は受けられるが、
一番大切なことは、担当になる医師の専門性や得意分野などを良く知ることが先決だ。
そして、なにより疲弊期や病気になる前にストレスケアを!