バランスセラピー学のカウンセリングは一般的なカウンセリングの

概念とは異なっており、「リラクセーションプログラム」を

進めるためのものである。

従来のカウンセリングのような二人一組での対話を通じてではなく、

ホメオストレッチによるリラクセーション状態を繰り返し作り出すことで、

相手の行動変容や環境への適応促進を

実現しようとすることが従来の方法と異なるところである。

 

リラクセーションプログラムを進めることを考えると、

釈迦の話が参考になる。

釈迦は極端なものを避け、変化を受け入れ、

執着をしないことを繰り返し説いていた。

 

特に「究極の理想に通じた人がこの平安の境地に達して、

なすべきことは次の通りです。能力があり、

正直で、言葉優しく、穏やかで、思い上がることのない

ものでなければならない。

足ることを知りわずかな食物で暮らし、

雑務少なく、生活も簡素であり、もろもろの感覚器が静まり、

聡明で、高ぶることなく、もろもろの人の上でむさぶることがない」

と言っているのは、今日における「カウンセリングの最高の目標」

ではないかと考えられる。

つまり、リラクセーションプログラムを軸とした

カウンセリングは、人間が幸せに生きるための

知恵のひとつであると考えることができる。

 

今日のカウンセリングが持っている技術を生活の中で

応用していくことは、相談者の生活の質を高めるうえにおいても有効である。

単に、カウンセリング理論を専門家のスキルとしてではなく、

相談者自身が行動変容するための知恵としても活用できることを

忘れてはならない。

 

カウンセリングには色々な要素が含まれている。

例えば、「コンサルテーション」と言われる、

相談に対する助言やアドバイスがカウンセリングには含まれている。

それから、「ソーシャルワーク」という働きもある。

それは、相談に対する社会福祉制度の活用に関する援助を

問題のある個人に提供していくことだが、

ここにもカウンセリングの技術は必要であり、

ソーシャルワーカーにもカウンセリングのひとつの働きがある。

「ガイダンス」とは自己成長を目的とした学習の動機付け、

より高次な目標到達への援助、自己成長や行動、

知的活動のための情報提供のことである。

カウンセリングというのはコンサルテーション、ソーシャルワーク、

ガイダンスなどの要素を含んだ働きかけだと考える必要がある。

 

一般的なカウンセリングの目標とは、

これまでに身についた「思考や行動のパターン」の積み重ねを

望ましいものに変えていく「行動変容」と、

様々な環境に適応していく力を身につけさせる「適応促進」である。

行動変容や社会適応性の促進という目標に向かって、

対話中心ではなく、リラクセーション状態を作り出して、

その潜在的働きを引き出し、発展させていくのがストレスケアカウンセリングである。