研究結果についてお知らせします。

ストレスケアは、セロトニンに関連する血中オキシトシンの

濃度を増加させ、免疫のIgAも高まる科学的エビデンスが得られました。

生化学的検証は、コルチゾール(血漿)、クロモグラニンA(唾液)、

NPO(尿)に加え、今回のオキシトシン、IgA(血漿)による

追加検証は、ストレスケア効果の実証性を大きく高めます。

ノルアドレナリンは、分泌の適正化という視点で心理質問票や

行動面への影響を引き続き、分析検証しています。

また、研究発表は日本ストレス学会を予定しています。

 

ホメオストッチは、ストレス反応の変化を捉える自律神経系、

内分泌系(ホルモン)、免疫系、筋系のすべてに対する

効果を実証することができました。

 

これまでの主な生理学的、生化学的バイオマーカー

 

PET(脳機能画像診断)

PETとは、positron emission tomography (陽電子放出断層撮影) の略で、放射能を含む薬剤を用いる、核医学検査の一種。放射性薬剤を体内に投与し、その分析を特殊なカメラでとらえて画像化する。CT検査などでは形の異常を診るのに対し、PET検査では、ブドウ糖代謝などの機能から異常をみる。かたちだけで判断がつかないときに、機能をみることで診断の精度を上げることができる。

 

脳血流

近赤外光の散乱光・反射光を用いて生体内のヘモグロビン濃度の計測を行い、非侵襲的 に血流量を推定する方法.脳血流量を計測する fMRI は空間分解能が高く、脳機能研究で広く用いられているが fMRI や PET は体位が固定され、自由な姿勢での計測が行なえない.近赤外分光法では体位の制限が少なく、非侵襲的に計測可能なため被験者を選ばない利点がある。

 

脳波

脳波は周波数によって、α波、β波、θ波、δ波に分類される。リラクセーション時にはα波が、ストレス時はβ波、γ波がよく現れる。
脳波は時々刻々と変化する脳の自発的電気的活動を頭皮上の電極から記録したもの。0.5~1 秒ほど一定の周波数の波が連続すると人間の目には脳波が律動的に見える。脳の活動状態により脳波の波形、振幅、周波数が変化していく。

 

心拍変動解析

加速度脈波を用いて疲労感の程度が増す程、副交感神経機能の低下とそれに伴う相対的 交感神経機能の亢進が示される。

 

瞳孔反射

縮瞳・対光反射あり ⇒ 両側大脳半球:代謝性脳症・薬物

縮瞳・対光反射あり ⇒ 間脳

散瞳・対光反射無し・瞳孔動揺 ⇒ 中脳視蓋前野

ほぼ正常の大きさ・対光反射無し ⇒ 中脳正中

片側の瞳孔散大・対光反射無し ⇒ 同側の動眼神経麻痺

pinpoint瞳孔・対光反射あるが観察困難 ⇒ 橋の交感神経の障害により縮瞳

瞳孔が極めて小さい(針の先ほど)場合は、橋の障害か、モルヒネ中毒、有機リン中毒が、両方とも散大している場合は、アトロピン(瞳を開く薬、副交感神経の作用を抑制し、胃腸管の運動抑制、心拍数の増大などの作用)などの中毒が考えられる。瞳孔が散大し、対光反射も消失している場合は、脳幹の機能が失われていることを示す。

 

抹消皮膚温、指尖脈波

抹消皮膚温・指尖脈波は、心臓、血管系のストレス反応。交感神経の興奮の低下が血管を拡張させ、その結果として血液量が増加するプロセスを計測する。シンプルだが強力なリラクセーション指標になる。

 

皮膚電気伝導

精神活動状態を示すパラメータとして、皮膚電気活動(Electro Dermal Activity)がある。EDAは一般に、エクリン汗腺の活動による電気現象が表皮や汗腺管等の状態によって修飾されて出現すると言われており、発汗現象と深い関わりがある。緊張、ストレス、不安などの心理的な動揺によって、自律神経の交感神経が活発になり手や足の末梢に発汗します。これを一般的に精神性発汗という。


姿勢動揺

重心動揺計による重心動揺測定はめまいや平衡機能障害を診断することを目的に行われる。直立姿勢時に現れる身体の揺れを重心の揺れとして捉え、平衡機能の維持に働く視覚、三半規管、脊髄固有反射系および、これらを制御する中枢神経系の機能の異常について検査をすることができる。

通常、直立姿勢では身体には微少な揺れが生じている。倒れそうになる身体(偏倚:へんい)を元に戻そうとする立ち直り反射があるため、偏倚と立ち直り反射を繰り返しながら姿勢を保持しています(姿勢制御システム)。しかし、加齢やストレス、疲労により姿勢制御システムの機能が低下すると、直立姿勢時の重心動揺に影響を及ぼす。

 

筋硬度

ヒトの骨格筋の「硬さ」あるいは「弾力性」と呼ばれる性質 (筋硬度)は,筋の疲労度やパワー発揮能力などと係が深いことが経験的にいわれている。筋緊張により筋硬度は高まるのを利用してストレスを計測する。

 

自律神経

アセチルコリンは、副交感神経の神経伝達物質として一般的に知られているが、その他にも運動神経や交感神経の神経伝達物質として利用されている。副交感神経の節前線維終端、及び、節後線維終端。(一般的に知られているところでは、交感神経に関する神経伝達物質はノルアドレナリンだが、交感神経の節前線維ではアセチルコリンが伝達物質として機能している。)

一部の交感神経(汗腺を支配する交感神経など)の節後線維。運動神経の骨格筋との接合部である神経筋接合部。(運動神経の興奮を筋肉に伝える部分では、アセチルコリンが伝達物質として機能している。)

 

MPO・尿中MPOは血管を傷つけるANCA関連血管炎のバイオマーカー

ANCA(antineutrophil cytoplasmic antibodies:抗好中球細胞質抗体)は細菌などから身を守る好中球を標的とする異常免疫物質で、全身に張り巡らされた細い血管を傷害し、ANCA 関連血管炎という自己免疫病を引き起こすと考えられている。具体的には発熱などの全身症状や腎臓、肺、脳や皮膚などあらゆる臓器の出血や梗塞(血管のつまり)を引き起こして、腎不全など多臓器不全の原因となる。

 

IgA

外敵の侵入を防ごうと働く粘膜免疫ですが、粘膜面で主体的に活躍している免疫物質、それがIgA抗体。抗体とは、侵入してきた病原体にくっついて、これを無力化するように働く免疫物質。タンパク質でできており、免疫グロブリンとも呼ばれている。

IgAは、特定のウイルスや細菌だけに反応するのではなく、さまざまな種類の病原体に反応する(くっつく)という、守備範囲の広さが特徴。IgAが低下すると病気にかかりやすくなる。母乳にはIgAが特に多く含まれており、赤ちゃんを感染から守っている。

分泌型IgAは粘膜表面で病原体や毒素に結合し、それらの機能を無効化することによって、私たちの身体を守っている免疫系物質。

生体内において最も産生量の多い抗体であるIgA抗体は分泌型IgA抗体としてインフルエンザ等の粘膜組織を標的とした感染症に対する生体防御の最前線を担っており、現在、世界中で分泌型IgA抗体の誘導を目指した経鼻投与型粘膜ワクチンの開発が進んでいる。

 

コルチゾール

副腎皮質から分泌されるホルモンで、糖代謝をはじめ、蛋白質代謝、脂質代謝に関連し、抗炎症、免疫抑制作用がある。ストレスに関与し、過度なストレスを受けると分泌量が増加し、抗ストレスホルモンとして恒常性の維持に不可欠な物質。コルチゾールの分泌過多は、ストレスから身を守ろうとして起きる現象。瞬間的な量の増加に問題はないが、長期的なストレスにさらされることで、脳の海馬を委縮させることが分かっている。さらにコルチゾールの分泌は、免疫系・中枢神経系・代謝系など、身体のさまざまな機能に影響を及ぼす。うつ病患者のコルチゾール値が高い。つまりコルチゾールは、ストレスと心身の健康状態を結びつける、大切なホルモンである。

 

クロモグラニンA変動指標

ホメオストレッチが新規スレス指標である唾液中CgAを低下させる傾向を有することを明らかにした。特に精神的ストレスを自覚している被験者の場合に、その傾向が顕著であることが確認された。これらの結果はホメオストレッチによるリラクセーション効果を支持するものである。